China 2049
秘密裏に遂行される「世界覇権100年戦略」

未 読
China 2049
ジャンル
著者
マイケル・ピルズベリー 森本敏(解説) 野中香方子(訳)
出版社
定価
2,000円 (税抜)
出版日
2015年09月07日
評点
総合
4.3
明瞭性
4.5
革新性
4.5
応用性
4.0
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秘密裏に遂行される「世界覇権100年戦略」
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マイケル・ピルズベリー 森本敏(解説) 野中香方子(訳)
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定価
2,000円 (税抜)
出版日
2015年09月07日
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総合
4.3
明瞭性
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革新性
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レビュー

「アメリカの対中戦略は根本的に間違っていた。中国の歴史的野望をつい最近まで見抜けなかった」。衝撃的な告白とともに、中国が秘密裏に進めてきた戦略「100年マラソン(The Hundred-Year Marathon)」の全貌を明らかにしたのが本書である。

著者はアメリカのニクソン政権からオバマ政権まで、長く対中国防衛政策を担当し、現在も国防省顧問、ハドソン研究所中国戦略センター所長を務める、いわば中国研究の第一人者だ。米国の対中政策の中心的な立場にいた著者によると、中国は、中国共産党革命100周年にあたる2049年までに、アメリカの地位を奪還し、100年越しの「中国主導の世界秩序」回復を狙っているというのだ。

このような驚愕の実態に気づけなかったのはなぜか? それは「援助と正しい指導があれば、中国も民主的な資本主義国家になるはず」という間違った前提が、アメリカの政治・経済の中枢に根深く存在していたためだという。著者は、世界の覇者をめざす中国の長期的な戦略の根源が、春秋戦国時代の教えにあるとし、知られざる中国の思惑を掘り起こしていく。本書を読めば、緻密な調査のもと、問題の核心をえぐり出す著者の手腕に、舌を巻くのではないだろうか。

また本書には、近年の日中間の緊張や日米関係についても示唆に富む記述が多い。今後の国際情勢や日中関係、その影響を大いに受けるビジネスを見通すうえで、あらゆる職種のビジネスパーソンにとって必読の書だといえる。

松尾 美里

著者

マイケル・ピルズベリー(Michael Pillsbury)
ハドソン研究所中国戦略センター所長。国防総省顧問。スタンフォード大学卒業、コロンビア大学大学院博士課程修了。リチャード・ニクソンからバラク・オバマにいたる政権で対中国の防衛政策を担当。ランド研究所分析官、ハーバード大学リサーチフェロー、上院の四つの委員会のスタッフを歴任。外交問題評議会と国際戦略研究所のメンバー。ワシントンD.C.在住。

本書の要点

  • 要点
    1
    本書は、中国が2049年までにアメリカから世界の覇者の地位を奪取し、中国主導の世界秩序を回復しようとする「100年マラソン」という秘密戦略と、その対処策について述べた一冊である。
  • 要点
    2
    アメリカはこれまで、中国を支援すれば、中国が協力的になり、民主化が進むという間違った仮説に立っていた。だが実際には、強硬なタカ派が優勢になっており、春秋戦国時代の教えを土台に、覇権を握る好機を狙っていた。
  • 要点
    3
    アメリカは、中国が「100年マラソン」をすでに始めていたことを認めて、中国の脅威に立ち向かう必要がある。

要約

【必読ポイント!】 中国の真実に迫る

希望的観測

本書は、親中派だったが中国の軍事戦略研究の第一人者となり、親中派と決別した著者が、世界の覇者をめざす中国の長期的な戦略に警鐘を鳴らす一冊である。

これまでアメリカは、中国を帝国主義の気の毒な犠牲者と見なし、中国は平和的に台頭すると信じて疑わなかった。「脆弱な中国を助けてやれば、中国はやがて民主的で平和的な大国となる。世界支配を目論むことなどない」。しかし、中国が秘密裏に進めている戦略は、それを真っ向から否定するものだった。

古代中国の『兵法三十六計』には「瞞天過海(まんてんかかい)」という格言がある。「自分より強い敵を、相手の力を利用し、戦いに巻き込まれていることさえ気づかせないまま倒す」という意味だ。中国のタカ派(強硬なナショナリスト)を中心に打ち立てられた現代の戦略は、こうした古代の教えに基づいている。

ところが、それを知る外国人は最近までほぼ皆無に等しかった。1971年にニクソン大統領が中国との国交回復に向けて動き始めて以来、数十年間、中国の発展を支えるべきだという政策が維持されてきた。中国との建設的な関係をめざす考えは、アメリカの政治・経済の中枢に根強く存在し、著者自身も技術・軍事の両面で中国を援助するよう、民主・共和の両党に促してきた。

世界の覇者の座を取り戻すという100年越しの夢
shunjian123/iStock/Thinkstock

アメリカは中国のタカ派の影響力を過小評価し、危険なまでに間違った仮説に立っていたのだ。間違った仮説とは、「貿易や技術供与によって中国の発展を後押しすれば、中国が協力的になり、自由を重んじる民主主義に移行するはず」というものだ。しかし現実には、中国はスーダンや北朝鮮の反欧米政府にライフラインを提供し、ことごとくアメリカ政府の行動を妨げてきた。そのうえ、中国国内では共産党の政策を批判することは許されておらず、民主的な選挙を行うこととはほど遠い。

また、アメリカは中国が深刻な経済・政治危機に瀕していると信じていた。ところが実際の中国は、GDPで年7~8%の成長を続けており、早ければ2018年にアメリカのGDPを追い抜くと、国際通貨基金などの経済学者は予測している。

著者は1990年代後半、国防総省とCIAから、中国のアメリカを欺く能力と、それに該当する行動を調査するよう命じられた。そこで、中国が隠してきた驚くべき事実が次々と白日の下に晒された。

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