30歳までに身につける 仕事で一番大切なこと

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30歳までに身につける 仕事で一番大切なこと
出版社
日本実業出版社
出版日
2009年07月24日
評点
総合
3.0
明瞭性
3.0
革新性
3.0
応用性
3.0
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おすすめポイント

30歳になるにあたり、準備しなければならないことは何だろうか。本書は、一定以上の規模の企業に属していることを前提とし、上司と部下の板挟みになりつつも日常業務をこなすために求められる能力と、それを身に付けるにあたって押さえておくべき心構えについて記された一冊だ。タイトル通り20歳代の若手ビジネスパーソンが対象となっている本であるため、30歳以上の読者にとっては多少物足りない部分もあるだろうが、成功した経営者の本を読むよりもこの本を読んだ方が、目の前の自分の仕事に応用できる部分は多いかもしれない。

30歳とはキャリアの中で、仕事に慣れ、部下を持つ一方で、十分な権限もなく、組織の板挟みに苦心する年齢である。更にサラリーマンとしてのキャリアを歩んでいる方の多くが、モチベーションが一時的に上がらない時期に差し掛かる。それらを乗り越えるためには、本書に書かれているような「心がけ」を20代のうちに習慣化してしまい、板挟みを乗り越える「実力」を身につけるべく準備することが肝要なのは間違いない。

既に30代に突入してしまっている方も、ハイライトでも紹介した「マネジメント力獲得への道」の記述は参考になるだろう。部下にも「遂行と報告の責任」がある一方で、「結果は全て上司の責任」という考え方が徹底されている組織がどれだけあるだろうか。得てして、上司の失敗は部下の責任という社風になっている企業もあるのは情けない限りだ。

さらに本書では、最も優れた投資として「読書」が進められている点も強く賛同する。実力で成功した経営者のほとんどが、忙しいにもかかわらず物凄い量の本を読んでいる、という事実を多くの方に再認識いただきたいと願う。

ライター画像
大賀康史

著者

古川 裕倫
1954年生まれ。早稲田大学商学部卒業。77年、三井物産(株)入社、23年間勤務(エネルギー本部、情報産業本部、業務部投資統括室)。この間、ロサンゼルス、ニューヨークで10年間勤務。2000年、(株)ホリプロにヘッドハントされる。同社取締役執行役員経営企画室室長兼子会社(株)ホリ・エンタープライズ社長、(株)リンクステーション代表取締役社長を経て、現在、(株)多久案代表、経営コンサルタント。著書に『他社から引き抜かれる社員になれ』(ファーストプレス)、『「バカ上司」その傾向と対策』(集英社新書)など。日本駐車場開発(株)の社外取締役を務めるかたわら、「先輩・先人の教えを後世に順送りする」ために講演・研修活動を行う。ビジネスマンの勉強と交流のために「プラチナビジネス塾」(講演会+異業種交流会)を開催している。

本書の要点

  • 要点
    1
    実力は「スキル」「行動力」「人間力」の3つの力で構成される。まず若手社員は意識で変えられる「行動力」を徹底して高めるよう心がけるべきだ。
  • 要点
    2
    上司になった際には、「遂行」と「報告」は部下の責任であり、「結果」は全て上司の責任である、ということを明確にすることが必要である。
  • 要点
    3
    できるビジネスパーソンは、趣味で本を読んでいるというより、読書を常識としている。「読書は人間形成を加速する」という言葉もある通り、読書を最も優先すべき将来への投資と捉えるべきだ。

要約

身につけるべき行動特性

早く実力をつけるには「知力」よりも「行動力」
Wavebreak Media/Thinkstock

初めは仕事を覚えるのに精一杯だったのに対し、3年も経つと仕事を要領よくこなすコツを覚える。しかし、ここから高い志と信念を持てるかどうかが、真の実力を伸ばすことができるかを分かつことになる。ここで言う実力とは「スキル」「行動力」「人間力」の3つの力で構成されるものだ。

このうち「人間力」は、一朝一夕で見につくものではないので、優先すべきは「スキル」と「行動力」である。では早く実力をつけたい人は、そのどちらに注力するべきか。

スキルには、分析力・理解力・説明力・企画立案力などの能力の他、商品やサービス、業界などについての知識も含まれる。スキルは、経験がものをいい、試行錯誤の中で磨かれる。したがって、まず若手社員は「行動力は高いが、スキルは低い」というポジションを取るべきだ。

経験の浅い若手社員は、あれこれ言う前に実際にやってみることが肝要である。そうして、小さな成功を肌で感じ、一方で失敗を体験するうちに、成功や失敗の理由を自然に考えられるようになり、結果としてスキルが高められるのだ。

「好きな仕事」でなくてもモチベーションは上がる

自分が希望していた部署に行けなかったことで、「いまの仕事ではモチベーションが上がらない」と嘆く人がいる。だが、そもそも自分の好きな仕事に就いている人はごくわずかだ。しかもサラリーマンであれば、いつどこに部署異動になるかわからない。つまり、いつまでも自分のやりたい仕事にこだわると、モチベーションが一向に上がらないのである。

モチベーションを維持・向上させる鍵は、仕事の外見ばかりに目を奪われないことだ。著者はどんな仕事にも「喜び」が存在していると説いている。小売店であれば売った商品がお客様の役に立つこと、飲食店であれば料理がお客様においしいと評価されることが喜びになる。

希望の仕事や部署に恵まれなくても、仕事のモチベーションの源泉は、仕事の外見ではなく、中身にあることに早く気づくべきである。

成長のカギは「年上・目上の人」が握っている

人間は社会的な存在であり、組織が成り立っているのも、さまざまな人間が支え合っているからこそと言える。そういう社会の中では、同期に話はできても、年上・目上の上司やお客様と話すのが苦手ということでは、成功は難しくなるだろう。

会社というピラミッド組織の中では、上司とコミュニケーションをとらなければ、仕事を進めることができない。「ホウレンソウ」(報告・連絡・相談)にしても基本は対上司。上司抜きの仕事などないのである。

つまり、自分がいい仕事をするためには、上司を協力者として仕事に組み込むことだ。自分から一歩前に出て、おつき合いをすることである。また、目の前の上司を動かせないのに、どうやってお客様を動かすことができるのか、という考え方もあるだろう。

自分の部署の上司とコミュニケーションをとることができれば、次は他部署の先輩とコミュニケーションをとることで、人間としての幅も広げることができる。

こうしたことが人間力を磨く上で、非常に役立つのである。

大先輩が実践している毎日の習慣

カリスマ経営者として知られる稲盛和夫さんと、著者のかつての上司だった島田精一さんの講演によると、この2名には1日の反省の時間を必ず設けるという習慣が共通しているそうだ。

稲盛さんは毎晩毎晩、鏡を見て「きょう1日、人の道を外れるようなことをしなかったか、正しいことをしたか」を自分に問いかける。

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要約公開日 2013.11.07
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