人とコミュニケーションをとるときに、必要最低限のことを言えば用事は済むという考えもあるかもしれないが、果たしてそれは気持ちのいいコミュニケーションといえるだろうか。たとえば誰かに貸したものが返ってきたとき、ただ事務的に「お返しします」と添えられているのと、「絵本、お返しします。おかげで、英語の苦手意識が消えました。ありがとうございます。」のように、相手への感謝の気持ちが表されているのとでは、受け取る印象は全く異なるだろう。
人とやりとりするときに、相手のことを思いやり、心をこめて気持ちを表現する。それをされて嬉しくない人間はおそらくいない。難しく考える必要はない。相手が好きなもの、関心のあるものについての情報をちょっと添えたり、日ごろから思っている感謝の気持ちや尊敬の念を、素直に表現したりすればよいのだ。それだけで、相手との距離感はぐんと縮まり、人づきあいもスムーズになるに違いない。
相手に気持ちを伝えるといっても、仰々しく考えなくてもよい。時候の挨拶から始まる長く堅苦しい手紙を書かなくても、日ごろのやりとりの中で「ひと言」は簡単に添えることができる。たとえば、イベントや結婚式の招待状や案内状、転居や転職のお知らせなど、印刷されたものであっても、そこに手書きでひと言書き加えることはできる。
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