アップル、グーグルが神になる日の表紙

アップル、グーグルが神になる日

ハードウェアはなぜゴミなのか?


本書の要点

  • ネットとリアルが融合するIoTを実現させるうえで、BLEという無線通信が注目されている。

  • アップルが開発した、近距離での位置情報検出技術「iビーコン」によって、事業者は自分たちが設置したビーコン付近において、ユーザーがいつ、どこで、どれくらいの頻度で、どのくらいの期間滞在し、何を購入したかを把握できる。

  • アップルやグーグルといったプラットフォーム企業は、あらゆる分野においてリアルとネットを同期するための仕組みをつくり上げようとしている。

1 / 3

IoTの最後のピース、BLE

アップルも推進するBLEとは?

モノ同士が通信し合い、ネットとリアルが融合するIoTを実現させるうえで不可欠なのは、消費電力が少なくて済む無線通信である。その一種であり、これまでヘッドフォンやキーボードくらいにしか使われていなかったブルートゥースが、最近「BLE(Bluetooth Low Energy)」へ進化を遂げ、新しい可能性を生んでいる。BLEは従来のブルートゥースと比べて桁違いに消費電力が低い。機器同士を一対一で接続していた従来のタイプと違って、無数の機器が発信するデータをスマートフォンやパソコンで受信する前提に立っている。BLEは機器自体が備えている機能と、アプリによる「振る舞い」を完全に分離しているため、今後開発されるアプセサリ(アプリと連携するハードウェア周辺機器)にも対応することが可能なのだ。例えば、温度センサーを備えた機器があれば、アプリの設計次第で、医療用の体温計としても天候観測用の気温計としても利用できる。アップルは、自社製品の基盤技術として、このBLEを戦略的に推進している。iPhoneがBLEに対応したことで、数千万台規模のBLEアプセサリ市場が誕生した。BLEアプセサリを開発しやすい環境を用意し、エコシステムを構築して、魅力的なBLEアプセサリが登場することで、それらと連携するiPhoneやiPadの魅力も増すというわけだ。

ビーコンが実現できること

©iStock.com/gpointstudio

BLEは、データの取得、機器の操作、存在の認識の3つを可能にした。中でも、アップルが開発した「iBeacon(以下、iビーコン)は、ネットからリアルの位置を確認する「存在の認識」を利用した、近距離での位置情報検出技術である。

もっと見る
この続きを見るには...
残り2979/3702文字

4,000冊以上の要約が楽しめる

要約公開日 2016.01.08
Copyright © 2025 Flier Inc. All rights reserved.

一緒に読まれている要約

世代論の教科書
世代論の教科書
阪本節郎原田曜平
「地球人財」がグローバル時代を勝ち抜く
「地球人財」がグローバル時代を勝ち抜く
一般財団法人国際ビジネスコミュニケーション協会(編)
インダストリー4.0
インダストリー4.0
岩本晃一
コーオウンド・ビジネス
コーオウンド・ビジネス
細川あつし
熱狂宣言
熱狂宣言
小松成美
2020年 世界経済の勝者と敗者
2020年 世界経済の勝者と敗者
ポール・クルーグマン浜田宏一
中国のスティーブ・ジョブズと呼ばれる男
中国のスティーブ・ジョブズと呼ばれる男
陳潤永井麻生子(訳)
ブランド・ジーン 繁盛をもたらす遺伝子
ブランド・ジーン 繁盛をもたらす遺伝子
阪本啓一

同じカテゴリーの要約

ユニクロ
ユニクロ
杉本貴司
ローソン
ローソン
小川孔輔
ケーキの切れない非行少年たち
ケーキの切れない非行少年たち
宮口幸治
トヨタの会議は30分
トヨタの会議は30分
山本大平
シン・サウナ
シン・サウナ
川田直樹
リッツ・カールトンが大切にする サービスを超える瞬間
リッツ・カールトンが大切にする サービスを超える瞬間
高野登
PLURALITY
PLURALITY
オードリー・タンE・グレン・ワイル山形浩生 (訳)鈴木健(解説)
キーエンス解剖
キーエンス解剖
西岡杏
両利きの経営(増補改訂版)
両利きの経営(増補改訂版)
チャールズ・A・オライリーマイケル・L・タッシュマン入山章栄(監訳・解説)冨山和彦(解説)渡部典子(訳)
2030年
2030年
ピーター・ディアマンディススティーブン・コトラー土方奈美(訳)