【必読ポイント!】アメリカ
世界一豊かな「借金大国」
アメリカが「世界で最も豊かな国」であることは、誰もが認めるところである。実際、2025年のアメリカ名目GDPは約30兆ドル(見込み)と世界一。巨大IT企業が席巻し、次々と最新イノベーションが生まれている。
その一方で、実は借金も「世界一」なのである。アメリカ政府はGDPを上回る、35兆ドルもの債務を抱えている。富も借金も世界一――なぜこのような矛盾が起きているのだろうか。
そのカギを握っているのは、「ドル」である。ドルは「アメリカの通貨」であると同時に、国際的な経済活動の中心通貨「基軸通貨」という顔を持つ。例えば、日本が中東から石油を輸入するときは、「ドル」で支払われる。ドルは世界中の貿易や金融取引に使われているのだ。そのため、各国の政府や企業は常に大量のドルを保有しておく必要がある。
国が借金するときに発行される「国債」。アメリカの国債はすべて「ドル建て」であり、信頼性が高くリスクの低い安全資産と見なされている。そのため、各国の政府・企業はこぞって米国債を買い求め、それをドル資金にしているのだ。
アメリカ政府が借金まみれでも経済を維持できるのは、「ドル」という「打ち出の小槌」のおかげなのである。
物価高騰が続く理由

2020年6月、アメリカの消費者物価指数は前年同月比の9.1%を記録した。これは1980年代初頭以来の異常な高水準である。
この物価高騰の発端は、20年初めに世界中を襲った新型コロナウイルスのパンデミックである。アメリカでは「政府による未曽有の財政出動」「FRB(連邦準備制度理事会)による強力な金融緩和」という異例の措置がとられた。
アメリカ政府は、現金給付や失業保険給付の大幅な上乗せといった「国民に直接お金を届ける政策」を実施。FRBは政策金利をゼロに引き下げ、「量的緩和(市場から大量の国債などを買い入れること)」を行った。
しかし、数兆ドル規模の現金給付により国民の消費需要が高まるものの、サプライチェーンが破壊されているため供給が追いつかない。このミスマッチに加え、人材不足による大幅な賃上げが起こり、結果的にインフレを招くことになった。
当初FRBは「インフレは一時的な現象」と楽観視していたが、現実は彼らの想定をはるかに超えていた。インフレの常態化が確定的になった2021年末、FRBはようやく「一時的」という言葉を撤回し、方針を転換した。




















