ゴールドプランなら4,000冊以上が全文読み放題! 7日無料体験はこちらから
組織と働き方の本質の表紙

組織と働き方の本質

迫る社会的要請に振り回されない視座


本書の要点

  • 人的資本経営を考える際、経営戦略と人事戦略の連動が大きな鍵を握る。具体的には、人的資本の指標と財務成果との繋がりを整理した「人的資本インパクトパス」をつくる必要がある。

  • 日本版のジョブ型雇用は、仕事(ジョブ)ではなく、役割やポストで規定された「役割型」や「ポスト型」であり、本当のジョブ型とは似て非なる。

  • 自律分散型組織が効力を発揮できるのは20~30人の組織に限られる。それ以上になると、結節点としてのマネジャーの存在を前提としたピラミッド型組織のほうが、意思決定や活動のスピードは上がる。

1 / 5

会社と組織の本質

会社は人間の欲望をかなえるためにある

会社を英語でいうと、「カンパニー(Company)」となる。その語源はラテン語の「com(共に)」と「panis(パン)」に仲間を表す「-y」がついたもので、「一緒にパンを食べる仲間」という意味になる。この言葉は、会社という言葉が本来持っている共同体的なニュアンスをよく表している。

共同体的性格が変わり始めたのが、イギリスやオランダ、フランスなどの西欧諸国が、アジア諸国と貿易を行うために「東インド会社」を設立した1600年前後のことだ。

同社は「株式会社」という形態をとったことから、投資のリターンを求める株主だけではなく、アジアからの輸入品を売って儲けたい人、それらを買いたい人、働いて給料をもらいたい人などの欲望が、会社を通じて実現できるようになった。

そうやって生まれた会社は、それぞれの欲望を実現する「経済合理性」を中心軸として動く。つまり、儲からないことはやらないのだ。一方、社会には家族愛や友人愛、奉仕の精神といった多様な価値観が混在しており、経済合理性だけで動くわけではない。

結果、会社は摩擦やトラブルを引き起こす。別の言葉でいえば、会社は不祥事を起こす宿命を負っている。このことを私たちはしっかり理解しておく必要がある。

組織を成立させる3つの条件

Goodboy Picture Company/gettyimages

組織と集団の違いは何か。電車の駅のホームに並ぶ人々でいうと、電車を待っている人は「集団」であるが、誰かがホームから線路に落ちてしまい、その人を救おうとする人たちは、その瞬間「組織」になる。つまり、人が集まっているだけなら「集団」だが、ある要件を満たしたら「組織」になるのだ。その要件とは、「共通の目的」「協働意志」「コミュニケーション」の3つである。

電車を待っている人たちは、電車で移動するという同じ目的はあるが、一緒に何かをやる協働意志やコミュニケーションはない。一方、ホームから落ちた人を救おうとする人たちには、救助という共通の目的や協働意志があり、そのためのコミュニケーションが自然に発生する。

組織は一時的なものであるため、存続するには「組織成果」と「個人の欲求充足」の2つが存続要件となる。そのために必要なのが「One for All, All for One(個人は組織のために、組織は個人のために)」の実現だ。

組織の問題は「人」ではなく、「間」にあると捉えるべきだ。個と個、チームとチーム、階層と階層、機能と機能などの「間」である。

組織の人数が増えれば「間」の数も増えるため、組織をうまく分化させて複雑性を縮減していく必要がある。

2 / 5

「人的資本経営」の真相

事業成果と人的資本の関係を紡ぐ

これまで、財務などの有形資産に関して情報開示が義務化されていたが、無形資産については義務化されていなかった。しかし、人材こそが企業の競争力の源泉であり、企業が成長発展するための重要な資本であることから、企業は投資家から無形資産のひとつ、人的資本に関する情報開示が求められるようになった。

この場合、経営戦略と人事戦略の連動が重要になる。それが意識されることなく、オリジナルの指標や施策を考えて発表しても、投資家から興味を持ってもらえなければ意味がない。実際、財務情報と非財務情報を掲載した「統合報告書」の発行にあたり、頭をひねって人的資本情報に関する独自の指標や施策を考え出している企業が多い。それらは企業価値の向上とは相関がなく、単なる自己満足に終わっているケースもある。人的資本情報の開示という手段が目的化しているのである。

もっと見る
この続きを見るには...
残り2842/4309文字

4,000冊以上の要約が楽しめる

要約公開日 2025.07.06
Copyright © 2026 Flier Inc. All rights reserved.

一緒に読まれている要約

チームワークの大原則
チームワークの大原則
辻秀一
日本経済の死角
日本経済の死角
河野龍太郎
売れる組織 売れる営業
売れる組織 売れる営業
田中大貴
チームが「まとまるリーダー」と「バラバラのリーダー」の習慣
チームが「まとまるリーダー」と「バラバラのリーダー」の習慣
林健太郎
詭弁と論破
詭弁と論破
戸谷洋志
40代がうまくいく人の戦略書
40代がうまくいく人の戦略書
藤井孝一
ほんとうの会議
ほんとうの会議
帚木蓬生
戦略的暇
戦略的暇
森下彰大

同じカテゴリーの要約

リーダーの否定しない習慣
リーダーの否定しない習慣
林健太郎
「リーダーシップのベストセラー100冊」のポイントを1冊にまとめてみた。
「リーダーシップのベストセラー100冊」のポイントを1冊にまとめてみた。
藤吉豊小川真理子
リーダーの「任せ方」の順番
リーダーの「任せ方」の順番
伊庭正康
無料
職場問題ハラスメントのトリセツ
職場問題ハラスメントのトリセツ
村井真子
会社は「本」で強くなる
会社は「本」で強くなる
宮本恵理子
明治製菓カカオ事業部 逆境からの下剋上
明治製菓カカオ事業部 逆境からの下剋上
山本実之
「いい質問」が人を動かす
「いい質問」が人を動かす
谷原誠
「人事のプロ」はこう動く
「人事のプロ」はこう動く
吉田洋介
無料
経営戦略全史〔完全版〕
経営戦略全史〔完全版〕
三谷宏治
若者帝国
若者帝国
片石貴展