ゴールドプランなら4,000冊以上が全文読み放題! 7日無料体験はこちらから
なぜ気づいたらドトールを選んでしまうのか?の表紙

なぜ気づいたらドトールを選んでしまうのか?


本書の要点

  • ドトールの創業者は、「コーヒーで人に喜んでほしい」という思いを起点に、「一杯150円で成り立つ店づくり」を考えていった。コーヒーやフード、食器、すべてにおける本物へのこだわりが、顧客が殺到する店づくりにつながった。

  • ドトールは、おいしいコーヒーの三要件、コーヒー豆、焙煎、抽出の全プロセスを徹底的に改革していった。

  • ドトールは、タバコのイメージを払しょくするために、独自の空調システムを生み出し、外装を白くした「白ドトール」を登場させ、イメージを刷新した。

1 / 4

【必読ポイント!】 ドトールの「こだわる」理由は創業にあり

ブラジルに渡った若者の一大決心

ドトールが全国に広がっていった背景には、創業者である鳥羽博道氏の強烈な理念と、それを支える数々のドラマがあった。

昭和30年代、当時20歳でコーヒーの卸売会社に勤めていた博道氏は、ブラジルの農園を手伝うという一大決心をした。ブラジル人とのつながりを育てた3年間を経て、理想の会社は自分でつくるしかないと考えた博道氏は、帰国の翌年に有限会社ドトールコーヒーを設立した。

コーヒー豆の焙煎卸業はなかなか軌道に乗らず、毎朝のように「倒産」の文字が博道氏の頭をよぎったという。そんな中、驚くような回転率を誇る京都の喫茶店にめぐり会った。そのことがきっかけとなって、博道氏は、当時の喫茶店が持つ退廃的で不健康なイメージを払しょくし、老若男女が気軽に集まる新しい喫茶業を生み出したいと思い始めたのである。こうして、ドトールの前身となるコーヒー専門店「カフェ・コロラド」が、1972年、東京・三軒茶屋に誕生し、驚くほどの繁盛ぶりを見せた。本格的なコーヒーと、他にはない軽食、そして創業者のブラジルでの経験やセンスが活きた内装デザイン。これらが評判を呼び、コロラドは10年かけて250店舗にまで拡大していったのである。

一杯150円で成り立つ店づくり

博道氏は、ヨーロッパの焙煎業や喫茶業の視察ツアーに参加し、パリのコーヒー文化や、ドイツの有名コーヒーショップにあった挽き売りコーナー、スイスの焙煎工場のクリーンさにふれ、大きな感動と気づきを得る。「安い値段で、さっとコーヒーを飲んで会社に向かえる」。ヨーロッパで見た構想を、日本で実現するときが来たと直感した。それが形になったのが、1980年、東京・原宿に誕生したドトール一号店である。

世間を驚かせたのは、コーヒー一杯150円という革命的な価格設定だった。喫茶店で飲めば、300円、400円が当たり前の時代である。博道氏は「コーヒーで人に喜んでほしい」という思いを起点に、そこから逆算してフードメニューの充実や、全自動で抽出する機械の導入など、「一杯150円で成り立つ店づくり」を考えていった。

極限までこだわるドトールの流儀

©iStock.com/milosljubicic

ドトール一号店には、本格的なコーヒー、そして一客2300円という高級カップが用意されていた。業界から見ても「クレイジー」に映る本物へのこだわりが、顧客にもきちんと伝わっていたからこそ、顧客が殺到したのだろう。「今までにないものをつくり上げていく」という創業者の思いは、ミリ単位で計算し尽くされた形のオリジナルカップにも現れている。

もっと見る
この続きを見るには...
残り3136/4221文字

4,000冊以上の要約が楽しめる

要約公開日 2015.09.30
Copyright © 2025 Flier Inc. All rights reserved.

一緒に読まれている要約

合理的なのに愚かな戦略
合理的なのに愚かな戦略
ルディー和子
なぜ、メルセデス・ベンツは選ばれるのか?
なぜ、メルセデス・ベンツは選ばれるのか?
上野金太郎
世界一の馬をつくる
世界一の馬をつくる
前田幸治
日本スターバックス物語
日本スターバックス物語
梅本龍夫
気仙沼ニッティング物語
気仙沼ニッティング物語
御手洗瑞子
人口蒸発「5000万人国家」日本の衝撃
人口蒸発「5000万人国家」日本の衝撃
一般財団法人日本再建イニシアティブ
労働法 正しいのはどっち?
労働法 正しいのはどっち?
千葉博
#GIRLBOSS
#GIRLBOSS
ソフィア・アモルーソ阿部寿美代(訳)

同じカテゴリーの要約

Z家族
Z家族
博報堂生活総合研究所
強いLLMO
強いLLMO
竹内渓太
センスのよい考えには、「型」がある
センスのよい考えには、「型」がある
佐藤真木阿佐見綾香
ファンダムマーケティング
ファンダムマーケティング
高野修平
新版 エスキモーに氷を売る
新版 エスキモーに氷を売る
ジョン・スポールストラ佐々木寛子(訳)
影響力の武器【第三版】
影響力の武器【第三版】
ロバート・B・チャルディー二社会行動研究会(訳)
ファスト&スロー
ファスト&スロー
ダニエル・カーネマン村井章子(訳)
ストーリーとしての競争戦略
ストーリーとしての競争戦略
楠木建
なぜ4人以上の場になると途端に会話が苦手になるのか
なぜ4人以上の場になると途端に会話が苦手になるのか
岩本武範
【新】100円のコーラを1000円で売る方法
【新】100円のコーラを1000円で売る方法
永井孝尚