RPAの威力

ロボットと共に生きる働き方改革
未読
RPAの威力
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ロボットと共に生きる働き方改革
未読
RPAの威力
出版社
定価
1,980円(税込)
出版日
2017年11月20日
評点
総合
4.2
明瞭性
3.5
革新性
5.0
応用性
4.0
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おすすめポイント

RPA(Robotic Process Automation)を業務効率化ツールとして活用することで、単純作業の呪縛を解き放ち、いまこそ人間が本来なすべき高付加価値業務に力を注ぐべきである――これが本書に込められたメッセージだ。

RPAとは、これまで人間が時間をかけておこなっていたパソコン上での単純作業を、ソフトウエアロボット(以下、「ロボット」という)が記憶して、人間の代わりに自動で実行する仕組みを指す。あなたが時間をかけてやっているその作業も、RPAなら一瞬で終わるかもしれない。日本でのRPAの導入がはじまったのは2015年頃からだが、2017年に入ってから採用企業が急激に増加した。アビームコンサルティングで著者たちがRPAの導入を支援した企業数は、すでに3桁にものぼるという。

本書はそんな「RPAの威力」について、余すところなく語った力作だ。実際の企業の導入事例も紹介されているので、RPAの導入について具体的に理解を深めることができるし、なにより「うちのあの業務に使えるかもしれない」と、自社でのRPA適用場面を容易に想像しやすい。

「RPAの威力」によって人間とRPAが共生する時代の到来は、人間のさらなる進化を告げるファンファーレとなるのか。それを決めるのは、あなたの一歩を踏み出す勇気かもしれない。

ライター画像
藤本江里子

著者

安部 慶喜 (あべ よしのぶ)
アビームコンサルティング 執行役員 プリンシパル 戦略ビジネスユニット 企業改革セグメント長 組織能力創出セグメント長。製造業、卸売業、サービス業、運輸業、銀行、保険、エネルギー業界など、各種業界向けに、経営戦略立案、制度・業務改革、組織改革、ERP導入、法制度対応、成功報酬型コストリダクション、新規事業支援等、幅広い領域でコンサルティング業務に従事。RPAサービス全体責任者として、多数の企業へのRPA導入を実現。

金弘 潤一郎(かねひろ じゅんいちろう)
アビームコンサルティング 戦略ビジネスユニット ディレクター。製造・卸売業、運輸・電力業、金融業を中心に、業務改革、経営管理制度構築、コスト構造改革等の支援に従事。近年はRPAによる業務改革サービスをリードし、多数の企業へのRPA導入を実現。

本書の要点

  • 要点
    1
    RPAは人間が決めたルールの範囲内で作業を自動化する。短期間で低コストなのにもかかわらず、正確性と生産性を高速で担保することができる点で、画期的といえる。
  • 要点
    2
    RPA導入のポイントは、現場を巻きこんでRPAに触れてもらうことである。業務部門とIT部門が連携し、それぞれ役割分担をしながら、両輪となって導入を推進するべきだ。
  • 要点
    3
    RPAが多くの仕事を担う未来がくれば、人間はより創造的な仕事に着手できるようになる。このように人間に進化させる力こそが、「RPAの威力」なのである。

要約

RPAが時代に求められる理由

「働き方改革」の即効薬としてのRPA

「働き方改革」が叫ばれるようになって久しい。だが生産性向上や業務効率化の手だてがなく、限界を感じている企業も多いだろう。

RPA(Robotic Process Automation)とはホワイトカラーの生産性を革新的に高める技術であり、その技術を利用した業務改革手法である。人間を補完して業務遂行できることから、「デジタルレイバー(Digital Labor):仮想知的労働者」とも呼ばれる。人とロボットが分業・共生し、人がデジタルレイバーを部下の一員としてマネジメントする時代が到来したのだ。

RPAが代替できる業務
gmast3r/iStock/Thinkstock

RPAには画面認識技術と自動プログラム生成技術があり、それぞれ人間の「目」と「脳」にあたる役割を果たしている。こうした技術が人間の作業を自動的にコピーし、再現することを可能にさせている。RPAは人間がアクセス可能なデータであれば収集できるし、定型ルールにもとづいてロジックを組みこめば、データの加工からエラー発見時の確認作業まで対応できてしまう。たとえばRPAは次のような業務で活用できる。

・販売処理、経理処理などの事務処理作業

・商品登録、在庫連携などのバック処理

・競合他社の動向、商品などのWeb調査

・社内複数システムにまたがる情報の集計・分析資料作成

つまりこれまで人間にしかできないと思われていた企業の人事・経理・資材調達・営業事務の多くは、デジタルレイバー(RPA)で代替できるわけだ。

RPAとAIの違い

膨大なデータを圧倒的な正確さとスピードで処理するという点で、RPAと人工知能(AI)は似ている。しかし両者には業務効率化の点で大きな違いがある。

AIがルールをみずから発見・定義して作業を自動化するのに対し、RPAは人間が決めたルールの範囲内で作業を自動化する。ゆえにAIの場合、100%の精度で処理できるようになるまでには多大な時間とコストがかかるが、RPAは限定された範囲内で処理をおこなうため、100%のレベルまで短期間で到達する。

多くの企業が求めているのは、自分たちの決めたルールの範囲内で、正確性と生産性を高速で担保する仕組みだ。そういう意味で即戦力となるのはRPAのほうなのである。

人間とロボットの共生
dimdimich/iStock/Thinkstock

残念なことに先進国のなかで、日本の労働生産性はきわめて低い。労働人口も減少の一途をたどっているし、残業問題が象徴するように労働環境も決していいとはいえない。

日本企業がグローバルな競争に勝ち抜くためには、イノベーションを起こすような創造的な業務に専念できるよう、「真の働き方改革」に取りかかることが急務である。しかし現場では日々の単純作業に追われ、創造的な業務に時間を割くことができていない。

こうしたなか2017年以降のRPAの採用企業が急増し、金融からサービス業、メーカーへと拡大している。ある調査によると導入企業の約半数が、1カ月もかからずにRPAの導入を完了。さらに97%の企業が5割以上の業務削減を実現したという結果が出ている。

しかも「RPAの威力」はそれだけではない。「従業員の意識までが変わり、自発的、自動的に行動しはじめる」という、副次的な変化まで表れているのだ。「今後RPAを活用しない企業は生き残れない」といっても過言ではないだろう。

【必読ポイント!】RPAの導入

成功するための5つのポイント

RPA導入のコツと成功のポイントは次の5つである。

(1)考えるより触れ

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要約公開日 2018.08.08
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