人生の振り返りを行う「自己分析」に、ネガティブな思いを持つ人は多い。それは、なかなか答えが出ないことを延々と考えるしんどさがあるからだろう。また、過去を振り返ると、自分の弱点や失敗体験、低い評価を受けた体験ばかり思い出してしまう。
人間は自分の得意なことに目が向きづらい。人間には、ポジティブな出来事よりもネガティブな出来事に対してより強く反応し、心理的影響を受ける傾向がある。これをネガティビティ・バイアスという。つまり、自分に強みがたくさんあっても、その側面に目が行きにくいのだ。
得意なことがわからない2つの原因として、「情報過多による混乱と他者比較」と「自分で自分を制限するマインド」が挙げられる。これらによって、行動できない状態に陥ってしまいやすくなる。
著者は大学卒業後、映画『007』に登場するコンピュータの専門家Qへの憧れから、エンジニアとして就職した。やりたいことのイメージは明確だった一方で、自分の「得意なこと」はまだぼんやりしていた。そんな中、インターネットが普及し始めた1995年頃から、コンピュータの知識をかみ砕いて理解するという「行動」を重ねていく。そして、その知識を人に伝えるというニーズが急増したことで、「ITについてわかりやすく話す」という新たなスキルが生まれた。これは、Qへの憧れという動機をもとに、地道な行動を続けた結果得られたものである。
「やりたいことがわからない」と悩む人の多くは、強い憧れを伴うような具体的な行動が足りていない。
3,400冊以上の要約が楽しめる