チームワークの大原則
チームワークの大原則
「あなたが主役」で組織が変わる
著者
NEW
チームワークの大原則
出版社
出版日
2025年03月18日
評点
総合
3.5
明瞭性
3.5
革新性
3.5
応用性
3.5
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おすすめポイント

2024年の夏に開催されたパリオリンピックの結果を分析して明らかになったのは、日本の選手たちは個人競技よりも団体競技で成果を上げているという点である――。本書は、このような指摘から始まる。

そう聞いて、たいていの人は「協調性に優れた日本人は個人競技よりもチーム競技のほうが得意そうだから、納得の結果だ」と感じるだろう。

だが、団体とチームは別物だ。実際、バスケットボールやバレーボールといったチーム競技では、日本の選手たちは結果を残せていない。

さらに著者の指摘は続く。日本では団体的な働き方が主流だが、この働き方ではAIに太刀打ちできない、と。

本書の著者、辻秀一氏は、スポーツドクター・産業医として活躍する人物だ。応用スポーツ心理学をベースに、個人や組織のパフォーマンスを最適・最大化するためのメンタルトレーニングを展開しており、クライアントは、オリンピアンやプロアスリート、音楽家やパフォーマー、健康経営やWell-beingを実現したい企業までと幅広い。ベストセラーとなった著書『スラムダンク勝利学』を読んだことがある人も多いだろう。

本書では、そんな著者が、素晴らしいチームをつくるために必要な要素について教えてくれる。組織でチームを率いるマネジャーや、部下との関係に悩むリーダー、メンバーとの働き方に違和感を抱くビジネスパーソンが読めば、きっとヒントが得られるだろう。

著者

辻秀一(つじ しゅういち)
スポーツドクター。産業医。株式会社エミネクロス代表。北海道大学医学部卒業。慶應義塾大学病院にて内科研修。慶應義塾大学スポーツ医学研究センター勤務後に、人と社会のQOL向上を目指し株式会社エミネクロスを設立。
応用スポーツ心理学をベースに、個人や組織のパフォーマンスを最適・最大化する、自然体な心の状態「Flow」すなわち「ご機嫌」を生み出すための非認知脳(ライフスキル)のメンタルトレーニングを展開。クライアントは、オリンピアンやプロアスリート、音楽家や経営者、ビジネスパーソン、さらに、企業の健康経営やフローカンパニー創りにも取り組む。著書に『スラムダンク勝利学』(集英社インターナショナル)、『自分を「ごきげん」にする方法』(サンマーク出版)、『「機嫌がいい」というのは最強のビジネススキル』(日本実業出版社)『個性を輝かせる子育て、つぶす子育て』(フォレスト出版)他多数。
また、2025年4月から、非認知脳をBX(脳の変革)する対話型コミュニティ「BA(Brain Associate)」を開設している。詳細は、https://doctor-tsuji.com

本書の要点

  • 要点
    1
    日本社会では団体的な働き方が主流だが、このような働き方では、VUCA時代を生き抜くのは困難だ。AIの時代が到来した今だからこそ、人間にしかできない「真のチームワーク」を実現できるチームづくりが求められている。
  • 要点
    2
    パフォーマンスは「何をしているか」と「どのような心の状態で行っているか」の2つの要素によって決まる。つまり、内容と質、行動と心だ。機嫌がよい状態では、パフォーマンスの質が高まる。
  • 要点
    3
    共有(コミュニケーション)なくしてチームは成立しない。特に、非認知的な内容の共有は個人間の関係性の質を高める。

要約

「チーム」とは何か

「団体」と「チーム」の違い
JUN LI/gettyimages

2024年の夏に開催されたパリオリンピックの結果を分析して明らかになったのは、日本の選手たちは個人競技よりも団体競技で成果を上げているという点である。

例えば、フェンシング競技では、個人でのメダル獲得は1つにとどまったが、団体では4つのメダルを手にしている。陸上競技においても、個人の短距離100メートルでは決勝に進めなかったものの、リレーという団体種目では決勝進出を果たしている。

「日本人はチーム競技に強いのでは?」と思う人もいるかもしれないが、団体競技とチーム競技は別だ。実際、バスケットボールやバレーボールといったチームスポーツでは、日本は結果を残せていない。なぜだろう。

団体は個人の集合体、つまり、足し算だ。一人ひとりの力が1であっても、それぞれが自らの役割を着実に果たすことで、大きな力を出せる。

つまり、団体競技は、自分に課された役割を着実にこなし、指示や命令に「はい」と応えて遂行することで成り立ちやすい。一般論として、日本人はこのスタイルに適性があるように思われる。

これに対し、チームスポーツは掛け算である。1同士をいくら掛け合わせても、個の力以上にはならず、各個人の主体性と、それぞれの個性を最大限に活かす高度なコミュニケーション能力が不可欠となる。

日本社会では団体的な働き方が主流だ。しかし、このような働き方では、流動性が高く、先行きの見通しづらいグローバルなVUCA時代を生き抜くのは困難かもしれない。団体的な協調性に優れた働き方は、AIによる自動化や効率化に太刀打ちできないだろう。

AIの時代が到来した今だからこそ、人間にしかできない「真のチームワーク」を実現できるチームづくりが求められている。

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要約公開日 2025.07.01
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