特に際立った能力も才能もない大多数の人にとって、人生はつまらなくて当然だ。だからこそ、人生とはこの退屈な日常をどうおもしろくするかという“ゲーム”だと捉えたほうがいい。本書は、そのゲームの攻略本である。
著者は若い頃からギャンブルに親しみ、海外のカジノにも頻繁に足を運んでいた。あらゆるギャンブルを経験する中で、基本戦略が確立されているブラックジャックが最も勝ちやすいと気づき、今ではそれしかやらない。
人生もこれと同じである。まずは、世界に何があるのかを知ること。すなわち、自分たちが生きているこの世界の「地図」を手に入れることから始まる。そのうえで、戦う場所を定め、ルールを学び、戦略を立て、それを実行する。そうすれば、人生は格段におもしろくなる。
そして、その「地図」を手に入れる最良の手段こそが、他ならぬ読書なのである。
私たちの生きているこの世界は、情報でできていると言っても過言ではない。なぜなら、私たちは五感を通じて得た情報をもとに思考し、判断し、行動しているからだ。つまり、情報を的確に取得・処理できなければ、人生はうまくいかない。
それにもかかわらず、多くの人はあまりにも物を知らなすぎる。そしてさらに恐ろしいのは、「知らないことすら知らない」という状態に陥っていることである。
一方で、読書習慣を持つと、「知れば知るほど、知らないことに気づく」という逆の現象が起きる。知識を得れば得るほど、脳はさらに新しい情報を求めるようになり、それに伴って視野はどんどん広がっていく。
ここで強調したいのは、知らない人も、知っている人も、同じ世界に生きているということだ。ただし、両者の目に映る世界はまるで違う。知らない人は、チャンスが目の前にあっても、それに気づくことができない。
本は、そのチャンスを見えるようにするカギとなる。著者は自分の能力の100倍の年収を稼げていると考えているが、それもすべて読書のおかげだ。
無料で動画を観られる時代に、わざわざお金を払って本を買うのはムダだと考える人もいるかもしれない。だが、それは明らかな誤りである。
1冊の本をつくるには、膨大な時間と労力が注がれている。著者の感覚では、本を1冊書くためには100冊分のインプットが必要だ。その労力と時間を考えれば、本が千数百円で買えるのはあまりにも安すぎる。
読書はいわば、100%以上のリターンが保証された投資である。読めば読むほど、そのリターンは自分の中に確実に蓄積されていく。
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