座らない!

成果を出し続ける人の健康習慣
未読
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成果を出し続ける人の健康習慣
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座らない!
出版社
新潮社
出版日
2015年07月25日
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おすすめポイント

残業は当然の習慣、忙しいから睡眠不足は当然――という「エコノミック・アニマル」的労働習慣は、日本に根強く残っている。アメリカでも、まだ一部にそうした習慣はあるが、一方で、身体的・精神的・社会的に良好な状態である「ウェルビーイング」への志向が強まりつつある。

ウェルビーイングは生産性を阻害するどころか向上させる。最低8時間は眠るというアマゾンのジェフ・ベゾスも、スポーツジムを敷地内にいくつも備えたグーグルも、そのことにすでに気づいている。

本書は、アメリカ発、ウェルビーイング実現のために「食べる・動く・眠る」の三方向から働きかけるアドバイスを詰め込んだ一冊である。

著者は、ベストセラー作を次々と世に送り出してきたノンフィクションライターであり、かつ、ウェルビーイング情報の目利きでもある。10代の頃にがんを告知され、著者は、一日でも長く寿命を延ばせるように行動を始めた。さまざまな学術論文を読み込み、実証的なアイデアを生活の中で実行したのだ。そうして長年のうちに蓄積した知識を人々と共有したいという思いが、本書の執筆動機となっている。

本書のすべてのアドバイスには、科学的裏付けがなされており、典拠となっている学術論文等の情報も巻末に収録されている。この点が、ほかのさまざまな類書と違う価値を本書にもたらしている。「座り続けるのは喫煙よりも体に悪い」「トマトで食事焼け」など、最新の研究からピックアップされたユニークな健康情報を、本書でぜひ手に入れてほしい。

ライター画像
熊倉沙希子

著者

トム・ラス
ビジネス・健康・経済の分野で活躍する人間行動学の専門家。「同世代の中で最も偉大な思索家・ノンフィクションライターの一人」といわれる。過去10年で国際的なベストセラーを5冊執筆。処女作『心のなかの幸福のバケツ』(日本経済新聞社)は米ニューヨーク・タイムズ紙ベストセラー番付の1位、2013、2014年には日本で未訳の『ストレングスファインダー 2.0』が米アマゾンの年間ベストセラー1位に輝いている。上記2作に『ストレングス・リーダーシップ』(日本経済新聞出版社)、『幸福の習慣』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『座らない!―成果を出し続ける人の健康習慣―』を合わせた5作の累計販売部数は600万部以上。
本書刊行時点では、研究や執筆、講演活動を精力的にこなす一方で、米ギャラップ社で上級科学者兼アドバイザーとして働く。同社では13年間にわたって「社員エンゲージメント・強み・指導力・ウェルビーイング」部門を統括。フォン・ヒッペル・リンドウ病研究所の副会長も務めた。ミシガン大学(学士)とペンシルベニア大学(修士)を卒業し、後者では現在非常勤講師。妻アシュリーと2人の子どもと共に、バージニア州アーリントンに在住。

本書の要点

  • 要点
    1
    元気で長生きできるかどうかは、日々の選択にかかっている。食べる・動く・寝る、の3要素すべて同時に正しい選択を積み重ねていくことで、好循環が生まれる。
  • 要点
    2
    飲食物は、栄養素や原料に注意して、本当に体に良いものかを検討する習慣を身につけるとよい。
  • 要点
    3
    長時間座ることは肥満や心血管疾患のリスクを増やす。仕事場でも動く機会を増やせるよう工夫するのが大切だ。
  • 要点
    4
    睡眠不足は大きく生産性を損ねるので、仕事の成果のためにも、睡眠時間を確保できるようなスケジュールを立てるべきだ。

要約

食べる・動く・眠る

3要素同時に、正しい選択を積み重ねる
©iStock/ RyanKing999

健康を決めるのは日々の「選択」である、と著者は言う。小さな正しい選択を積み重ね、好循環をつくり出すことで、もっと元気になれるし、寿命も延ばせるのだ。

著者自身の体験は、それを証明して余りある。著者は16歳のとき、左目のがんを告知され、さらには新生の突然変異である遺伝性疾患を患っていると診断された。この病はがん抑制遺伝子を機能させなくするので、がん細胞は体中に増殖してしまう。著者は絶望の果てに、1日でも長く生きるために自分に何ができるのかを徹底的に学ぶという決意をした。健康で長生きするには、どのように食べ、動き、眠るのがよいのかを実践してきた末に、現在の著者がある。

以前は、長寿は遺伝子的要因によるという説があったが、最近の研究では、生活習慣こそが寿命の決定的要因であることが明らかになっている。著者のように、日々の選択でがん細胞の増殖を防ぐことはできる。四大生活習慣病であるがん、糖尿病、心臓病、肺病で10人中9人が死ぬが、これらは基本的に予防可能な病気なのである。

食べる・動く・眠るという3要素に同時並行で取り組むことも、最新の研究成果に裏付けられた有効な方法だ。健康的な朝食は、その日の活力を生み出す。活動的に過ごすと、夜はよく眠れる。眠れると次の日はさらに健康的に、活動的に過ごせる。というように、3要素は互いに関連しあい、好循環を生むので、1つの要素だけに取り組むよりも効果は高くなる。

本書では、食べる・動く・眠るの3要素に並行してアプローチするため、各章で、1要素に偏らないように3つのアイデアを提案している。以降は、そのうちのいくつかの章を紹介しよう。

【必読ポイント!】小さな選択が大きな変化を生む

その一口で健康が決まる
©iStock/ AndreyPopov

一口食べる、一口飲む、というささいな行為にも、健康にプラスであるかマイナスであるかという違いがある。たとえば、甘い炭酸飲料でなくミネラルウォーターを飲むのはプラス、野菜でなくフライドポテトを選ぶとマイナスである。

一見健康的に見える飲食物も、栄養素や原材料を考えるとじつは健康的にはマイナスである、という場合もあるので注意せねばならない。「農家直送サラダ」という名前でも、刻んだフライドチキンとベーコンがまぶされ、油たっぷりのドレッシングがかけられていたら、ちっとも健康的ではない。

多くの料理には、良い材料も悪い材料も使われているものだが、差し引きしてみてプラスになるかどうか考えることを習慣にするとよい。

座るのは喫煙より体に悪い

世界的に見ると、運動不足で死ぬ人のほうが喫煙で死ぬ人よりも多いという。

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要約公開日 2016.01.22
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