教え方の一流、二流、三流
教え方の一流、二流、三流
著者
NEW
教え方の一流、二流、三流
出版社
明日香出版社

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出版日
2025年04月12日
評点
総合
3.7
明瞭性
4.0
革新性
3.0
応用性
4.0
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おすすめポイント

「丁寧に教えているのに、なぜ部下に伝わらないのか?」――そんな悩みを抱えるすべての上司に、本書を読んでほしい。

著者は元教師にして、ランドセルメーカーの中国法人で80名の部下を率いた経験を持ち、現在は人材育成のプロとして活躍する北宏志氏だ。

かつての日本では、仕事は先輩の背中を見て覚え、根性論で部下を指導する時代も長かった。「教え方」を学ぶ機会も少なく、自分がかつての上司から教えてもらったのと同じ方法で人材育成している人も多いだろう。

ただ、もしかすると、Z世代にその方法は通じないかもしれない。それでは仕事が円滑に進まないばかりか、離職につながる可能性さえある。だからこそ私たちは、現代の部下たちが納得し、動き出すために必要なコミュニケーションや指導法を、体系立てて学ぶ価値がある。

本書には、現場で試行錯誤を重ねながら若手との信頼関係を築き、成果を上げてきた著者の「教え方」ノウハウが詰まっている。

最大の特徴は、すべてのトピックに「三流・二流・一流」の行動比較があること。例えば、「三流は思い通りに動かそうとし、二流は細かく確認し、一流は放任しつつ、緊急時に指示を出す」といった具合だ。自分はどのレベルにいるのかを自然に振り返りながら読み進められる構成となっている。

時間も労力もかかるかもしれないが、部下が育ったときの喜びはひとしおのはず。Z世代の部下を大切に育て、ともに成果を上げたいと願う方にとって、本書は頼れる一冊となるだろう。

ライター画像
Naoko Kubota

著者

北宏志(きた こうじ)
(株)ポールスターコミュニケーションズ代表取締役
人材育成コンサルタント
大学卒業後、立命館大学に関係する中高一貫校で社会科教諭として勤務。その後、「ララちゃんランドセル」を製造・販売する(株)羅羅屋に転職。中国での駐在中は経営幹部として部下80名を束ね、中国国内の売上を3年間で9.7倍に拡大させ黒字化させる。日本とアジアの架け橋となり、教育をより良くしていきたいという思いから、日本に帰国後、人材育成コンサルタントとして独立。
新入・若手社員の研修を中心に全国35都道府県で1,000回以上の登壇実績を持ち、これまでの受講生は25,000名を超える。
企業規模、業種問わず100社以上の人材育成に関わり、教育制度の設計、組織改変、評価制度と研修制度の紐付けなどの人が育つ仕組みづくりに取り組む。経営者や上司と部下、お互いの考えや目指す方向を聞きながら、コミュニケーションや部下育成の問題を改善、若手社員を中心とした1on1面談の実績は延べ2,000名を超える。若手社員の離職率低下の実績も多数あり、三現主義を貫き、現場にとことん入り込み、社員一人ひとりと関係性を築くことを得意としており、外部の人材育成担当者として日本全国を飛び回っている。
著書に、『新しい教え方の教科書 Z世代の部下を持ったら読む本』(ぱる出版)、『ビビリの人生が変わる 逆転の仕事術』(三才ブックス)がある。

本書の要点

  • 要点
    1
    一流は、部下に教える前に「関係づくり」に取り組む。一人の人間として接し、積極的にコミュニケーションをとり、相手の話を聞き、考え方を理解するプロセスが重要だ。
  • 要点
    2
    ハラスメントと言われるのを恐れ、ただ優しく伝えるのは三流だ。二流は論理的に必要事項を伝え、さらに上をいく一流は、自分の経験を交えつつ、相手が不安を抱きそうなポイントを先回りしてフォローする。
  • 要点
    3
    表面的なほめ言葉に終わらぬよう、しっかりと部下を見て、行動ではなく「存在」そのものを承認するのが一流である。

要約

教え方の基本

まず「関係づくり」を大切にする

仕事を教える前、三流は部下と話すのは無駄と考え、二流はとりあえず教え方を学び、一流はまず関係づくりを大切にする。

「考えの違う部下と話すのは無駄」「勝手に育つだろう」「こちらの言うことだけ聞いてもらえればいい」といった考えでは、人は育たない。上司として成長するために、教え方を学ぶという発想ももちろん重要だ。

しかし、最初に考えるべきことは、実は「教え方」ではなく、関係づくりである。

上司も部下も1人の人間であり、育った環境や経歴、好きなこと、考え方など、すべてが異なる。そうした違う者同士が一緒に働くには、まず積極的にコミュニケーションを取り、相手の話を聞き、考え方を理解し、好きなことや苦手なことを知り、キャリア設計について共有してもらう必要がある。このプロセスを経てはじめて、「信頼できる上司」と「安心して任せられる部下」になれるのだ。

まずは、お互いが心地よく感じられる関係づくりから始めよう。

いつもは放任、緊急時に的確な指示を出す
VioletaStoimenova/gettyimages

マネジメントにおいて、三流は部下を思い通りに動かそうとし、二流は細かく確認し、一流は基本的に放任しつつ、緊急時に指示を出す。

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要約公開日 2025.06.18
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