営業職は専門職のひとつであるにもかかわらず、その教育環境はほとんど整備されていない。
医師や美容師とは異なり、営業職には資格や免許が不要であるため、入社後にOJTで商品やサービスについて学ぶことになる。
しかし、どの先輩から指導を受けるかによって教えられる内容は異なるうえ、十分な時間をかけてもらえることは稀である。
正解がわからないなか、新人営業は、OJTで見聞きしたことを見よう見まねで実践するしかない。その中でコツを掴んだ人は成果をあげられるが、大半の営業パーソンは思うような結果を出せずに悩むことになる。
これは個人の問題にとどまらない。組織の観点から見ても、営業パーソンごとに営業力に差が生まれ、成果が分散化してしまうのは実にもったいない。
この分散化を解消するには、営業教育を通じて営業の「型」を会得させ、誰もが高い成果を出せるよう導くことが重要である。
著者が新卒からおよそ2年半を過ごしたキーエンスや、その後、約11年間を走り抜けたプルデンシャルのような企業では、営業の土台となる「型」をしっかり構築している。その型通りに営業を行えば、一定以上の成果を安定的にあげることが可能となり、組織としても高い成果を確保できるのだ。
営業で成果をあげるには、「知識」「スキル」「習慣・管理」「心構え」という4つの要素が不可欠だ。そして、それぞれの要素において、「知る」「わかる」「やってみる」「できる」という4つのステップを順に踏んでいくことになる。
このステップを整理できれば、営業力を高めたい企業や、生産性向上を目指す組織、営業に不安を抱える営業パーソンにとって、進むべき道筋が明確になるはずだ――。
そうした考えのもと、本書では、4つのステップと4つの要素を順に解説している。要約では、そのうち「知識」と「習慣・管理」に焦点を当てて紹介する。
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