わたしも、がんでした。
がんと共に生きるための処方箋

未 読
わたしも、がんでした。
ジャンル
著者
国立がん研究センターがん対策情報センター(編)
出版社
日経BP社
定価
1,320円(税込)
出版日
2013年09月09日
評点
総合
3.5
明瞭性
3.5
革新性
3.5
応用性
3.5
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がんと共に生きるための処方箋
著者
国立がん研究センターがん対策情報センター(編)
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出版社
日経BP社
定価
1,320円(税込)
出版日
2013年09月09日
評点
総合
3.5
明瞭性
3.5
革新性
3.5
応用性
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レビュー

かつてがんとは、患者本人にも告知されることなく、死が約束された病気と言われたが、本当にそうなのだろうか。日本人の寿命が延びたことにより、日本人の2人に1人は、一生のうちに何らかのがんにかかると言われている。一方で、がんにかかりながら完治して長生きする人や、治療しながら十年、二十年と生き続ける人もいる。つまり、これからは一度がんにかかるとずっと入院する時代ではなく、がんとともに社会で生きるという時代、更に言えばがんとともに働き続けることもできる時代なのである。

一方で、企業の受け入れ体制はどうか。がんにかかったというと、一線から退くことを意味し、退職の勧告を間接的に行ったり、当該者にやりがいのある仕事があてがわれなくはなっていないだろうか。がん患者の約92%が仕事を続けたいと思っており、約70%ががん患者を受け入れる職場になっていない、と感じていることに注意を払うべきである。日本人の2人に1人という割合が示すとおり、がんという病気は他人事のままでは済まされない。

本書はがんという病気に対し、杉浦 克昭氏(ピーコ)、砂田 麻美氏、田原 総一朗氏などの著名人の、自身や家族の方の闘病体験記を通じて、現代のがんとの向き合い方について再検証を迫ったドキュメントだ。がんは患者だけのものではなく、家族・友人・職場など周囲全体に関わる病気であり、その理解が進むことにより、どれだけ過ごしやすい社会になるだろうか。本書はそれを強く感じさせる良書である。

大賀康史

本書の要点

  • 要点
    1
    がん患者に対する神話の多くは真実ではない。現代においては、下記の認識が正しいものである。 ① がんは個人の健康問題ではなく、みんなで考えなければならない社会的な問題 ② がんはあらゆる年齢・性別の人がかかり得る病気 ③ がんは不治の病ではなく、治療と回復が十分に可能な病気 ④ がんはある程度の予防が可能な病気
  • 要点
    2
    がん患者の方は、弱者ではなく現役社会の構成者であり、支える方々は、手を差し伸べてサポートすることで、一緒に仕事ができる、人生を共にできる、パートナーだと認識を変えるべきである。

要約

「悩んでいるのは自分だけじゃない」杉浦 克昭(ピーコ)氏 ~本人編~

iStock/Thinkstock
がんかもしれない

はじめてからだの異変に気づいたのは、44歳の冬、1989年2月の夜。雑誌に連載していた原稿を書いているときだった。マス目の横線にピントがあわないのだ。ふと思い、片目をつぶって見たら、左目で見たときだけ、ものが小さく見えるのである。

まずは眼科の医者を訪れた際の診断は、重度の結膜炎、乱視、老眼というものだった。次に病院を訪れたのは、5か月後、熱海のホームドクターの病院で毎年一回受けていた人間ドッグに双子の弟、おすぎと一緒に行ったときである。

その日は偶然眼科の先生がいて、念のため眼底検査をした。結果は網膜剥離で、そのドクターの紹介で腕のいい眼科医がいるという小田原市立病院へ行った。

若手の医師から言われる。「たしかに網膜剥離、なんですが、原因がどうやら目の中に腫瘍ができているみたいですね。腫瘍が大きくなって網膜を突き破っています。」その後1時間ほどで診察室に入ってきた佐伯先生からメラノーマ、つまり「がん」との診断を受けたのだ。

本当にわたし「がん」なの!?

メラノーマは皮膚にできる悪性腫瘍であり、皮膚がんの一種である。佐伯先生によると、放っておくと、左目の腫瘍が視神経から脳に転移し、全身に転移する恐れがあるとのこと。わたしは即座に言った。

「先生、わたしの左目、取ってください。目は2つあります。ひとつなくなっても、もうひとつはまだ見えるんでしょう。」ほう、と先生は感心したように声を上げた。「うむ、あなたのように男らしい人はなかなかいない。」

わたしに男らしいだなんて、と内心苦笑していたくらいで、その時はあまり動揺していなかった。しかし、夕方小田原のうなぎ屋で食事をした際に、おいしいかば焼きを食べているのに味がしない。「砂を噛むような」という感じである。そこではじめて実感した。

「ああ、わたし、やっぱり、がんなんだ。告知されてショックなんだ。」

Fuse/Thinkstock
がんからの復帰

手術は終わり、がんからはどうやら逃れられた。術後には念のために抗がん剤治療を行う。退院後の8月の終わりに治療を受けたときは、血管が腫れてちょっと痛かった以外は特になんの副作用もなかった。ところが、9月の終わり、突然、髪の毛が抜け始めた。毎朝、鏡と向き合うのが怖くなった。

退院して2週間で仕事に復帰して、テレビの出演から講演会までめじろ押しだった。少ない髪をヘアメイクでふくらましていた。悲しかった。おかしな話だが、がんを宣告されたとき以上に悲しかった。

ではどうこの悲しみに対峙していたかというと、悲しい映画を見る、悲しい本を読む等、自然と悲しみに徹底的にひたることにしたのだ。そのほうが落ち着けた。

ある日、抗がん剤の副作用が消え、髪の毛が再び生えてきた。そのときのうれしさといったらない。ちょうど12月のクリスマスの頃だった。

がんを通じて大切なものが変わった

がんになる前は、いま考えると、ずいぶん格好をつけていたが、がんを体験したあとはそんな自己顕示欲が消えてしまった。一時は控えていたが、今はお酒だって普通に呑む。

今日も一日仕事ができ、楽しいことがあればなおよく、嫌なことがあってもおおかた無事に過ごせたなら、シャンパンでも飲んで、くよくよせずに寝て、また次の日がやってくる。そんな日々が幸せって素直に思える。それでわたしの幸せは十分なのである。

「がんは『生きる』と向き合うプロジェクト」砂田 麻美氏 ~家族編~

iStock/Thinkstock
家族が、がんと出会うとき

私がはじめて監督した『エンディングノート』は、主に私の父が胃がんを宣告されてから亡くなるまでの半年間を追いかけたドキュメンタリー映画だ。がんを告知された父は、それから間もなく、葬儀やお墓の話、財産分与など、自分の亡くなったあとのことについて、家族に「具体的な覚え書き=エンディングノート」を書き始めた。

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