日本でいちばん大切にしたい会社2

未読
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日本でいちばん大切にしたい会社2
出版社
出版日
2010年01月21日
評点
総合
4.0
明瞭性
4.0
革新性
4.0
応用性
4.0
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おすすめポイント

ベストセラーの前作「日本でいちばん大切にしたい会社」の続編ということもあり、読む前から期待が高かった本書だが、流石というべきか、期待通りに感涙させられる作品で、早くも名シリーズを予感させる内容となっている(2013年11月には第4弾が発売された)。

前作に比べて本書で紹介されている企業は、「仕事を通じて、世のため人のためにどれだけ貢献できるか」を従業員に教えている会社が多いように思う。難民など困っている人に眼鏡を届ける富士メガネ、被災した取引先の債権を放棄した未来工業、新人研修に全盲の方との四国巡礼を組み込んでいるネッツトヨタ南国。こうした企業は「受け取った感謝を仕事へのモチベーションに変える仕組みを築ければ、たとえ少し不便な場所にあろうが、従業員はついてくる」という証明にほかならない。

ちなみに、5社のエピソードが掲載されていた前作よりも、紹介されている会社数は8社に増えたにもかかわらず、本作にも東京に本社を構える会社は一社も紹介されていない。日本の上場企業のなかで東京に本社があるのは半数にも上るというのに、よくこれほどの優良中小企業を揃えたものだと、著者の坂本氏には尊敬と感謝の念でいっぱいである。

前作同様、本書は中小企業の経営者の方、そして若いビジネスパーソンにぜひ読んでいただきたい一冊だ。会社の規模や拠点に関係なく、優れた会社とは何かという視点を養う素晴らしい教材となるはずである。

ライター画像
苅田明史

著者

坂本 光司
浜松大学教授、静岡文化芸術大学教授等を経て、2008年4月より法政大学大学院政策創造研究科(地域づくり大学院)教授および法政大学大学院イノベーションマネジメント研究科(MBM)兼担教授。法政大学大学院静岡サテライトキャンパス長。NPOオールしずおかベストコミュニティ理事長等。
他に国、県、市町や商工会議所等団体の審議会や委員会の委員を多数兼務している。専門は中小企業経営論、地域経済論、福祉産業論。
全国7,000社以上の企業訪問をし、「現場で中小企業研究をし、頑張る会社の応援をする」ことをモットーにしている。
著書にシリーズ65万部のベストセラーとなった「日本でいちばん大切にしたい会社」、
「経営者の手帳」「どう生きる」「どう働く」(あさ出版)などがある。

本書の要点

  • 要点
    1
    本当の企業経営とは、①社員とその家族、②社外社員(下請け・協力会社の社員)とその家族、③現在顧客と未来顧客、④地域住民、とりわけ障害者や高齢者、⑤株主・出資者・関係機関、とりわけ①~④にあたる人々の幸福を追求することである。
  • 要点
    2
    顧客より、社員や社外社員とその家族を優先すべきなのは、自分が所属する組織に感動や愛社心をもち合わせない社員が、顧客に対して心を込めた接客サービスや、感動的商品の創造提案をすることなどできるはずがないからだ。
  • 要点
    3
    本書では8つの企業が紹介されているが、どれもロケーションの悪さや規模の小ささなどを言い訳にせず、問題は内部にあると考え、自己革新努力を怠らない企業ばかりである。

要約

会社がほんとうに大事にしなければならないこと

iStock/Thinkstock
五人に対する使命と責任を果たす

前作『日本でいちばん大切にしたい会社』において、著者である坂本氏は、本当の企業経営とは「五人に対する使命と責任を果たすための活動のこと」であると定義し、使命と責任とは「幸福の追求」「幸福の実現」であると説いた。

五人とは①社員とその家族、②社外社員(下請け・協力会社の社員)とその家族、③現在顧客と未来顧客、④地域住民、とりわけ障害者や高齢者、⑤株主・出資者・関係機関、のことだ。

また坂本氏は、この五人のなかで最も幸福を追求すべきは①~④の四人であり、⑤株主や出資者の幸福や満足はあくまで前の四人の使命と責任が果たされれば、その結果として自動的にもたらされるものだと述べている。

近年、株主や出資者を重視して短期の業績を追い求めるあまり、企業の不祥事が次々に露呈し、社内外のリストラも横行してしまっている。

会社にとって「顧客」より大切なもの

なぜ「企業の盛衰を決定づける最大の人」と言われてきた③の顧客より、①社員とその家族、②社外社員とその家族が重要な存在なのだろうか。

その理由を坂本氏は、「自分が所属する会社や組織に不平・不満・不信感をもった社員や、自分が所属する組織に感動や愛社心をもち合わせない社員が、顧客に対して心を込めた接客サービスや、感動的商品の創造提案をすることなどできるはずがないから」と述べている。

社員に犠牲を強いる企業は、業績が悪化すると決まってその原因を外に求め、自社は被害者だと決めつけている。しかし本書で紹介されている「日本でいちばん大切にしたい会社」はむしろ問題はすべて内にあると考え、五人に対する使命と責任を果たそうと、血のにじむような自己革新努力を行なっている。

ではどういった企業が「大切にしたい会社」なのか。早速見ていくことにしよう。

【必読ポイント!】 株式会社富士メガネ

iStock/Thinkstock
「儲けるよりも、お客様をお待たせしないように」

本書で最初に取り上げられているのが北海道の札幌に本社のある「富士メガネ」だ。富士メガネは東京や東北など道外にも展開しているが、主な店舗は北海道に集中している。

業績もほぼ順調に推移し、100年に一度の不況といわれるなか、2009年の売上高は前年比横ばいの81億円、経常利益率は約5%だという。同業他社の大半が赤字経営にあえぐなか、きわめて好調な業績を維持している。

道内一のメガネ店への成長発展をもたらしたのは、単なる利益の追求に主眼を置くのではなく、ただひたすら「もっといいメガネを多くのお客様に提供したい、お客様に喜んでもらいたい」という創業者の金井武雄氏の情熱があってこその結果だった。

1940年には当時希少だったアメリカのメガネ研究の専門家の指導を受け、1965年には海外製のレンズのコーティングマシーンやレンズの製作プラントを導入し、それまで10日から2週間かかっていたレンズ製作をわずか1時間で仕上げられるようにした。

これは実は採算が合わない膨大な投資で、金井氏は「採算が合う、合わないより、お客様に10日も2週間も待っていただくことのほうが申し訳なく、恥ずかしいことです」と語ったそうだ。

たくさんの人の心を揺さぶった支援活動

金井武雄氏の跡を継いだ現会長兼社長の金井昭雄氏は、創業45年を機に「これまでさまざまな方から受けたご恩をお返ししたい」という強い想いから、海外難民視力支援活動を始めた。

このプロジェクトは坂本龍馬の「海援隊」をヒントに「視援隊」と名付けられ、500組のメガネを用意してタイの難民キャンプに向かったのが第一回目の活動であった。

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要約公開日 2013.12.10
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