人生を面白くする 本物の教養

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人生を面白くする 本物の教養
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人生を面白くする 本物の教養
出版社
幻冬舎
出版日
2015年09月30日
評点
総合
4.0
明瞭性
4.0
革新性
4.0
応用性
4.0
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おすすめポイント

教養の高さとは、ただ単に物を知っているということや、学歴で判断できるものではないことは誰もが認識していることだろう。「教養がある人だ」という言い方は、人間の知的な面を評価する場合の最高の賛辞だと個人的には思っている。しかし、「教養とは何か?」と問われれば、多くの人がその答えに窮してしまうにちがいない。

本書は、そんな「教養」について、本物の教養とは「人生を楽しむためのツール」であり、その本質は「自分の頭で考えること」だと明確に説明する。しかし、日本人の教養については、「レベルが低い」と手厳しい。海外でのビジネス経験が豊富な著者は、欧米人と日本人の学びや思考法、教育や社会について対比させ、それがどのように日本人の教養のなさにつながっているかを解説している。

著者によれば、「あまり考えることなく、自分の意見を持ってこなかった」日本人であるが、今のような成長を期待できない先行き不透明な時代こそ、「自分の頭でしっかりと考え、自分の意見を持つ」ことが求められているのだという。その課題認識こそが更に教養を深め、まだ「伸びしろ」がある日本を伸ばすことにもつながるのだ。

本書には、企業経営者である著者の具体的な思考法や行動・管理法、読書や旅、英語活用などについても詳しく書かれており、ビジネスという枠を越え、人としての「生き方」のヒントをくれる教科書と位置付けられる一冊だ。

著者

出口 治明
ライフネット生命保険株式会社代表取締役会長兼CEO。1948年、三重県生まれ。京都大学法学部卒業。72年、日本生命保険相互会社入社。企画部や財務企画部にて経営企画を 担当する。ロンドン現地法人社長、国際業務部長などを経て、2006年に同社を退職。同年、ネットライフ企画株式会社を設立し、代表取締役社長に就任。08年4月、生命保険業免許取得に伴い現社名に変更、13年現職。『生命保険入門 新版』(岩波書店)、『直球勝負の会社』(ダイヤモンド社)、『仕事に効く教養としての「世界史」』(祥伝社)、『本の「使い方」』(角川oneテーマ21)、『「働き方」の教科書』(新潮社)など著書多数。

本書の要点

  • 要点
    1
    教養は人生を楽しむために必要なものであるが、日本人の教養レベルは国際的には低いと言わざるを得ない。
  • 要点
    2
    「自分の頭で考えること」が教養の本質である。一方で、よく考えもせずに、情報を鵜呑みにしてしまう人が多いことは問題だ。
  • 要点
    3
    時間・歴史軸である「タテ」と空間・世界軸である「ヨコ」の二次元で考えると物事の理解が深まる。また、物事を考える際には、「国語(定性的)」ではなく、「算数(定量的)」に捉えると良い。
  • 要点
    4
    著者の教養を培ってきたものは、「本」「人」「旅」の3つである。本から50%、人から25%、そして旅から25%程度の学びを得ているそうだ。

要約

【必読ポイント!】 教養とは何か

教養は人生を楽しむためのツール

教養は人生を楽しむためのものであり、戦後の日本人は、関心事が経済やビジネスに偏り過ぎ、「心の幅」が不足している。人生を楽しむ心があれば人間の幅が広がり、魅力が深まる。教養はそのためのツールなのだ。

教養には、ある程度の知識が必要だが、知識は道具であり手段にすぎない。知識があることで人生の楽しみが増え、興味の範囲を広げてくれる。興味の対象が多いほど、本当に好きなものや打ち込めるものが見つかる確度が高くなる。選択肢の幅が広がることは、決して悪いことではないだろう。

「自分の頭で考えられる」ことが教養
©iStock/andresrimaging

教養のもう一つの本質は「自分の頭で考える」ことである。科学史家の山本義隆氏は、勉強の目的について「物事を自分の頭で考え、自分の言葉で自分の意見を表明できるようになるため」と語っている。

「自分の頭で考える」際には「腑に落ちる」ことが一つのバロメーターになる。最近はネットやテレビ番組の情報を知るだけで分かった気になっている人も多いので、注意が必要である。

誰かの話や情報ですぐに分かったと思うのではなく、自分の頭で考えて納得できることが大切なのだ。「腑に落ちる」まで考えているかどうか、慎重になった方がいい。世の中のたいていの物事には明確な「答え」がない。逆に、一見すっきりした「答え」は、重要なことがそぎ落とされていることがある。

様々な情報を集め、自分の頭で検証して納得することが「自分の頭で考える」ことである。「腑に落ちない」なら、妥協せずに探求を続けることが大切だ。そうして「腑に落ちた」なら納得できたということであり、次の行動において、人の本気を呼び起こすのだ。

意見が決められないのは「考え不足」

意見を選択しなければならない時、「どちらとも言えない」と答えるのは、問題を真剣に考えず、勉強不足だからである。

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要約公開日 2015.12.31
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