馬を飛ばそう
IoT提唱者が教える偉大なアイデアのつくり方

未 読
馬を飛ばそう
ジャンル
著者
ケヴィン・アシュトン 門脇弘典(訳)
出版社
定価
2,200円(税込)
出版日
2015年12月22日
評点
総合
3.7
明瞭性
3.5
革新性
4.0
応用性
3.5
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IoT提唱者が教える偉大なアイデアのつくり方
著者
ケヴィン・アシュトン 門脇弘典(訳)
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定価
2,200円(税込)
出版日
2015年12月22日
評点
総合
3.7
明瞭性
3.5
革新性
4.0
応用性
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おすすめポイント

著者は、IoT (Internet of Things) という言葉の提唱者として著名なケヴィン・アシュトン氏。本書では、「創造」がどのようにして生まれるか、その過程に迫る。

たとえば、世界初の有人動力飛行を成功させたライト兄弟は、何か飛躍的なひらめきや発想をしたわけではない。彼らは、飛行機の実用化にあたって、営んでいた自転車店での経験から、機体のバランスを取ることが一番重要な問題だと考えていた。兄弟は鳥を研究することでバランスの問題を解決したが、そこまでには気の遠くなるほど多くの小さなステップがあった。まるで「調教されていない暴れ馬」のような飛行機を、最終的に制御して飛ばすまでに至った彼らでも、実際に研究を始めるまで、空を自在に飛ぶ鳥のすごさがわからなかったという。「馬を飛ばそう」として初めて、その難しさや解決すべき無数の課題が見えてきたのだ。そして彼らは失敗をくりかえしながらも一つひとつ解決し、その積み重ねの先に素晴らしい成果を得た。「創造」は奇跡や魔法の類いではなく、小さなステップが曲がりくねりながら無数に連なった先にあるものなのである。

本書の構成は、各章ごとに著者の主張を補強する事例が引用されているので、抽象的なテーマにも関わらずとても読みやすくなっている。また、それらの「創造」に関する事例はバリエーションに富んでおり、本書は「読み物」としても、非常に興味深く、面白く読めるということを明記しておく。

ライター画像
和田有紀子

著者

ケヴィン・アシュトン
イギリスの無線IDタグ専門家、プロダクター。IoT(モノのインターネット)の言葉の提唱者として世界的に知られる。同分野を研究するマサチューセッツ工科大学(MIT)Auto-IDセンター(現Auto-IDラボ)共同設立者。多数のメディアに寄稿・出演。

本書の要点

  • 要点
    1
    創造は天才のひらめきによるものではなく、普通の人間の試行錯誤の末に生まれるものである。人間は諦めさえしなければ、誰でも創造できる可能性を秘めている。
  • 要点
    2
    意識的に創造するために必要なことは、現状に満足せず考え続けることである。偉大な発想も普通の思考プロセスと作業の積み重ねから生まれている。
  • 要点
    3
    思いついたアイデアは、とにかくかたちにしていくことが必要である。失敗を重ねても、継続することが創造を導く。

要約

【必読ポイント!】創造は誰にでもできる

「創造の神話」の嘘
abadonian/iStock/Thinkstock

何か新しいものを創造する、と聞くと、多くの人は、それは一部の天才によって奇跡的になされるもので、普通の人には不可能なことだと考えるかもしれない。モーツァルトは、短い生涯の中で後世に残る名曲を多数生み出したことから、次から次へと苦も無く曲が浮かんでくる天才だったと思われがちである。しかし実際に彼が家族や友人に宛てた手紙を検証すると、彼の創作プロセスは、音楽理論をとことん考え抜き、ピアノかチェンバロを弾きながら何度も書き直した結果であり、地道な作業によるものだった。

素晴らしい創造は天才の奇跡によってもたらされると考えるほうが、普通の人間の試行錯誤の末に生まれたと考えるより魅力的なため、前者のような「創造の神話」は未だに多くの信仰を集めている。本書では、この神話が誤りであり、「創造」は誰にでもできる地道な努力の結果であることを明らかにする。

創造は誰にでもできる

かつ て金と銀と同じくらい貴重なものとされていたバニラは、非常に栽培が難しく、原産地であるメキシコからヨーロッパへ持ち込まれて以降300年もの間、花をつけることがなかった。ようやく花が咲いても、今度は野生環境のように実を結ばないことが新たな課題となった。

19世紀初頭から 、 インド洋のレユニオン島でも、フランスの入植者が栽培に挑戦していたが、そこでもバニラはほかの地域と同様に実をつけていなかった。が、当時12歳の少年奴隷エドモンがこの状況を打開した。彼は、バニラの花の中で自家受粉をできなくさせている部位を竹の爪楊枝のようなもので押し上げ、指で雄しべと雌しべをくっつけるという手法を見つけたのだ。この、今でもフランス語で「エドモンの動作」と呼ばれる手法は、レユニオン島の西に位置するマダガスカルにも広まり、20世紀までに世界のバニラ生産の大半を支える ことになった。

エドモンのイノベーションは巨大な経済効果をもたらしたが、イノベーションが生まれるまでの過程 に特別めずらしいことがあったわけではない。 エドモンは、雇用主との日々の散歩を通じて、植物が受粉によって子孫を残すという知識と人工授粉の方法を学んでおり 、

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