新版 経営分析の基本

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新版 経営分析の基本
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出版社
日本実業出版社

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出版日
2023年03月20日
評点
総合
4.0
明瞭性
4.0
革新性
3.0
応用性
5.0
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おすすめポイント

貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書――。ビジネスパーソンであれば、一度は耳にしたことがあり、実際に会社の財務諸表を見たことのある人がほとんどだろう。にもかかわらず、これらを使って経営分析をする、と聞くと、経営者や一部の経理担当者、あるいは株式投資をする人だけに必要なスキルのように思えてしまう。「経営分析」というのはそれだけハードルが高いものなのだろうか?

本書は、そんな経営分析を学ぶ際のハードルを下げてくれる。導入は財務諸表のしくみの説明から始まるが、それをどのような指標で分析し、どこに着目すればよいかまでをしっかりと解説されているため、順に読んでいけば、経営分析に必要な基礎知識が身につくようになっている。日本航空やトヨタ自動車など実際の企業の数字も多く取り上げられており、「形式的な分析ではなく、数字の奥に潜む事実を見極める能力こそが必要」という著者の意気込みがうかがえる内容だ。

経営分析指標の用語や計算式が多く登場するため、とっつきにくく思えるかもしれないが、食らいついて読み進めていくだけの意義のある本である。かつて会計を勉強してそれっきり、という人こそ、ぜひチャレンジしてみてほしい。読み終えたときには、本書を片手に、自社や他社の財務諸表を分析してみたくてたまらなくなっているはずだ。

※本要約は、過去に作成した要約を最新版に合わせて一部再編集したものです。

著者

林 總(はやし・あつむ)
公認会計士、税理士、LEC会計大学院客員教授、元明治大学専門職大学院特任教授。監査法人勤務を経て独立。現在、経営相談の対応、講演、執筆活動などを行なっている。著書に、ベストセラーとなった『餃子屋と高級フレンチでは、どちらが儲かるか?』のほか、『美容院と1000円カットでは、どちらが儲かるか?』『50円のコスト削減と100円の値上げでは、どちらが儲かるか?』『[新版]わかる! 管理会計』『会計の教室』(以上、ダイヤモンド社)、『ドラッカーと会計の話をしよう』(中経出版)、『新版 正しい家計管理』『正しい家計管理 長期プラン編』(以上、すみれ書房)、『この1冊ですべてわかる 原価計算の基本』『「原価計算」しているのに、なぜ「儲け」が出ないのか?』(以上、日本実業出版社)などがある。

本書の要点

  • 要点
    1
    経営分析の目的は、会社が健全な財務状態を維持しながら、将来にわたって存続するために必要な利益(儲け)を上げているかを見極めることである。
  • 要点
    2
    会社はビジネスサイクルを回し、その過程で新たな現金を生み出す。ROAを高めるには総資産の回転を速め、少ない費用で多くの売上を上げることが経営者の使命である。
  • 要点
    3
    財務諸表には、ある時点・ある期間の結果を「静止画」としてしか表現できないなどいくつかの限界があるが、だからこそ会社の実態を端的に知ることができる。一方で、時間軸を加えた動的な分析をしようとする試みもある。

要約

なぜ、経営分析が必要なのか

財務諸表を読むことは、ビジネスの実態を読むこと
©iStock/BartekSzewczyk

経営分析とは、会計数値やその他様々なデータを使い、その良否を判定して会社の健康状態や問題を診断する方法のことである。分析の中心は財務諸表だ。財務諸表にはビジネスの実態が表れるため、正しいアクションを起こすためには、財務諸表を読み解き、異常を見つけて手を打つ訓練が不可欠である。

財務諸表は強力な情報源となるが、会社の従業員の資質や製品の優劣などの非財務情報が載っていない、会社のある時点・期間のビジネスの結果を切り出してしか表現できない、といった「限界」がある。しかしこれらの限界は、経営分析そのものを否定するものではない。会計を使って会社を表現することで、膨大なデータからはつかむことができないアナログ的な情報を提供するのが、財務諸表の特長である。

財務三表は密接に結びついている

財務諸表のうち、貸借対照表・損益計算書・キャッシュフロー計算書は「財務三表」と呼ばれる。これらは独立しているのではなく、すべてが完璧に結びついている。分析の上では、この3つの結びつきを理解することが大切だ。

まずはそれぞれのしくみを理解しよう。1年ごとの区切りの時点における会社の財政状態を表したものが貸借対照表で、区切られた期間における「収益」と「費用」、その差の「利益」を表すのが損益計算書、そして同期間の現金預金の動きを表すものがキャッシュフロー計算書である。財務三表の中心は貸借対照表であり、残りの2つは補完的な財務情報を提供する。また「利益は意見、現金は現実」という言葉にあるように、損益計算書よりもキャッシュフロー計算書のほうが会社の現実を表現しているということができる。

貸借対照表で会社の基礎がわかる

会社の財政状態を表す貸借対照表では、決算日時点の資産が左側(借方)に、負債と株主資本(自己資本)が右側(貸方)に記載される。左右の合計金額は常に均衡するため、別名「バランスシート(B/S)」とも呼ばれている。

貸方には「負債(他人資本)」と「株主資本」があるが、その2つは性質を大きく異にする。負債は取引先や金融機関などから調達した資金のため、いずれ返済する必要があるのに対し、「株主資本」は株主が払い込んだ資金やこれまで積み上げてきた利益の総額のことなので、返済の必要はない。

一方の借方には「資産」が記載される。売掛金や棚卸資産などの流動資産から、所有する建物や土地などの固定資産まで様々な種類があるが、重要なのは、

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要約公開日 2023.03.17
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