ドラッカー教授『現代の経営』入門

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ドラッカー教授『現代の経営』入門
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出版社
総合法令出版

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出版日
2016年01月04日
評点
総合
4.2
明瞭性
4.5
革新性
4.0
応用性
4.0
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おすすめポイント

ピーター・ドラッカーが1954年に上梓した、世界最古の体系的なマネジメントの教典と呼ばれる『現代の経営』。この不朽の名作を読み解く解説書の決定版が本書である。

戦後の時点で「知識により付加価値を生み出す知識労働者の重要性」という現代の様相を予言するなど、卓越した洞察力を発揮したドラッカー。日本ではドラッカーといえば『マネジメント』が有名だが、『現代の経営』はドラッカー経営学の金字塔であり、出版から60年以上たった今でも経営者に様々な示唆を与えてくれる。とはいえ、分厚くて、時に難解な記述が含まれた原著を余すことなく理解するのはハードルが高いと感じる人も多い。本書は、そんな読者の救世主だ。

本書の著者は、世界の一流ビジネススクールの定番テキストのエッセンスを指南した読書ガイドや、ポーターの『競争の戦略』、コトラーの『マーケティング・マネジメント』などのバイブルを読みこなすための解説書を著している。まさに英知の伝道師と呼べる著者が紡ぎ出すエッセンスを読み、新しい世界に目を見開く読者も多いだろう。また、原著の理解が深まるだけでなく、現象の裏に隠された「変数」を読み解き、将来に向けた課題を設定していったドラッカーの思考プロセスを学べるのも本書の魅力である。

本書を読めば、経営者が果たすべき役割、マネジメントの本質を明解に理解でき、原著や他のドラッカーの書籍に手を伸ばしたくなるはずだ。ドラッカーの要諦を学びたい読者にとって、選りすぐりの一冊としておすすめしたい。

ライター画像
松尾美里

著者

グローバルタスクフォース
世界の主要ビジネススクール同窓生ネットワーク「Global Workplace」(全世界会員約40万人、うち日本会員約2万人)を母体とするマネジメントリソース会社。上場企業の再編や再生、M&A、新規事業の立ち上げなどの支援要員を実働チームとして提供するとともに、6カ月後からのメンバーの転籍・採用を促すことで、ミスマッチの高い採用に代わる企業の新たなタレントマネジメント・プラットフォームを提供する。
著書に累計100万部を超えた『通勤大学MBA』シリーズ、『ポーター教授「競争の戦略」入門』『コトラー教授「マーケティング・マネジメント」入門』(I、II)『世界のエリートに読み継がれてきたビジネス書38冊』(以上、総合法令出版)、『ハーバード・ビジネススクール クリステンセン教授の「イノベーションのジレンマ」入門』(PHP研究所)など。

本書の要点

  • 要点
    1
    マネジメントとは、成果を上げる仕組みであり、事業のマネジメント、経営管理者のマネジメント、人と仕事のマネジメントという3つの機能を持つ。これらの機能を、常に「現在」と「未来」という2つの時間軸で考えることが重要だ。
  • 要点
    2
    企業はマーケティングとイノベーションの効率性を示す「生産性」に関する目標を設定すべきである。ドラッカーは「最小限必要な利益をあげることがマネジメントの責任」と述べ、利益一辺倒になることに警鐘を鳴らしている。

要約

【必読ポイント!】 『現代の経営』序論を読む

マネジメントの役割(『現代の経営』第1章)

ドラッカーは、マネジメントは「管理」ではなく「機関(システム)」だと定義している。ドラッカーによると「マネジメントは、人類の生活を向上させられるとの信念、経済の発展が福祉と正義を実現するための強力な原動力になりうるとの信念の具現」であるという。持続可能なマネジメントは、この信念を何とかして実現可能にするために、資源をインプットとして、社会の発展をアウトプットとして生み出す、つまり成果を上げる仕組みである。独善と自己満足と怠惰を回避するマネジメントの改善のみが、社会を進歩させるとドラッカーは説いている。

マネジメントの仕事(『現代の経営』第2章)
cyano66/iStock/Thinkstock

マネジメントには、事業のマネジメント、経営管理者のマネジメント、人と仕事のマネジメントという3つの機能がある。これらが整合性を持って運営されなければ、マネジメントは立ちいかなくなってしまう。この3つの機能について紹介していく。

まず、第一の機能「事業のマネジメント」とは、目標をつくり、環境変化に合わせて目標達成のための施策を調整していくことである。

次に、第二の機能である「経営管理者のマネジメント」とは、トップが現場に権限を委譲し、現場の経営管理者を育てていくことで、意味のあるシステムとしてアウトプットを出せるようにすることである。経営管理者は、トップだけでなく、現場監督者など、マネジメントの改善に関わる全ての人があてはまる。従業員一人一人が、大きなシステムにおける自分の役割を確認することで、方向性が統一され、効果的な結果に結びつけることができるのだ。

さらに、第三の機能である「人と仕事のマネジメント」とは、人的資源を「個性や市民性を持つ存在」として認め、正しい評価でやる気にさせることである。マネジメントする側は、従業員が感情を持つ人間であるという基本原則を忘れてはならない。

これらの機能については、常に「現在」と「未来」という2つの時間軸で考えることが重要だ。未来の目標に近づけるために、現在とのギャップを埋める努力をするのである。

同時に、この3つの機能は三位一体である。

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要約公開日 2016.01.21
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