日本は「近視大国」である。統計によると、40代以上の日本人のうち42%近くが近視だとされている。アメリカ人や中国人が22%、49歳以上のオーストラリア人が14%だということを考えると、いかに日本人に近視が多いかがわかるだろう。加えて、視力0.1以下の人が増えていること、視力低下の低年齢化が進んでいることも特徴だ。実に4000万人以上の日本人がなんらかの目の悩みをもつといわれている。
「親がメガネをかけているから仕方ない」「両親も兄弟も近視だから、私も目が悪い」などと、遺伝が近視の原因になっていると考える人は多い。だが、近視の原因は遺伝ではない。もちろん遺伝性のものもないわけではないが、遺伝だからと視力回復をあきらめてしまうのは残念なことである。
ワシントン大学教授のフランシス・A・ヤングは、エスキモーを3世代にわたって調査した。その結果、祖父母と両親の視力に問題がない子どものうち、近視になった子の割合が58%を占めていた。これは、孫の代で学校に通い始め、読書の時間が増えたことが原因だと結論付けられる。
近年、「ドライアイ」に悩む患者さんが多い。日本全国には、ドライアイに悩む人が1000万人いるとされているほどだ。
ドライアイは涙が出にくくなる病気なので、「目薬をさせばいい」という程度に軽く考える人がほとんどだ。だが実はドライアイは、目の機能を衰えさせる、恐ろしい病気なのである。単なる肌の乾燥などと同じように考えないでほしい。
涙は目の乾きを防止するだけでなく、目を殺菌、洗浄し、角膜などへ酸素や栄養を補給する重要な役割を担っている。無色透明だが、ナトリウムやカリウム、ビタミンA、ビタミンC、そしてブドウ糖などの栄養成分、抗菌作用や免疫成分であるラクトフェリンやIgA、細胞成長因子のEGFなどといった、血液と同じような成分を含んでいる。この涙が出なくなるのは、人間の体の機能の衰えだといえる。
ドライアイが悪化すると、目を開けても閉じても痛むだけでなく、肩こりや頭痛も起こる。こまめに目薬をささなければならないストレスから精神的に参ってしまう人もいるほどだ。
目は毎日一生懸命に働いてくれている。1日に行われるまばたきは2万回近く、眼筋は10万回以上も動く。
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