ミニマル思考 の表紙

ミニマル思考

世界一単純な問題解決のルール


本書の要点

  • 課題とその原因、解決策を考えるときに、余計なことにとらわれてしまったり、本質的な目的から離れてしまったりするのは「ジャンク思考」であり、問題解決を邪魔してしまうことがある。

  • 人の気持ちや過去のことなど、自分ではどうにもならないことを排除して、目的を見失わずに仕組みで解決する考え方が、「ミニマル思考」である。これを身につけることで本当に必要な問題に絞ってシャープに解決する方法が身につき、時間を有効に使うことができる。

1 / 4

問題をスッキリ解決する、「ミニマル思考」

「ジャンク思考」から離れよう

Umkehrer/itock/Thinkstock

物事が複雑に絡み合った問題や、現場で生じた急なトラブルに対し、素早く的確な解決策を提案できる「頭のいい人」は、頭の中でどのように考えているのだろうか。複雑な物事を複雑に考えているわけではない。むしろ物事を「シンプルに、最小限に」考えているのである。私たちの頭の中には、合理的思考を妨げるさまざまなどうでもよいことや、考えても仕方がないことといった「ガラクタ」が存在する。これを捨てない限り、理論を学んだ人でも本質からずれた問題に固執し、効果のない対策を繰り返すことになる。これを「ジャンク思考」として認識し、取り払うよう意識していくことで、頭の中はすっきりと整理されていくはずである。

ロジカルシンキングを活かすために

考え方のタイプを表すのに「論理型」「直感型」などと表現することがある。しかしロジックだけがあって、問題を解決するアイデアに到達できない人の考え方は「ジャンク思考」と言わざるを得ない。論理と直感を上手に使って、問題の本質を上手に解決できるのが「ミニマル思考」である。世の中には「論理的な人」と「直感的な人」がいるのではなく、「ロジックに囚われたジャンク思考の人」と「論理と直感が両立するミニマル思考の人」がいるのである。しかし、ミニマル思考はロジカルシンキングを決して否定するものではない。むしろミニマル思考を身につけるとこにより、ロジカルシンキングをもっと上手に活用できるようになるのである。ロジカルシンキングの基本は、考えられる要素を全て列挙して検討することだが、これは労力が必要な上に、もれがないように完璧に列挙するのはなかなか難しい。そこで、自分なりの視点から入っていったり、問題を解決するのに重要なファクターを考えてそこから思考をスタートさせたりと、積み上げ型の思考とはあえて逆から入ることで、ロジカルシンキングが活かせるのである。

2 / 4

「ミニマル思考」で問題提起

解決すべき「問題」をとらえる

ミニマル思考で問題解決をする際に重要なのが、「何を解決するか」つまり問題提起である。問題解決する価値のある問題とはなにか。世の中の問題には「誰かが実際に困っていること」と「実は誰も困っていないこと」が混在している。被害者がいないのに「解決」する手立てを考えるのは時間の無駄である。「実害のあること」「実害のないこと」を見極めるのがミニマル思考への第一歩となる。「実害のある問題」を提起する時には、気分や主観を根拠にすると自己中心的で説得力に欠けるものになる。説得力のある問題提起とは、気分や主観ではなく事実や数字で語ることである。例えば、「このデザインは野暮ったい」というのは気分や主観に過ぎないが、「このデザインに変更したら売上が15%落ちた」「アンケートの結果、このデザインに良い印象をもった人は100人中15人だった」とすると、客観的な事実として説得力を持つ問題提起となる。

3 / 4

【必読ポイント!】 問題解決のための、原因分析のルール

「変えられること」に目を向けて原因を分析する

phototechno/iStock/Thinkstock

解決するべき問題を見極めたら、次に考えるべきはその原因だ。問題は原因を突き止めることで解決できるからだ。問題の原因を考えるとき、「なぜ」をくり返し問う方法もあるが、そこにジャンク思考があるとかえって堂々巡りとなってしまい、解決策にたどりつけないこともある。たとえば、いまさら変えられないことに原因を求めてしまうと、身動きができなくなってしまう。問題解決ができる人たちはこのような変えられないことに原因を求めない。変えられることすなわち、問題が生まれる仕組みに原因をもとめるのだ。変えられないものを巧みに排除して、変えられるものだけに目を向けるには3つのルールがある。

変えられないものは変えようとしない

1つ目は「心がけより仕組みに原因を求める」ことである。

もっと見る
この続きを見るには...
残り1786/3393文字

4,000冊以上の要約が楽しめる

要約公開日 2016.11.27
Copyright © 2025 Flier Inc. All rights reserved.

一緒に読まれている要約

変身の極意
変身の極意
白取春彦
アイデアは交差点から生まれる
アイデアは交差点から生まれる
フランス・ヨハンソン幾島幸子(訳)
<わたし>は脳に操られているのか
<わたし>は脳に操られているのか
エリエザー・スタンバーグ太田直子(訳)
0から1をつくる
0から1をつくる
佐々木哲也黒木昭博
リストマニアになろう!
リストマニアになろう!
ポーラ・リッツォ金井真弓(訳)
超予測力
超予測力
土方奈美(訳)フィリップ・E・テトロックダン・ガードナー
「勘違いする力」が世界を変える。
「勘違いする力」が世界を変える。
丸幸弘(編)
オラクル流 コンサルティング
オラクル流 コンサルティング
キム・ミラー夏井幸子(訳)

同じカテゴリーの要約

壁打ちは最強の思考術である
壁打ちは最強の思考術である
伊藤羊一
しんどい世の中でどうすれば幸せになれますか?
しんどい世の中でどうすれば幸せになれますか?
橘玲樺山美夏
とりあえずやってみる技術
とりあえずやってみる技術
堀田秀吾
無料
肩書がなくても選ばれる人になる
肩書がなくても選ばれる人になる
有川真由美
子どもが本当に思っていること
子どもが本当に思っていること
精神科医さわ
忘我思考
忘我思考
伊藤東凌
ハーバード、スタンフォード、オックスフォード… 科学的に証明された すごい習慣大百科
ハーバード、スタンフォード、オックスフォード… 科学的に証明された すごい習慣大百科
堀田秀吾
ハーバードの心理学講義
ハーバードの心理学講義
ブライアン・R・リトル児島修(訳)
なぜあの人は同じミスを何度もするのか
なぜあの人は同じミスを何度もするのか
榎本博明
1つの習慣
1つの習慣
横山直宏