大前研一ビジネスジャーナル No.6
「教える」から「考える」へ 世界の教育トレンド/日本人の海外シフトの現状と課題

未 読
大前研一ビジネスジャーナル No.6
ジャンル
著者
大前研一(監修) good.book編集部(編)
出版社
定価
1,620円
出版日
2015年07月17日
評点
総合
4.2
明瞭性
4.5
革新性
4.0
応用性
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「教える」から「考える」へ 世界の教育トレンド/日本人の海外シフトの現状と課題
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大前研一(監修) good.book編集部(編)
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定価
1,620円
出版日
2015年07月17日
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総合
4.2
明瞭性
4.5
革新性
4.0
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レビュー

本書は、大前研一氏が行う経営者向けのセミナーを再構成した『大前研一ビジネスジャーナル』の第六弾である。テーマは、「世界の教育トレンド」と「日本人の海外シフトの現状と課題」の二本立てだ。

大前氏によると、世界の二大トレンドは、アジア型詰め込み教育と、北欧型の「考える」教育であり、日本はどっちつかずの教育システムになっているという。本書の読みどころの一つは、幼稚園から起業家養成コースを設けるフィンランドや、超エリート主義で優秀な人材を育てるシンガポールなど、世界の特徴的な教育を俯瞰できる点である。

また、新興国に進出する世界の一流大学や、アフリカへの投資を増やし、輸出入ともにアフリカの主要貿易相手国の座を射止めた中国など、グローバル化のうねりの中で、生き残ろうとする世界各国の戦略が浮き彫りになる一冊だといえる。

いつ読んでも新鮮な発見や鋭い分析に満ちた本シリーズは、大前節とも表現できるような軽快なテンポで語られており、読者の知的好奇心をとらえて離さないことだろう。教育とグローバル化への対応という二大テーマは、グローバル人材の育成に携わる方はもちろん、どんな業態、業種の企業にとっても当事者意識を持って対処せざるを得ないテーマである。過去の経験則が通用しなくなっている今だからこそ、大前研一氏の優れた洞察と鋭い提言に、じっくり耳を傾けるべきではないだろうか。

松尾 美里

著者

大前 研一(おおまえ・けんいち)
1943年、福岡県若松市(現北九州市若松区)生まれ。早稲田大学理工学部卒業。東京工業大学大学院原子核工学科で修士号、マサチューセッツ工科大学大学院原子力工学科で博士号を取得。経営コンサルティング会社マッキンゼー&カンパニー日本社長、本社ディレクター、常務会メンバー、アジア太平洋地区会長等を歴任。94年退社。96~97年スタンフォード大学客員教授。97年にカリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)大学院公共政策学部教授に就任。 現在、株式会社ビジネス・ブレークスルー代表取締役社長。オーストラリアのボンド大学の評議員(Trustee)兼教授。 また、起業家育成の第一人者として、05年4月にビジネス・ブレークスルー大学大学院を設立、学長に就任。2010年4月にはビジネス・ブレークスルー大学が開学、学長に就任。02年9月に中国遼寧省および天津市の経済顧問に、また10年には重慶の経済顧問に就任。04年3月、韓国・梨花大学国際大学院名誉教授に就任。「新・国富論」、「新・大前研一レポート」等の著作で一貫して日本の改革を訴え続ける。『原発再稼働「最後の条件」』(小学館)、「洞察力の原点」(日経BP社)、「日本復興計画」(文藝春秋)、「一生食べていける力」がつく大前家の子育て(PHP研究所)、「稼ぐ力」(小学館)、「日本の論点」(プレジデント社)など著書多数。

本書の要点

  • 要点
    1
    世界の初等・中等教育の二大トレンドは、アジア型の詰め込み教育と、北欧型の「考える」教育である。日本は、北欧型の教育に舵を切り、義務教育によって「社会性のある人間をつくる」ことと、大学によって「食べていく手段を身につけさせる」ことを目指すべきである。
  • 要点
    2
    新興国市場において各国の企業がシェアを奪い合う中、日本企業の進出は遅れをとっている。日本企業をグローバル化させるためには、他国の人材を国内に受け入れ、他国に浸透している人たちとネットワークを築くことが必要になる。

要約

【必読ポイント!】 世界の教育トレンド

転換を迫られる日本の教育

日本の国家戦略を考えるうえで一番大切な問題は教育である。日本は、クオリティの高い人材を一斉に育てて産業界に提供する「大量生産型」教育を行ってきた。そこでは、他の国や人がすでに導き出した答えをいかに早く覚え、再現するかに重きが置かれている。この「大量生産型」教育に取り組む巨大新興国が増えている今、日本が従来の教育を続けていても、国の競争力を高めることはできないだろう。

21世紀は、自分の頭で考え、新たな付加価値をつくりだす人材の数によって、国家の力が決まる時代になっている。この15年ほどの間に、教育の力で優秀な人材を多く輩出している国を見ると、いずれも「答えのない教育」を実践している。日本も、突出した能力を持つ個人の育成を目標にしなければならない。

世界で活躍する日本人の共通項は、次の二つである。一つは、文科省のカリキュラムの外で育っていることだ。二つ目は、幼少の頃からチューターやインストラクターといった個人教授からテーラーメイドの教育・訓練を受け、才能を伸ばしていることである。優秀な人材の能力をさらに伸ばすことで、国力を向上させることが求められている。

            
世界の教育動向
andresrimaging/iStock/Thinkstock

イギリスやアメリカなどの先進国では、「ボーディング・スクール」という全寮制の寄宿学校がエリートを養成する役割を担っている。また、アメリカには世界トップレベルの大学がそろっており、世界中から留学生が集まっている。かつて米国では、留学生の中では日本からの学生が一番多かったが、現在は減少の一途をたどっている。その理由は、多くの日本企業がアメリカへの企業派遣をやめてしまったことと、日本人がTOFLEで留学に必要なスコアを取ることができないことである。TOEFLでは、日本人が苦手な論理思考と英語の組み合わせが問われるのだ。

アメリカのトップ大学は、非常に高い留学生比率や外国人教員比率を誇っている。その一方で、国全体としては就学率が下がり続け、大学中退率も54%と非常に高い。高校に行かなかった人と、大学を卒業した人の収入の違いが顕著であり、収入格差が、さらに子どもの教育格差や成績格差につながるという状況を生み出している。

誰もが無償で受けられるオンライン講座

世界のトップ大学は、誰もが無料で受講できるオンライン講座、MOOC(ムーク)を普及させようとしている。中でも、初等・中等教育を行うカーン・アカデミーは、ネットを通じて高水準の教育を誰にでも無償で提供するというコンセプトを持ち、子どもが学習の集中力を持続させるための工夫が凝らされていて、効果を上げている。

 
アジア型詰め込み教育と、北欧の「考える教育」
shironosov/iStock/Thinkstock

世界の初等・中等教育の二大トレンドは、アジア型の詰め込み教育と、北欧型の「考える」教育である。日本はどっちつかずのまま、中途半端な教育システムになっており、学習到達度調査(PISA)の2009年の結果を見ても、日本の順位は大幅に下がっている。

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2015年07月17日
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