ミニマル思考

世界一単純な問題解決のルール
未読
ミニマル思考
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世界一単純な問題解決のルール
未読
ミニマル思考
出版社
かんき出版

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出版日
2016年06月22日
評点
総合
3.5
明瞭性
3.5
革新性
3.0
応用性
4.0
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おすすめポイント

日頃様々な問題に接する中で、考えが煮詰まってしまう経験は誰にでもあるのではないだろうか。

がんばっているのになかなかできない、あの人のやることがどうしても気になるなど、考え始めると頭から離れないこともあるだろう。本書で説かれている「ミニマル思考」は、非常にシンプルだ。シンプルがゆえに、なかなかできない、気づけないことなのである。

例えば日々感じる「どうにかしたいこと」は、本当にどうにかする必要性があることなのだろうか? ミニマル思考を使った頭の中の棚卸しは問題の設定段階から始まるのだ。さらに「なぜ問題なのか」「どうすればよいのか」を考え進める中で、「よけいな感情」や「どうにもならないことへのこだわり」、「気合いや心構えで何とかしようとすること」がいかに無駄かということに気づかされる。

そこで味方になってくれるのが、「仕組み作り」だ。人の気持ちで何とかしようとすることに自ずと限界がある。本当の原因と、目的をしっかり考え、それを解決するような仕組みを作ることが重要だということだ。物事を複雑にしていたのは、実は自分の頭と心だったのかもしれない。もっとシンプルに本質を見極めると、今までよりもずっと速く、楽に物事を考えられるようになるのだ。

本来の目的を見失っている状態でいくら論理的に考えても、問題の解決策には至らないと著者は述べている。問題の本質をミニマル(最小限)に捉えることで、問題解決の手法も生きていくのである。

著者

鈴木 鋭智(すずき えいち)
株式会社キャリア・サポート・セミナー顧問講師。ロジカルコミュニケーション・コンサルタント。1969年青森県生まれ。東北大学大学院文学研究科修士課程修了(認知心理学専攻)。大手予備校講師時代、小論文を「文章表現ではなく問題解決能力の試験」と再定義することによって合格率を倍増。その過程で「ミニマルシンキング」「3Dの法則」など独自の論理思考メソッドを開発する。
そのノウハウをまとめた受験参考書『何を書けばいいかわからない人のための 小論文のオキテ55』(KADOKAWA)はロングセラーとなり、台湾ではビジネス書として翻訳出版される。
現在は企業研修やビジネスセミナーにおいて「ロジカルな話し方、書き方、議論の仕方」を指導する。
おもな著書に、『仕事に必要なのは、「話し方」より「答え方」』(中国語版タイトル『回話的藝術』) 、『何を書けばいいかわからない人のための 小論文のオキテ55』(同『寫作的技術』)、『何を準備すればいいかわからない人のための AO入試・推薦入試のオキテ55』、『何となく解いて微妙な点数で終わってしまう人のための 現代文のオキテ55』(以上、KADOKAWA)、『公務員試験 無敵の論文メソッド』(実務教育出版)がある。

本書の要点

  • 要点
    1
    課題とその原因、解決策を考えるときに、余計なことにとらわれてしまったり、本質的な目的から離れてしまったりするのは「ジャンク思考」であり、問題解決を邪魔してしまうことがある。
  • 要点
    2
    人の気持ちや過去のことなど、自分ではどうにもならないことを排除して、目的を見失わずに仕組みで解決する考え方が、「ミニマル思考」である。これを身につけることで本当に必要な問題に絞ってシャープに解決する方法が身につき、時間を有効に使うことができる。

要約

問題をスッキリ解決する、「ミニマル思考」

「ジャンク思考」から離れよう
Umkehrer/itock/Thinkstock

物事が複雑に絡み合った問題や、現場で生じた急なトラブルに対し、素早く的確な解決策を提案できる「頭のいい人」は、頭の中でどのように考えているのだろうか。複雑な物事を複雑に考えているわけではない。むしろ物事を「シンプルに、最小限に」考えているのである。

私たちの頭の中には、合理的思考を妨げるさまざまなどうでもよいことや、考えても仕方がないことといった「ガラクタ」が存在する。これを捨てない限り、理論を学んだ人でも本質からずれた問題に固執し、効果のない対策を繰り返すことになる。これを「ジャンク思考」として認識し、取り払うよう意識していくことで、頭の中はすっきりと整理されていくはずである。

ロジカルシンキングを活かすために

考え方のタイプを表すのに「論理型」「直感型」などと表現することがある。しかしロジックだけがあって、問題を解決するアイデアに到達できない人の考え方は「ジャンク思考」と言わざるを得ない。論理と直感を上手に使って、問題の本質を上手に解決できるのが「ミニマル思考」である。世の中には「論理的な人」と「直感的な人」がいるのではなく、「ロジックに囚われたジャンク思考の人」と「論理と直感が両立するミニマル思考の人」がいるのである。

しかし、ミニマル思考はロジカルシンキングを決して否定するものではない。むしろミニマル思考を身につけるとこにより、ロジカルシンキングをもっと上手に活用できるようになるのである。ロジカルシンキングの基本は、考えられる要素を全て列挙して検討することだが、これは労力が必要な上に、もれがないように完璧に列挙するのはなかなか難しい。

そこで、自分なりの視点から入っていったり、問題を解決するのに重要なファクターを考えてそこから思考をスタートさせたりと、積み上げ型の思考とはあえて逆から入ることで、ロジカルシンキングが活かせるのである。

「ミニマル思考」で問題提起

解決すべき「問題」をとらえる

ミニマル思考で問題解決をする際に重要なのが、「何を解決するか」つまり問題提起である。問題解決する価値のある問題とはなにか。世の中の問題には「誰かが実際に困っていること」と「実は誰も困っていないこと」が混在している。被害者がいないのに「解決」する手立てを考えるのは時間の無駄である。「実害のあること」「実害のないこと」を見極めるのがミニマル思考への第一歩となる。

「実害のある問題」を提起する時には、気分や主観を根拠にすると自己中心的で説得力に欠けるものになる。説得力のある問題提起とは、気分や主観ではなく事実や数字で語ることである。

例えば、「このデザインは野暮ったい」というのは気分や主観に過ぎないが、「このデザインに変更したら売上が15%落ちた」「アンケートの結果、このデザインに良い印象をもった人は100人中15人だった」とすると、客観的な事実として説得力を持つ問題提起となる。

【必読ポイント!】 問題解決のための、原因分析のルール

「変えられること」に目を向けて原因を分析する
phototechno/iStock/Thinkstock

解決するべき問題を見極めたら、次に考えるべきはその原因だ。問題は原因を突き止めることで解決できるからだ。問題の原因を考えるとき、「なぜ」をくり返し問う方法もあるが、そこにジャンク思考があるとかえって堂々巡りとなってしまい、解決策にたどりつけないこともある。たとえば、いまさら変えられないことに原因を求めてしまうと、身動きができなくなってしまう。問題解決ができる人たちはこのような変えられないことに原因を求めない。変えられることすなわち、問題が生まれる仕組みに原因をもとめるのだ。

変えられないものを巧みに排除して、変えられるものだけに目を向けるには3つのルールがある。

変えられないものは変えようとしない

1つ目は「心がけより仕組みに原因を求める」ことである。

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要約公開日 2016.11.27
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