その仕事のやり方だと、予算と時間がいくらあっても足りませんよ。

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出版社
クロスメディア・パブリッシング

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出版日
2015年04月21日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
4.0
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おすすめポイント

本書は、成果をあげるプロジェクトチームをつくる方法、プロジェクト・マネージャーの流儀について書かれている。たとえ素晴らしい商品を作り出したとしても、予算を大幅に超え期限内に出来なかった場合は失敗である。プロジェクトの成果を決定づけるのは、そこにかける予算と時間だが、それではどうすれば予算を守りながら高品質で、かつ残業なしで時間内にプロジェクトを終わらせることができるのだろうか?

プロジェクトチームに必要とされるものを、著者は、チームワーク、リーダーシップ、ビジョン、スケジュール、クオリティ、トラブル・リスク対応、予算とコストコントロールの7つの項目に渡って解説する。

著者は豊富な知識を持った現場叩き上げの技術コンサルタントであり、どうしたらプロジェクトを成功させられるかということを、実践的なさまざまな方法を示しつつ書いている。

業務のことはもちろん、メンバーのことも考えたプロジェクト・マネージャーの像がここにあり、こんなプロジェクト・マネージャーなら周りの人は一緒に仕事をすることに喜びを感じて、プロジェクトが成功するに違いないだろうと思わせられる。説得力のある一冊だ。

各項目の終わりに収録されているコラムも、誰もが知っている有名なプロジェクトについて書かれており、読みごたえがある。ガウディはどのようなリーダーシップを取りながらサグラダ・ファミリア聖堂の建設を進めたのか、日本の新幹線誕生に立ちはだかった多くの試練とは何か、など、非常に面白いエピソードが満載だ。

ライター画像
山下あすみ

著者

降旗 達生
ハタコンサルタント(株)代表取締役。1961年兵庫県生まれ。小学生の時に映画「黒部の太陽」を観て、困難に負けずにトンネルを掘り進む男たちの姿にあこがれる。83年に大阪大学工学部土木工学科を卒業後、熊谷組に入社。ダム・トンネル・橋梁工事など大規模プロジェクトに参画する。阪神淡路大震災にてふるさと兵庫県神戸市の惨状を目の当たりにして開眼。95年より技術コンサルタント業を始める。「現場力」をテーマに研修5万人、現場指導2000件を超える。建設業、製造業、ホテル業、サービス業の現場に密着した支援で、コスト削減、納期短縮の成果を上げている。現場のワークライフバランスに取り組み100社の定着率向上を達成。時代や業界を問わない現場づくりを目指して、日々全国を飛び回っている。著書に『その一言で現場が目覚める』(日経BP社)、『マネジメントの流儀』(ハタ教育出版)など。
http://www.hata-web.com

本書の要点

  • 要点
    1
    プロジェクトを成功させるには、まずリーダーの選任が非常に大切である。仕事ができても、批判的だったり自己中心的だったりして、組織を破壊しかねない影響をもたらす性質をもつ人を選んではならない。
  • 要点
    2
    スケジュールとコストを管理するには、目標を立て、既存よりもよい方法でプロジェクトを進め、ムダを省き、中間チェックし、うまくいった点と反省すべき点を書き出し、再発防止策を考える。
  • 要点
    3
    製品のクオリティを守るための第一歩は、お客様の期待の程度を知り、誰もがわかるようなクオリティの合否の基準を設けることだ。

要約

チームワーク

リーダーが持つ機能が組織に最も強く影響する
monkeybusinessimages/iStock/Thinkstock

チームの雰囲気や意心地の良さによって、プロジェクトの成果も異なる。よって、チームをまとめるリーダーの選任は非常に大切である。

チームメンバーのとる行動は、「TMI理論」と呼ばれる組織論に従うと、T機能、M機能、I機能の3つのうちいずれかに分類されるという。

T機能は「タスク機能」と呼ばれ、率先垂範、意欲、決断力など、組織の目標を達成し、課題を解決する機能のことだ。T機能が高いと業績が向上する一方、強すぎれば目標中心の組織となり、潤いのある人間関係が育たなくなる傾向がある。

M機能は「メンテナンス機能」と呼ばれ、コミュニケーション力、優しさ、協調性など、組織を維持する機能だ。M機能が高いと組織への忠誠心、意欲が高まりチームワークが良くなる。が、強すぎると組織は仲良し集団化し目標達成能力が落ちる。

I機能は「インディビジュアル・ビヘイビア機能」と呼び、組織を破壊する私的な欲求からくる行動を指し、陰口を言う、否定的、協力をしないなど人に悪い影響を与えるものだ。I機能は別の機能を犯し悪い方向に導き、業績が下がる原因にもなってしまう。

新規プロジェクトの場合はすぐに成果を出す必要があるためT機能を持っている人物が最初にリーダーを務めるのが良い。が、T機能が強まるとメンバーのやる気が損なわれるため、時間が経過してからM機能の人物をリーダーにすると良い。I機能の強い人をリーダーにしてはいけない。

チームを活気づける方法

メンバーのやる気を出すためには、給与・勤務体系などの待遇を良くすること/安全、安心、安定した職場環境があること/メンバー同士が信頼し合っており仲良く働きたいと感じること/認められること/成長して働けること、の5つの欲求を満たす必要がある。

プロジェクトチームが安定基地になっていればメンバーはチャレンジでき、その結果思いがけない成功をおさめることがあるが、プロジェクトチームが不安定であると平凡な結果しか生まない。リーダーはプラスの言葉、動作、表情を心がけチームを活性化させよう。

しかしながら、仲良くするだけでは組織管理が甘くなってしまい、不正や着服が「やめられない、とまらない」状態に陥ってしまう。例えば、不正行為が発見されず繰り返され、最終的にメンバーを辞めさせるといった状況にもなりかねない。大切なメンバーを守るためにも、管理体制はきちんと保たねばならない。

リーダーシップ

リーダーとは何か
sculpies/iStock/Thinkstock

リーダーとマネージャーは異なる役割を果たす。リーダーは指導者で、メンバーを引っ張り、その気にさせ、彼らの能力を最大限に発揮させ、プロジェクトを目標に到達させることを目指す存在である。一方、マネージャーとは管理者であり、メンバーにルールを伝え、それに従っているかどうかをチェックしうまくいっていない時は改善する存在である。プロジェクトを成功させるためには、両方とも必要である。

イタリアの歴史の教科書によると、リーダーに必要な資質は知力/説得力/自己制御/肉体的耐久力/持続する意思を持つことだそうで、カエサルだけがこの全てを持っていたのだという。もしあなたが、これらの資質に欠けると感じたとしても、メンバーにゴールを見せ、それに向かって先頭を走ることによって、ごく自然にリーダーとしてふさわしい行動をとっている人になる。1500人の人を指揮し、黒部ダム建設のためのトンネルを、土砂が崩れ落ちてくるなか先頭に立って掘り進んだ笹島という人がいる。彼がたどり着いたリーダーのあり方は、「怒鳴っても駄目、甘やかしても駄目、惚れさせること」だという。

リーダーがすべきこと、してはいけないこと
nensuria/iStock/Thinkstock

リーダーはプロジェクトを一人で行ってはならない。

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要約公開日 2015.06.17
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