本書の要点

  • V字回復を果たすと、ローソンは「ローソン・タウン」構想を掲げる。競合ばかり意識するのではなく、「お客様のためにすべてがある」という姿勢に立ち返った。

  • 日本最北端の町・稚内への出店プロジェクトには4つの成功要因があった。

  • 「驚きのパンツをつくれ」という竹増社長の一言から、ローソンと良品計画の事業提携がスタートし、無印ブランドの全国展開が進んでいる。

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【必読ポイント!】 競争の舞台を変える

史上最高の決算

luchunyu/gettyimages

2024年4月、株式会社ローソンの決算説明会が開催された。2023年度は、ローソンにとって史上最高の好決算となった。ROE(自己資本利益率)は初の15%超えとなる、驚異の19.5%を記録する。事業利益も940億円に達し、業績が底だったとされる2020年度の408億円からV字回復を果たした。

コロナ禍での落ち込みの反動もあったが、この急回復には「ローソングループ大変革実行委員会」による改革が大きく寄与していた。大きく成長したカテゴリーは「ファストフード・厨房」「日雑品」「デリカ・日配・冷食」の3つである。これらが大きく伸び、適切なコスト管理が浸透したことで、加盟店オーナーたちの収入も大幅に増加していった。

ところが、好決算にもかかわらず、竹増貞信社長は淡々と決算結果を読み上げていた。その姿を見ながら、著者は「KDDIによるローソン株のTOB(公開買い付け)は正しい判断だったのか」と複雑な思いを抱く。7月下旬にTOBが成立する見通しで、5月の株主総会でローソンは非公開化が決まる。社員やフランチャイズオーナーは、この動きに不安を抱えたことだろう。だが実際には、「大変革実行委員会」の若手社員は、著者に力強く語った。「株主が誰であろうと、ローソンは変わらない」。

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要約公開日 2025.07.09
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