2時間でわかる 図解「IoT」ビジネス入門

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出版社
出版日
2016年04月05日
評点
総合
4.0
明瞭性
4.0
革新性
4.0
応用性
4.0
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おすすめポイント

最近、新聞や経済番組などでよく目にする「IoT」。直訳すれば「モノのインターネット」であるが、その定義と社会に与えるインパクトについて明快に説明できるという人は少ないのではないだろうか。本書は、IoTの最新事例に精通した著者が、IoTの基本を2時間で学べるようにと、筆をとった作品である。

IoTを一過性の流行語だと軽視する人もいる。しかし著者によると、これまでのインターネットと社会の変化、技術の進歩の歴史を振り返ると、IoT社会の到来は必然だという。すでに北米やヨーロッパなどではIoTを利用した製品やサービスが数多く誕生しており、成功事例も増えてきている。さらには、IoTによって、モノづくりやサービス提供方法だけでなく、資金調達や人材調達のやり方にも、世界規模での変革が生まれようとしている。新規ビジネスを考える方にとって、IoTについての理解は必須事項だといえよう。

IoTによってどのような社会問題を解決でき、どのようにビジネス上の価値を生み出せるのか。これらを正しく理解していないと、自社のビジネスにどう活かせばいいのか見当がつかないだろうし、ビジネスモデルの構築の途中で壁にぶつかってしまうだろう。まずは、本書に登場する、IoTを家庭や自動車、医療、福祉などで活かした事例と、その本質を学び、IoTが社会にもたらすメリットや、IoTが産業にもたらす変化について、思いをめぐらせていただきたい。

ライター画像
下良果林

著者

小泉 耕二(こいずみ・こうじ)
株式会社アールジーン代表取締役
IoTNEWS代表
1973年生まれ。大阪大学でニューロコンピューティングを学び、アンダーセンコンサルティング(現アクセンチュア)、Cap gemini Ernst & Young(現クニエ)、テックファーム株式会社を経て現職。フィーチャーフォンの登場以来、10年以上、リアルとバーチャルの作り出す世界について研究を続けている。
現在は、IoT専門ウェブサイト『IoTNEWS』にて最新事例やインタビュー記事等の情報配信を行うほか、データリサーチ、IoTコンサルティングなどのコンサルティング業務をはじめ、各種セミナーへの登壇、IoTカンファレンスの主催などから、さまざまな企業のIoT事業を支援している。著書に、『顧客ともっとつながる』(日経BPコンサルティング)がある。

本書の要点

  • 要点
    1
    IoTの導入で必要なのは、自社製品のイノベーションだけでなく、モノを取り巻くサービスやそれを使う人まで包括した視点である。
  • 要点
    2
    IoTにより、すでにあるセンサーを組み合わせてクラウドサービスを構築し、介護に携わる人材の不足といった社会問題を解決することが可能だ。
  • 要点
    3
    IoT社会では、作って終わりという従来のビジネスでモデルはなく、売ったモノの状態を日々センシングし、保守によって最新・最高の状態を維持するという継続型ビジネスモデルが当たり前となる。

要約

IoTとは何か

IoTを読み解くキーワード

「モノのインターネット」の「モノ」とはいったい何か。身近なところでは、冷蔵庫やクルマなどを思い浮かべるだろう。しかし、椅子や机のような、一見インターネットに接続させることに意味がなさそうなモノをIoTの対象外としてしまうと、視野を狭め、チャンスを逃しかねない。IoTが扱うモノとは、「ありとあらゆるモノ」であり、IoTとは「ありとあらゆるモノがインターネットに接続する世界」を指す。

IoTには「センサー」で取得したデータを「クラウド」にアップロードし、「人工知能」がデータから学習し、その判断に従ってモノが「アクチュエート」するという流れがある。それぞれの用語について紹介していく。

まず、センサーの種類は多岐にわたり、温度、湿度、加速度、照度などの情報を取得する。そしてセンサーがデータを得ることをセンシングという。

クラウドとは、インターネット上に存在し、情報を処理するサーバ全体を指す概念だ。さらに、人工知能(AI)については、人が教えた情報をもとに判断する「機械学習」と、サンプルとなるデータをもとに機械自らがそれを応用して学習する「ディープラーニング」とがある。

次に、モノがアクチュエートするというのは、クラウドでおこなわれた判断に基づいてモノが動き、ヒトへフィードバックするということだ。

IoTでは、フィードバックの内容が、そのサービスの価値を左右する。もし自社でIoTサービスを考えているならば、そのフィードバックが社会のどんな問題を解決するのかを考えるべきだ。

モノがつながるメリットと課題
Chesky_W/iStock/Thinkstock

モノがインターネットにつながるイメージがわかないという人は「スマートロック」を思い浮かべてほしい。スマートロックは、スマートフォンのアプリを起動し、ボタンを押すことで自宅のカギが開くというものだ。カギを家族と共有するのも断然簡単になる。同じアプリをダウンロードしてもらい、自宅のカギを開ける権限を渡せばよいからだ。たとえ家族の誰かがスマートフォンを紛失しても、アプリを再度ダウンロードしてもらい、権限を与えさえすればよい。

ここで、あなたが不動産会社の営業パーソンだと仮定しよう。空室の内見の依頼があると、通常なら、あなたは管理会社や大家に連絡し、カギを受け取りに行かなければならない。軒数が増えれば、移動や調整による機会損失が生じてしまう。しかし、スマートロックを導入していれば、アプリへの権限譲渡・剥奪だけで手軽にカギを開けられる。するとお客さんは待ち時間が減って満足度が上がるうえに、乗り気なうちに気になる物件を回れるので、管理会社や大家にとっては成約率の向上につながる。そしてあなたの営業成績がアップするという「三方よし」の結果となる。

もちろんスマートロックの導入は簡単ではないだろう。不動産業界は古い体質で、今までの仕組みを変えたがらない管理会社や大家も多いからだ。まずは1件でも導入事例を作り、利便性を訴求し、徐々に社会インフラへ育てていくという粘り強さが必要だ。

このように、IoT製品を開発しただけではなかなか普及しないという障壁がある。本格的な普及をめざすなら、自動改札機にかざすだけで通過できるカード「Suica」をJR東日本が導入したときのように、突出した利便性や圧倒的な価格の低さによって生活者の支持を得られるモノであることが重要となる。

【必読ポイント!】 IoTが社会にもたらす変化とは

家電とIoT
scyther5/iStock/Thinkstock

IoTが家の中にどのような変化をもたらすのかをイメージしてみよう。まず、帰宅して「暑い」「寒い」と感じることがなくなる。なぜなら家が、あなたの帰宅を感知し、快適な室温に設定してくれるからだ。

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要約公開日 2016.08.18
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