シフト&ショック

次なる金融危機をいかに防ぐか
未読
日本語
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次なる金融危機をいかに防ぐか
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シフト&ショック
出版社
早川書房
定価
2,860円(税込)
出版日
2015年04月25日
評点
総合
4.3
明瞭性
4.5
革新性
4.0
応用性
4.5
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おすすめポイント

2007年の夏に表面化したグローバル金融危機、それに連鎖して2010年に起きたユーロ圏危機。世界を揺るがせた大きなショックの背景には、金融の自由化、テクノロジーの発達によるグローバル化、高齢化など根本的な世界経済の変遷(シフト)があった。

本書では、「フィナンシャル・タイムズ紙」経済論説主幹であり、世界で最も影響力のある経済ジャーナリストのひとりだとも言われるマーティン・ウルフが、今回の金融危機が世界に与えた影響とそこに至るまでのさまざまなシフトを徹底的に分析。危機後に発表された財政緊縮を時期尚早だと批判し、金融危機は金融システムの脆弱性だけが原因ではなく、マクロ経済の不均衡が招いたものでもあるとし、グローバル経済を改革するための施策を検証、考案する。

1980年以降、中南米債務危機、日本の金融危機、テキーラ危機、東アジア危機、グローバル金融危機、ユーロ圏危機と世界規模の金融危機が6回発生している。どの国も金融危機に至るまでに国際収支が変化し、国内の通貨・金利環境がシフトして資産バブルと過剰流動性が発生するという道のりを歩んでいる。本書の分析の焦点は日本に置かれているわけではないが、グローバル社会を生きる私たちにとって、これからの日本経済、そして世界経済を考えるうえで示唆に富むものとなっている。

著者

マーティン・ウルフ
フィナンシャル・タイムズ紙の経済論説主幹。金融ジャーナリズムにおける功績により数々の賞を受賞し、2000年には大英帝国勲章(CBE)を受けている。1999年より世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)のフェローを務める。当代で最も影響力のある経済ジャーナリストであり、その言動は世界の投資家だけでなく、各国の財務相や中銀総裁にも注目されている。オックスフォード大学コーパス・クリスティ・カレッジの名誉研究員。著書にスーザン・ジョージとの共著『徹底討論 グローバリゼーション 賛成/反対』がある。

本書の要点

  • 要点
    1
    今回のグローバル金融危機、ユーロ圏危機が起きた背景には、金融システムの内部でのシフトと共に、自由化、グローバル化、高齢化など世界経済自体のシフトがあった。
  • 要点
    2
    政策当局が2010年に緊縮財政策へと転換したのは拙速だった。危機発生後は景気回復に向けて強力な金融支援、とりわけ財政支援をすべきだったが、そうしなかったために経済は長く低迷し続けている。
  • 要点
    3
    高所得国と世界におけるマクロ経済の持続可能な均衡を取り戻すためには、危機後の経済の落ち込みから抜け出すこと、民間部門の極端な貯蓄過剰を解消することの両方が必要になる。

要約

ショック

高所得国におけるグローバル金融危機とその余波
jmiks/iStock/Thinkstock

2007年に表面化し、先進国を襲った未曾有の金融危機。経済学の定説ではほとんど考えられていなかったこの金融危機の波は非常に大きく、アメリカ、イギリスのみならずアイスランドやアイルランド、ヨーロッパ大陸の大部分を呑み込んだ。経済への影響は1930年代の大恐慌時ほど大きくはなかったが、金融への影響はその時代以上に深刻だった。

今回の危機により、世界の二大金融センターであるニューヨークとロンドンの活動を支配する大手金融機関を結ぶネットワークが分断され、いわば金融システムの心臓部が瓦解した。この金融危機を制圧するために2008年10月から約1年半の間、主要各国は銀行システムを救済し、前例のない規模の金融緩和を実行、巨額の財政赤字を出すなど異例の政策対応をとった。一連の対策は成功し、危機発生直後のパニックは封じ込められ、下降していた高所得国の景気も2009年初めには回復に転じた。

しかし政策当局は、民間部門のデレバレッジ(過剰債務の解消)を支え、バランスシート・リセッションの長期化を避けるために必要な政策を継続しなかった。そのため、回復の足取りは弱々しく高所得国の経済は未だ健全な状態には戻っていない。

危機により露呈したユーロ圏の経済と制度構造の欠陥

単一通貨のユーロが導入されたことでユーロ圏諸国に国際収支の問題がなくなると期待されたが、通貨同盟内の国が大規模な資本純流入に頼り、それが突然止まる「サドンストップ」が起きると、すぐさま経済危機に直面する。ユーロ圏には欧州中央銀行(ECB)という統一された強力な機構があるが、銀行業界は今も各国により規制監督されており、国境を超える財政支援も規模が限られている。

さらにユーロ圏諸国の多くは労働市場の流動性が非常に低く、言語や文化、法律、社会制度、年金などの福祉国家構造によっても国ごとに分断されている。そもそもギリシャのような国とドイツのような

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