かつての資本主義社会は、資本家階級・旧中間階級・新中間階級・労働者階級という4つのグループで構成されていた。資本家階級は企業経営者などから成る層、旧中間階級は自営業者や独立自営の農業・商工サービス業に従事する層、新中間階級は企業に勤める専門職・管理職・事務職、労働者階級は現場労働に携わる人々である。
しかし近年、労働者階級の内部に大きな格差が生まれ、正規雇用の「正規労働者階級」と非正規雇用の「アンダークラス」に二分された。格差拡大とともに新たな下層階級が出現したこの社会こそ、本書のいう「新しい階級社会」である。
階級構造は「資本主義的企業の領域」と「自営業者の領域」の2つに大別される。資本主義的企業の領域は、少数の資本家階級を頂点に、新中間階級、正規労働者階級、アンダークラス、さらに59歳以下で専業主婦以外の失業者・無業者が続くピラミッド型を成す。一方、自営業者の領域には旧中間階級が属し、その内部格差は大きい。
ここからは各階級の属性をみていく。
性別構成では、資本家階級は男性比率がもっとも高く、アンダークラスは女性が過半数を占める。
年齢では、資本家階級と旧中間階級は中高年が中心であり、新中間階級・正規労働者階級・アンダークラスは若年層の割合が高い。
学歴においては、新中間階級と資本家階級の大卒率が7割を超えて高く、アンダークラスは4割未満にとどまる。
経済格差は明らかで、資本家階級の個人年収は983万円と突出する一方、アンダークラスは200万円台だ。
配偶関係にも顕著な差が見られる。アンダークラス男性の未婚率は7割超と非常に高く、アンダークラス女性は離死別者の比率が極端に高い。
仕事に対する満足度と自由度では、自ら事業を営む資本家階級・旧中間階級が高く、雇われの立場にある新中間階級・正規労働者階級・アンダークラスはいずれも低い。
階層意識では、資本家階級の過半数が自分を「上」または「中の上」とみなす一方、アンダークラスの7割は「下の上」または「下の下」と認識している。
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