できる上司は「教え方」がうまいの表紙

できる上司は「教え方」がうまい

「自分で動ける」部下を育てる技術


本書の要点

  • 「自分がやったほうが早い」という先入観を捨て、会社の成長のための「教える時間」を確保すること、そして教えた相手が戦力になるまでの「我慢の時間」を持つことが大事である。

  • 一度に多くのことを教えるのではなく、多くても3つまでにするべきだ。ポイントを絞り込んで教えることで、基本がしっかり身につき、その後の応用が利きやすくなるからである。

  • 上司が教えたことを部下が実行に移す際、その場ですぐにフォローしてはいけない。教育期間のうちは一連の仕事を一通り黙って見ていることも、教える側の役目と言える。

1 / 5

「教える」ことで、あなたも組織も成長できる

「自分でやるほうが早い」は大間違い

仕事を教えても、部下や後輩が自分のレベルに近づくまでは、当然それなりの時間がかかる。「ならば自分でやる方が早いし、せっかく教えても部下が結果を出すまで生産性がないのでは?」という考えから、教えることを敬遠する人が多いのも事実だ。しかし、このような考え方は、あまりに「短期的」な視点に偏り過ぎている。ビジネスパーソンである以上、もう少し「中・長期的」な見方もすべきだ。「自分でやったほうが早い」と考える気持ちもわかるが、これを続けてしまうと、数年後はどうなってしまうのだろうか。自分でやったほうが早いと様々な仕事を抱え込んだ結果、本来なら自分がやらなくてもいい仕事にまで追われる日々を送っているかもしれない。目先のことを考えている人には、大きな仕事はできないのだ。「自分がやったほうが早い」という先入観を捨て、会社の成長のための「教える時間」を確保すること、そして教えた相手が戦力になるまでの「我慢の時間」を持つことが大事だ。教えることにかかった時間は、あとで必ず回収できるのだから。

教えることは最高の「勉強法」

人は自分の頭でしっかり整理できていない情報を人に教えることはできない。言い換えれば、自分が完全に理解していることのみ、人に教えられる。また、教える機会が多ければ多いほど、教える側に知識が定着し、その分野における自信にもつながる。そういった意味で、教えることには3つのメリットが存在すると言えよう。①相手にわかりやすいよう、自分のノウハウを整理するため、「知識の棚卸作業」になる②他人にどう教えるか、その伝え方を考えることが、自分自身の「学び」につながる③初心者に教えることで、自分が忘れていた基本的な事項を復習できる

2 / 5

【必読ポイント!】 部下を「一人前」に育てる教え方の基本

一度に教えるポイントは3つまで

小学生が算数を習うとき、足し算、引き算、そして掛け算、割り算と少しずつ学習していくように、大人を指導するときも一度に多くのことを伝えるのはやめたほうが良い。一度に教えるポイントは多くても3つまでで、相手の理解力や意欲によっては1つの大事なポイントを教えるのが精一杯ということもあるだろう。例えば、新入社員に営業のやり方を教えるとしよう。「自分で訪問先を見つけ、営業して、売上をあげる」という全体の流れを細分化すると何十ものポイントに分けることができる。ここで、新規開拓の方法やアポイントのとり方から始まる一連の流れを説明して、「では、やってみなさい」とするのは完全なNGだ。こういう場合、最初は「訪問先で担当者の名刺をもらう」ことをゴールにしてみればいかがだろうか。もちろん、ただ名刺を受け取るだけでなく、初対面の方への「あいさつの仕方」「名刺交換のマナー」「名刺から読み取れる情報(部署や役職など)を用いた会話の仕方」の3つを詳しく教えるのだ。教えられる側は「ただの名刺交換にも1つひとつの行動に深い意味がある」と感じることだろう。このように細分化し、ポイントを絞り込んで教えることで、基本がしっかり身につき、その後の応用が利きやすくなる。

部下の反応が悪くてもあせらない

一生懸命教えているのに、部下の反応がいまいちよくない。こんなとき、「自分は教え下手なんだ」と悲観的になるのは早過ぎる。反応がないからといって、相手が理解していないとは限らないし、逆にリアクションはいいのに、実際には大事なことがわかっていなかった、ということもありえる。つまり、学習中のリアクションだけでは、相手の理解度を測ることはできないのだ。

もっと見る
この続きを見るには...
残り2164/3667文字

4,000冊以上の要約が楽しめる

要約公開日 2013.10.31
Copyright © 2025 Flier Inc. All rights reserved.

一緒に読まれている要約

米国製エリートは本当にすごいのか?
米国製エリートは本当にすごいのか?
佐々木紀彦
観想力
観想力
三谷宏治
個を動かす
個を動かす
池田信太朗
一流の決断力
一流の決断力
植田兼司
コカ・コーラ
コカ・コーラ
関美和(訳)ネビル・イズデルデイビッド・ビーズリー
リーダー論
リーダー論
野村克也
新幹線お掃除の天使たち
新幹線お掃除の天使たち
遠藤功
30歳までに身につける 仕事で一番大切なこと
30歳までに身につける 仕事で一番大切なこと
古川裕倫

同じカテゴリーの要約

生成AI最速仕事術
生成AI最速仕事術
たてばやし淳
ハーバード、スタンフォード、オックスフォード… 科学的に証明された すごい習慣大百科
ハーバード、スタンフォード、オックスフォード… 科学的に証明された すごい習慣大百科
堀田秀吾
不完全主義
不完全主義
オリバー・バークマン高橋璃子(訳)
「やりたいこと」が全部できる! 自分の時間
「やりたいこと」が全部できる! 自分の時間
尾石晴
「仕事ができるやつ」になる最短の道
「仕事ができるやつ」になる最短の道
安達裕哉
限りある時間の使い方
限りある時間の使い方
オリバー・バークマン高橋璃子(訳)
イシューからはじめよ[改訂版]
イシューからはじめよ[改訂版]
安宅和人
仕事は初速が9割
仕事は初速が9割
越川慎司
あっという間に人は死ぬから
あっという間に人は死ぬから
佐藤舞(サトマイ)
頭がいい人のChatGPT&Copilotの使い方
頭がいい人のChatGPT&Copilotの使い方
橋本大也