ゴールドプランなら4,000冊以上が全文読み放題! 7日無料体験はこちらから

本書の要点

  • 新たに獲得した地域を治める最も安全な方法は、その地域にある制度や法をすべて破壊することである。

  • 残酷な行いは一気に断行し、その後は民衆の利益になるような行動をとるべきである。

  • 傭兵と援軍は無益であるばかりか、危険である。君主は自らの軍隊を持つ必要がある。

  • 君主はケチであるべきである。気前が良いという評判を得るために、資産を使い果たしてはならない。

  • 人々から好かれなくても問題はないが、憎悪されたり軽蔑されたりすることは全力で避けるべきである。

1 / 5

征服したあと、どうするか

破壊からはじめよ

Darrin Klimek/DigitalVision/Thinkstock

君主がある地域を征服した際に、心がけるべき点を述べていく。獲得した地域の人々が、自由な制度の下での生活に慣れ親しんでおり、すでにある法にしたがって統治されている場合、その地域を治めるには、(1)それらをすべて破壊する、(2)支配者自らがその地に赴いて居住する、(3)その地域の法に従った統治を認めつつ税を徴収する、という3つの方法がある。このうち、最も簡単なのは3番目の方法であるが、安全な方法という意味では、1番目の破壊を推奨したい。というのも、自由な制度に慣れ親しんだ都市は、破壊しないかぎり、新しい君主を破滅させてしまうからである。

都市の人々は、自由という名目や昔の制度を口実にして、常に反乱を企てているものである。これは、どんな政策をとろうとも、どんなに恩恵を施したとしても同じである。その都市の住民を分割して散り散りにさせないかぎり、なにか変事があればただちに以前の統治様式に戻そうという動きが出てくるのだ。

フィレンツェに従属して100年も経っていたにもかかわらず、ピサが反逆したのはその好例であろう。共和国は生命力に満ちあふれており、君主に対する憎悪の念も強く、復讐欲も強い。彼らは昔の自由の記憶を決して捨てない。したがって、最も安全な方法は共和国を破壊することである。それがむずかしければ、君主がそこに直接住み、指揮をとらなければならない。

2 / 5

【必読ポイント!】君主の心得

実力で君主になった場合

自らの実力によって君主になった者にとって、権力を維持することは比較的容易だが、権力を獲得する段階での苦労は大きい。というのも、自らの力で権力を築きあげるためには、新しい制度や政治様式を導入しなければならないが、自ら先頭に立って、新しい制度を導入しようとするほどむずかしいことはないからである。

新しい制度を導入しようとすると、旧制度で利益を得ていた人々はかならず敵にまわる。おまけに、新制度で利益を得ることになると思われる人々は、味方としては頼りない。彼らが旧来の権力を握っている人々を恐れているからだ。

武装した指導者が成功し、武器なき指導者が破滅するのはそういった理由からである。人間は生来、移り変わるものである。だからこそ、力によって人々の心を繋ぎとめておくようにしなければならない。

幸運で君主になった場合

_ba_/iStock/Thinkstock

幸運に恵まれて君主になった者は、君主になるのに苦労しなかった反面、権力を維持するうえで大変な困難に遭遇することになる。これは財力によって君主の地位についた人々も同様である。

しかし、幸運によって君主になった者でも、素晴らしい君主になれる場合もある。その代表例がチェーザレ・ボルジアだ。ボルジアは父の幸運に恵まれたことで支配権を獲得し、父の不運とともにそれを失った。しかしボルジアはその後、自分にできるありとあらゆる方策をとった。すなわち、敵によっておびやかされないこと、味方を獲得すること、力や詐術を駆使して勝利すること、民衆に愛されるとともに恐れられること、兵士に慕われるとともに畏敬されること、自らを攻撃しうる者を絶滅させること、新しい制度によって旧制度を改めること、峻厳であるとともに親切であること、度量が大きいこと、忠実でない軍隊を解体し新しい軍隊を組織すること、他の王や君主との友好関係を築くこと、これらを徹底したのである。

残酷な手段で君主になった場合

同胞市民を殺害したり、友人を裏切ったりするといった手段で手に入れた権力は、長続きしないものだ。とはいえ、残酷な手段で権力を得たにもかかわらず、長い間安全な生活を送ることができている人々もいる。彼らは残酷さの使い方が「上手い」のである。

彼らが残酷さを発揮するのは、自らの地位を確立しようとする時だけだ。そしてその後は、民衆の利益になるような行動を心がけている。一方、最初は残酷な行為をあまりしなかったのに、時とともにその数を増やすような君主は、すぐに滅亡することになるだろう。

もっと見る
この続きを見るには...
残り2623/4267文字

4,000冊以上の要約が楽しめる

要約公開日 2016.11.17
Copyright © 2026 Flier Inc. All rights reserved.

一緒に読まれている要約

弁論術
弁論術
アリストテレス戸塚七郎(訳)
経営者のためのリベラルアーツ入門
経営者のためのリベラルアーツ入門
高橋幸輝
国富論
国富論
アダム・スミス水田洋(監訳)杉山忠平(訳)
孟子
孟子
小林勝人(訳)
最強のリーダー育成書 君主論
最強のリーダー育成書 君主論
鈴木博毅
<わたし>は脳に操られているのか
<わたし>は脳に操られているのか
エリエザー・スタンバーグ太田直子(訳)
ドキュメント パナソニック人事抗争史
ドキュメント パナソニック人事抗争史
岩瀬達哉
現代ゲーム全史
現代ゲーム全史
中川大地

同じカテゴリーの要約

リーダーの否定しない習慣
リーダーの否定しない習慣
林健太郎
「リーダーシップのベストセラー100冊」のポイントを1冊にまとめてみた。
「リーダーシップのベストセラー100冊」のポイントを1冊にまとめてみた。
藤吉豊小川真理子
リーダーの「任せ方」の順番
リーダーの「任せ方」の順番
伊庭正康
無料
職場問題ハラスメントのトリセツ
職場問題ハラスメントのトリセツ
村井真子
会社は「本」で強くなる
会社は「本」で強くなる
宮本恵理子
明治製菓カカオ事業部 逆境からの下剋上
明治製菓カカオ事業部 逆境からの下剋上
山本実之
「いい質問」が人を動かす
「いい質問」が人を動かす
谷原誠
「人事のプロ」はこう動く
「人事のプロ」はこう動く
吉田洋介
無料
経営戦略全史〔完全版〕
経営戦略全史〔完全版〕
三谷宏治
若者帝国
若者帝国
片石貴展