お客様の“気持ち”を読みとく仕事コンシェルジュ

ホスピタリティのプロを目指すあなたへ
未読
お客様の“気持ち”を読みとく仕事コンシェルジュ
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著者
未読
お客様の“気持ち”を読みとく仕事コンシェルジュ
著者
出版社
秀和システム
定価
1,540円(税込)
出版日
2015年08月30日
評点
総合
4.0
明瞭性
4.5
革新性
3.0
応用性
4.5
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おすすめポイント

コンシェルジュという職業に対し、「ホテルの宿泊客のあらゆる要望を魔法のように叶えてくれる人」、という印象がある方も多いかもしれない。しかし「頼まれたことをそのまま実行するのでは不十分」なのだという。すべては、宿泊客への「満足」をいかにして高めるかにある。そのゴールをどうやって目指すかについて丁寧に書かれているのが本書である。長年にわたるコンシェルジュ経験の中から、成功だけでなく失敗から得た教訓をもベースに、ホスピタリティの何たるかについて説いている。

その中で注目すべきは、コンシェルジュとは単独作業ではなくチームプレーであるということ。シフト制であるため、例えば「●時までに○○をお願い」という依頼を受けるのはスタッフAでも、お客様が再びコンシェルジュデスクに来たときに対応するのはスタッフB、ということは多々ある。AがBにいかにわかりやすく引き継ぐか、どこまで進めてバトンタッチしたらよいか。コンシェルジュになりたいという人への心掛けだけでなく、組織としてひとつのゴールを目指すにはどうあるべきかについても描かれているので、マネジメントの観点からもぜひ読んでいただきたい。

最後に「コンシェルジュという役を演じる」「いつも機嫌よく、心からの笑顔でいること」について触れられている。少しの失敗がお客様の評価に大きく響く接客の世界は、並大抵のプロ意識では務まらないのだろう。ユニフォームの襟元に燦然と輝く「レ・クレドール」のバッジが似合う、著者の笑顔に惹きつけられる。

ライター画像
下良果林

著者

阿部 佳(あべ・けい)
1959年東京生まれ。1992年ヨコハマ グランド インターコンチネンタルホテルにコンシェルジュとして入社。その後、コンシェルジュの世界組織『レ・クレドール(Les Clefs d’Or)』国際会員となる。1998年に『レ・クレドール ジャパン』プレジデント(会長)に就任。国内外のコンシェルジュのネットワークの拡充、後進の育成、国内でのコンシェルジュに対する認識を高めるための活動に従事。2000年には日本ホスピタリティ推進協会より、ホスピタリティの精神に基づき、職責を超えて分け隔てなく他人のために尽くした人に与えられる『The Best Hospitality Prize of the Year 2000』を受賞。2002年にグランド ハイアット 東京チーフコンシェルジュに就任。現在はコンシェルジュとして多岐にわたる国内外のゲストリレーション業務、および後進育成に従事。2015年4月より、明海大学ホスピタリティ・ツーリズム学部教授も務めている。著書に『わたしはコンシェルジュ』(講談社)がある。「プロフェッショナル 仕事の流儀」(NHK)など、メディア出演多数。

本書の要点

  • 要点
    1
    お客様の漠然とした希望について、話を聞き出しながらベストの提案を探り当てることが大切だ。会話中の細かな表情にも細心の注意を払うべきである。
  • 要点
    2
    要望にそのまま応じるのでは十分ではない。無理な依頼には「どうすれば喜んでもらえるか」を意識し代案を出そう。お客様の言葉の裏にある「本当の望み」を叶えるのがコンシェルジュの仕事だ。
  • 要点
    3
    違和感を大切にしよう。接客中、少しでも「何か違う」と感じたら、そのままにせずに何度も確認する勇気を持つこと。お客様の要望をとことん明確にし、ベストな提案ができるように心がけよう。

要約

すべてのお客様に「居心地の良さ」を提供する

言葉だけでなく「反応」も確認する

「今日は一日休みなんだ。何をしようか? どこがおすすめ?」という漠然としたお客様の要望に対し、いくつかアイデアを投げかけたり、地図や資料を提示しながらさりげなく相手の反応を見る。表情の変化に細心の注意を払い、良い反応を示したら丁寧に説明する。

相手の要望を形づくるために、言葉にならないサインも情報としてキャッチすることが大切である。常日頃から自分のアンテナの感度は高めておこう。以前にも宿泊したことがあるお客様なら、オーダー記録のあるデータベースを見ることで、会話の糸口や次の提案のヒントを得るのも良いだろう。

お客様のミスは「ユーモア」でフォロー
©iStock/kadmy

「部屋の中に鍵を忘れたまま、ドアをロックしてしまった」という類いの依頼では、お客様はあわてていたり、恥ずかしさを感じているものである。そのような場合、まずは安心してもらうことが肝要だ。「お客様、今日、その用件で見えたお客様は、あなただけではありませんよ」といった、ウィットやユーモアのある言葉をかければ、相手も安心するはずである。

ほかにも、クレジットカードが使えないなど、お客様が不快な思いをするかもしれない案件については、自分が言われたらどうかを考え、言葉遣いに配慮をする。「このカードは使えません」ではなく、お客様の気持ちをくみ取り、言葉で寄り添うというスタンスが大切だ。

【必読ポイント!】お客様の「立場」で考えるのではなく、「気持ち」に共感する

勝手な思い込みはミスのもと!

著者がまだ駆け出しの頃、ある場所までのルート案内をする際、タクシーではなく電車のほうが安く渋滞の心配もないので、あらゆるお客様に電車の利用をすすめていたことがあった。

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要約公開日 2015.11.17
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