会社を元気にする51の「仕組み」の表紙

会社を元気にする51の「仕組み」


本書の要点

  • 会社に元気があれば、ピンチやチャンスが訪れても乗り越えられる。会社の元気は、社員一人ひとりの高いモチベーションによってもたらされる。

  • 社員の高いモチベーションを持続させるためには、型破りであっても、イキイキと気持ちよく働ける「仕組み」を作ることが大切である。

  • 同社では、社員全員で各人の給料を査定する。他者から自分の仕事ぶりについて厳しい意見を言われる場面もあるが、それは互いの成長をサポートし合う風土が根付いているからこそである。

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【必読ポイント!】 自身の成長を自覚し、社内でのポジションを知る

全員で決め、即座に実行する

アクロクエストで最も重要とされているのは、「MA」と呼ばれる全社員での会議だ。月に1回開催され、社員は原則全員参加となっている。後述するユニークな仕組みの多くがこのMAの場で生み出された。重要なのは、絶対に多数決をとらないことと、決まったことは即座に実行することだ。全員が納得するまで終わらないため、午後1時から6時まで、時にはそれ以降にまで及ぶこともある。ギスギスしてしまいそうに思えるが、実際には終始ざっくばらんな雰囲気で行われる。同社は理系大学院出身者が大半を占めており、社員は論理的に発言する傾向にあるため、議題が堂々巡りになったり、感情的になったりすることがないのだという。また、会を形骸化させないために、事前の議題選定や、喋らない社員への対応など、MAを充実させるための案も常に考えられている。社員全員が議題を他人事としてとらえず、問題解決のために頭をひねる。「決断し、変革していく場」として、MAは同社の社風の源となっている。

失敗もよい行動も、その場ですぐに拾い上げる

©iStock.com/Jacob Ammentorp Lund

仕事をする上では失敗はつきもの。時には、同じような失敗を何度も繰り返してしまうこともあるだろう。そんなとき同社では、「バリ金」という仕組みで解決している。これは、社内で起こりがちな失敗に名前をつけ、それを他の社員から指摘された場合、ペナルティとして100円を支払うというものだ。たとえば、明確に指示された内容を実行していないことは「I・B・M(言っても、ぼーっと、無視する)」、よくわかっていないのに知ったかぶりをすることは「N・H・K(生返事)」と呼ばれる。バリ金の目的は金銭をやり取りすることではなく、失敗からの切り替えを容易にすることだ。ありがちな失敗であれば、長々と説教したり、いつまでも引きずったりすることにあまり意味はない。バリ金をとられた社員はベルを鳴らして胸にカエル(失敗を振り「カエル」)のバッジをつけ、まわりの社員はそれを拍手で受け入れる。バリ金は上下の関係なく発生するので、社内の活性化にも役立っている。一方、よい行動に対しては、100円をプレゼントして褒め称える「ホメキンコン」という仕組みもある。こうしたセレモニー化によって、失敗の再発を防ぎ、よい行いをどんどん奨励するというメッセージを社員に伝えることができるのだ。

自身の成長を振り返る「社員ファイル」「ITスキル年表」

同社の社員になると、入社から退職までの成長が記録された個人別のファイルが作られる。

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要約公開日 2015.10.05
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