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イランとアメリカ、そしてイスラエルの表紙

イランとアメリカ、そしてイスラエル

「ガザ以後」の中東

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本書の要点

  • ガザを巡る紛争をきっかけに、中東情勢におけるパワーバランスは変わった。イスラエルにとっては周辺の危機が低下し、一方でイランは孤立化を進める形となった。

  • イランはイギリスとロシアの圧力にさらされていたが、アメリカの助力で近代化を進める。しかし、そのアメリカによってクーデターが起き、イラン人はアメリカへの怒りを募らせることになる。

  • イランはホメイニの指導のもと、革命を成功させた。革命後アメリカはイランに接近を試みるが、アメリカの行動を不審に思った人々がアメリカ大使館を占拠した。

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激動の中東

崩れゆく脅威

中東のパワーバランスが崩れた。イスラエルとそのバックにつくアメリカ、周囲にある親米アラブ諸国と、それと対立するイランを中心としたパレスチナ・ガザのハマス、レバノンのヒズボラ、シリアのアサド政権など。そして、双方と関係を維持してきたトルコ、ロシア、中国。この構図を崩したのが2023年10月に起きた、“ガザの爆発”である。同月7日にハマスはイスラエルに対して奇襲攻撃を試み、イスラエルがまもなく反撃、中東情勢は大きく動揺することとなった。

ハマスに呼応する形で、イスラム教シーア派の組織であるヒズボラもイスラエルを攻撃。度重なる軍事衝突のすえ、2024年9月にイスラエルが大攻勢を仕掛け、ヒズボラに大きな打撃を与えた上で停戦に持ち込んでいる。この停戦の発効日に起きたのが、シリアにおける反体制派の攻勢だ。シリア政府軍はほとんど戦うことなく崩れ去り、半世紀続いたアサド政権は12月8日に崩壊した。

イランの同盟者でもあるイエメンのフーシー派も、長距離ミサイルやドローンでイスラエルを攻撃、その矛先はイエメン周辺の海域を航行する船舶にも向かう。これにアメリカやイギリスが艦隊を派遣して介入し、フーシー派も軍艦だけでなく商船に対してまで報復を行った。イスラエルは報復の過程でイエメンへの長距離攻撃を実現している。

イランを中心とするブロックが弱体化を余儀なくされたところに、ドナルド・トランプがアメリカ大統領へと再就任を果たした。

笑うイスラエル

Dimitrios Karamitros/gettyimages

イランの同盟者であり、イスラエルにとっての軍事的脅威であるハマス、ヒズボラに大きな打撃を与え、その流れでシリアのアサド政権も崩れたいま、ある意味で、イスラエルは幸福な時期に入っている。イランが孤立化、弱体化する一方で、イスラエルは軍事的な優位を確立している。

イスラエルは1948年に建国して以来、周囲の脅威を一つひとつ取り除いてきた。アメリカの仲介で成し遂げたキャンプ・デービット合意でエジプトと和解し、アラブ世界最大の国家からの圧力が低下した。そして、アラブ世界の強国だったイラクのサダム・フセイン政権をアメリカが破壊、現在でもイラクは立ち直ったと言えず、もはやイスラエルの脅威とは呼べない。

したがって、残るはイランの潜在的脅威、すなわち核兵器獲得のみである。イランの核関連施設などを破壊せよとの声が高まり、それはアメリカのイラン支持者の間でも広がっている。

イスラエルとは往復3000キロほどの距離があるイランで、核関連施設は広い国土に点在しており、しかも地下深くに建設されている。さらにその破壊には、アメリカ軍のみが保有する大型爆弾と、それを運べる大型爆撃機が必要となる。この大きなチャレンジには、アメリカとの共同作戦が望まれるのだ。

2期目のトランプも、戦争やイランの体制転覆に否定的な発言をしている。しかし、2025年6月、防空能力を無力化されていたイランに対し、イスラエルとアメリカによる奇襲が実行された。

こうした流れの背景にあるイラン・アメリカ関係を、いまこそ振り返っておきたい。

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要約公開日 2026.05.06
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