はじめての社内起業

「考え方・動き方・通し方」実践ノウハウ
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出版日
2015年07月24日
評点
総合
4.0
明瞭性
4.0
革新性
4.0
応用性
4.0
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おすすめポイント

「新規事業の立ち上げを任されたが、何から手をつければいいのだろう」。「事業アイデアが思いつかない」。「経営陣や周囲の人を巻き込むにはどうしたらいいのか」。こんな悩みを抱える社内起業家たちの救世主となる一冊が登場した。

本書は、孤軍奮闘になりがちな新規事業担当者が成功をつかめるよう、事業の立案から役員へのプレゼンまでのプロセスを疑似体験しながら、各プロセスの重要ポイントやピンチの切り抜け方を学べる一冊である。

著者は、リクルート時代に社内起業提案制度「New-RING」の事務局を7年務め、総合情報サイト「All About」の起業を経て、新規事業のインキュベータとして活躍している。これまで社内起業家3000名を育て上げた経験から紡ぎ出された知見は、新規事業担当者にとって垂涎の内容ばかりである。

MBAで学ぶような市場分析や戦略立案について記した本はあるが、その前段階である「社内で企画案をどう通すか」「経営陣とビジョンをすり合わせるには」についての実践的なノウハウを体系化した本は非常に画期的である。例えば「『不』を解消するための国語・算数・理科・社会」という事業プランニング法など、独自のノウハウが紹介されており、新規事業の命運を分けるポイントが凝縮された一冊だ。

「人を巻き込み、組織を動かして、社内イノベーションを実現したい」。そんな情熱を持つ読者にとって、本書は絶好の教本になってくれるだろう。

ライター画像
松尾美里

著者

石川 明 (いしかわ・あきら)
新規事業インキュベータ石川明事務所代表
早稲田大学ビジネススクール研究センター特別研究員
SBI大学院大学MBAコース客員准教授
◎リクルート社で7年間、新規事業開発室のマネジャーを務め、リクルート社の起業風土の象徴である社内起業提案制度「New-RING」の事務局として1000件の事業案に携わる。
◎2000年にリクルート社社員として「All About」社を創業し、2005年JASDAQに上場。10年間、事業企画・事業運営の責任者を務める。
◎2010年、社内起業に特化し業務を請け負う事務所を設立し独立。以降、大手企業を中心に、新規事業の創出、新規事業を生み出す社内の仕組みづくり、創造型人材の育成に携わっている。
◎リクルート社時代も含め、携わってきた新規事業・企業内起業家は、100社、1500案件、3000名。
◎インキュベータとしての信条は、「起業する本人の思いやこだわりを尊重すること」「喜びや憤りへの共感と俯瞰する目線の両立」「当人より前には出ず、斜め後ろを伴走すること」

本書の要点

  • 要点
    1
    新規事業担当者は、経営者の頭の中にある意図やイメージ、検討方針、制約条件などを理解し、自社の現状や過去の新規事業案件を知る必要がある。
  • 要点
    2
    事業の本質は、世の中に存在するさまざまな不平や不満、不便といった「不」を解消することである。
  • 要点
    3
    新規事業のアイデアを生み出すには、「不」の気持ちを洗い出し、その「不」が検討に値する規模感なのかを測定して、「不」が生じている理由と背景を理解することが肝となる。
  • 要点
    4
    新規事業担当者は、孤軍奮闘にならずに、周囲を巻き込んでいくことが大切だ。

要約

会社員だからこそできる「起業」がある

社内起業ならではのメリットと壁

社内起業家は、世の中を大きく変える原動力の担い手である。企業で、マネジメント力だけでなく、創造・変革の力が強く求められている現在、新規事業開発(社内起業)は、そうした力を身につける絶好のチャンスといえる。

社内起業には、「資金・人材・信用」という、独立起業にはないメリットがある。社内起業では、社内での予算獲得が必要となるが、創業したてで信用力の乏しい企業が融資を受けるのに比べれば格段に資金が得やすい。また、物流や経理、法務などのエキスパートが社内にいるため、社外に教えを請う必要もない。何より、会社の信用があるため、取引先もリスクを引き受けてくれやすいというのが最大のメリットである。

一方、社内起業ならではの壁も存在する。まずは既存事業と新規事業の社内競合関係である。競合を避けるために顧客ニーズとかい離した差別化を図るのは本末転倒だと心に留めなくてはならない。また、大組織であれば、階層が多いために経営の判断と実行のスピードが遅くなるというデメリットが生じやすい。

新規事業はトライ&エラーのサイクルの回数が成否を分けるため、経営陣とのホットラインを設けるなど、スピード感を保つ体制づくりも大事になる。そのほか過剰な保守意識や、現状への危機感の不足も、社内の「壁」になるため、仲間に将来の展望を語り、変化を促すことが求められるだろう。

「5つの覚悟」を持て
alphaspirit/iStock/Thinkstock

新規事業担当者には、次の5つの覚悟が必要だと著者は説く。

1つ目は、自ら率先して失敗する覚悟である。新規事業の成功への近道は、お客様のニーズを汲み取り、失敗覚悟で前進し、失敗を糧にするサイクルを早めることだからだ。

2つ目は、自分が主体的に先頭に立つ覚悟である。社内で反対意見が出ても、柔軟に取り入れながら、不退転の決意で引っ張っていく意志が不可欠だ。

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要約公開日 2016.03.01
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