はじめての社内起業の表紙

はじめての社内起業

「考え方・動き方・通し方」実践ノウハウ


本書の要点

  • 新規事業担当者は、経営者の頭の中にある意図やイメージ、検討方針、制約条件などを理解し、自社の現状や過去の新規事業案件を知る必要がある。

  • 事業の本質は、世の中に存在するさまざまな不平や不満、不便といった「不」を解消することである。

  • 新規事業のアイデアを生み出すには、「不」の気持ちを洗い出し、その「不」が検討に値する規模感なのかを測定して、「不」が生じている理由と背景を理解することが肝となる。

  • 新規事業担当者は、孤軍奮闘にならずに、周囲を巻き込んでいくことが大切だ。

1 / 5

会社員だからこそできる「起業」がある

社内起業ならではのメリットと壁

社内起業家は、世の中を大きく変える原動力の担い手である。企業で、マネジメント力だけでなく、創造・変革の力が強く求められている現在、新規事業開発(社内起業)は、そうした力を身につける絶好のチャンスといえる。

社内起業には、「資金・人材・信用」という、独立起業にはないメリットがある。社内起業では、社内での予算獲得が必要となるが、創業したてで信用力の乏しい企業が融資を受けるのに比べれば格段に資金が得やすい。また、物流や経理、法務などのエキスパートが社内にいるため、社外に教えを請う必要もない。何より、会社の信用があるため、取引先もリスクを引き受けてくれやすいというのが最大のメリットである。

一方、社内起業ならではの壁も存在する。まずは既存事業と新規事業の社内競合関係である。競合を避けるために顧客ニーズとかい離した差別化を図るのは本末転倒だと心に留めなくてはならない。また、大組織であれば、階層が多いために経営の判断と実行のスピードが遅くなるというデメリットが生じやすい。

新規事業はトライ&エラーのサイクルの回数が成否を分けるため、経営陣とのホットラインを設けるなど、スピード感を保つ体制づくりも大事になる。そのほか過剰な保守意識や、現状への危機感の不足も、社内の「壁」になるため、仲間に将来の展望を語り、変化を促すことが求められるだろう。

「5つの覚悟」を持て

alphaspirit/iStock/Thinkstock

新規事業担当者には、次の5つの覚悟が必要だと著者は説く。

1つ目は、自ら率先して失敗する覚悟である。新規事業の成功への近道は、お客様のニーズを汲み取り、失敗覚悟で前進し、失敗を糧にするサイクルを早めることだからだ。

2つ目は、自分が主体的に先頭に立つ覚悟である。社内で反対意見が出ても、柔軟に取り入れながら、不退転の決意で引っ張っていく意志が不可欠だ。

もっと見る
この続きを見るには...
残り3308/4093文字

4,000冊以上の要約が楽しめる

要約公開日 2016.03.01
Copyright © 2025 Flier Inc. All rights reserved.

一緒に読まれている要約

企業家としての国家
企業家としての国家
マリアナ・マッツカート大村昭人(訳)
コカ・コーラ流 100年企業の問題解決術
コカ・コーラ流 100年企業の問題解決術
北川知子(訳)デビッド・バトラーリンダ・ティシュラー
コーオウンド・ビジネス
コーオウンド・ビジネス
細川あつし
会社を立て直す仕事
会社を立て直す仕事
小森哲郎
気仙沼ニッティング物語
気仙沼ニッティング物語
御手洗瑞子
中国のスティーブ・ジョブズと呼ばれる男
中国のスティーブ・ジョブズと呼ばれる男
陳潤永井麻生子(訳)
アクション・バイアス
アクション・バイアス
ハイケ・ブルックスマントラ・ゴシャール野田智義(訳)
働く力を君に
働く力を君に
鈴木敏文勝見明

同じカテゴリーの要約

できるリーダーが意思決定の前に考えること
できるリーダーが意思決定の前に考えること
内田和成
頭のいい上司は死んでも答えを教えない。
頭のいい上司は死んでも答えを教えない。
白潟敏朗
アメーバ経営 新装版
アメーバ経営 新装版
稲盛和夫
Z世代の頭の中
Z世代の頭の中
牛窪恵
一流のマネジャー945人をAI分析してわかった できるリーダーの基本
一流のマネジャー945人をAI分析してわかった できるリーダーの基本
越川慎司
完訳 7つの習慣
完訳 7つの習慣
スティーブン・R・コヴィーフランクリンコヴィージャパン(訳)
「人事のプロ」はこう動く
「人事のプロ」はこう動く
吉田洋介
無料
1分で話せ
1分で話せ
伊藤羊一
「仕事ができるやつ」になる最短の道
「仕事ができるやつ」になる最短の道
安達裕哉
部下をもったらいちばん最初に読む本
部下をもったらいちばん最初に読む本
橋本拓也