スターバックスはなぜ値下げもテレビCMもしないのに強いブランドでいられるのか?

未 読
スターバックスはなぜ値下げもテレビCMもしないのに強いブランドでいられるのか?
ジャンル
著者
ジョン・ムーア 花塚恵(訳)
出版社
ディスカヴァー・トゥエンティワン
定価
1,650円(税込)
出版日
2014年04月17日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
4.0
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著者
ジョン・ムーア 花塚恵(訳)
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出版社
ディスカヴァー・トゥエンティワン
定価
1,650円(税込)
出版日
2014年04月17日
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総合
3.8
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
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レビュー

世界60カ国以上で展開し、日本だけでも1000店舗を構えるスターバックス。1971年にアメリカ・シアトルで生まれた小さなコーヒーショップは、いまや誰もが知る世界的な企業となった。本書は、その強力なブランドが、いったいどのようにして築かれたのかという秘密を解き明かす一冊だ。タイトルにもあるように、スターバックスは市場の価格競争がどれだけ激しくなっても値下げをしないし、ライバル企業が次々登場してもテレビCMをしない。それでも、スターバックスはグローバルに拡大し続け、熱烈なファンを獲得している。

本書はスターバックスのマーケティング担当だった著者が、同社を成功に導いた46の「ルール」を紹介している。スターバックスの本質を表すこれらのルールは、これまで文書化されずに社内で受け継がれてきた秘伝の経験値やノウハウだ。マーケティング&ブランディング、サービス、人材育成という3つのカテゴリに分けられ、なかには一見するとシンプルなルールもあるが、それを同社がどのような信念に基づき、どれだけ徹底して実践しているか、具体例を交えてわかりやすく解説している。また、それぞれのルールごとに、読者が自らのビジネスに置き換え、取り入れるためのポイントもまとめられており、応用性も高い。

ページをめくれば、スターバックスが一杯のコーヒーにいかにこだわり、お客様本位の姿勢をどれだけ徹底しているかが理解でき、何気なく“スタバ”に足を運んでいた人にとっても興味深いストーリーが満載だ。業種を問わず多くの読者にとって、仕事に対する新たなヒントを与えてくれるだろう。

著者

ジョン・ムーア
スターバックスで8年間、マーケティングプログラムの作成と実行に携わる。その後、大手スーパーマーケットのホールフーズマーケットのマーケティングを経て、現在はコンサルタント会社を主宰。
小さい会社の心意気と活動をもって、より大きな成長を遂げてもらうべく企業のサポートを行っている。企業や大学などでの講演多数。人気マーケティングブログ「Brand Autopsy」も運営している。

本書の要点

  • 要点
    1
    スターバックスは従来のマスマーケティングでなく、お客様一人ひとりと心の通った関係を築くことに焦点をあてた。そして世界中の人々のコーヒーに対する考え方を変えるという目標を達成した。
  • 要点
    2
    スターバックスは、ブランドをつくろうとしたことはない。ただお客様に美味しいコーヒーの楽しみ方を伝えること、くつろげる空間をつくることに情熱を注いだ。そうやってビジネスに忠実に取り組んだ結果、強力なブランドが築かれた。
  • 要点
    3
    常に人ありき。スターバックスは人を相手にしたビジネスとしてコーヒーを提供しており、コーヒービジネスを通して人に奉仕する会社ではない。

要約

【必読ポイント!】ビジネスと正面から向き合う

「スターバックス体験」
Alexandr Vlassyuk/iStock/Thinkstock

第1章では、スターバックスのブランディングとマーケティングに関するルールを紹介している。意外なようだが、スターバックスはブランドをつくろうとしたことはない。ただお客様に美味しいコーヒーの楽しみ方を伝えること、そしてくつろげる空間をつくることに情熱を注いだ。スターバックスが設立された1970年代は、コーヒーは単に習慣的に消費する日用品としか思われていなかったからだ。

スターバックスでは従業員(同社では「パートナー」と呼ばれる)は、コーヒーのエキスパートとされ、扱うコーヒーについて熟知し、完璧なコーヒーをいれるスキルを習得している。そして店舗づくりも、清潔で落ち着いた、温かい雰囲気を心がけている。すべては来店した人々に美味しいコーヒーを楽しみながらくつろぐという体験、すなわち「スターバックス体験(エクスペリエンス)」を提供するためだ。

商品や顧客サービスの向上にコストをかけず、大々的な広告キャンペーンを展開してブランドを確立しようとする企業は多い。しかし、スターバックスはビジネスそのものに忠実に向き合って取り組み、その結果、スターバックスという強力なブランドが生まれたのだ。

お客様とのかかわり

スターバックスにとって、テレビCMよりも重要なマーケティングが3つある。①店舗での体験、②お客様とのかかわり、③地域とのかかわり、である。ロゴ入りのカップで出されるコーヒー、バリスタとの交流、快適なイス、店内に流れる音楽、さらにはラテのミルクにかかるキャラメルのトッピングの形状と、細部にまで気を配ることはなによりも高い宣伝効果がある。お客様によりよい体験をしてもらうことにコストをかけることが、最も効果的なマーケティングなのだ。

過去にCMを使ったこともあったが、効果はなかなか実感できなかった。それよりも店頭でのテイスティングサービスは、バリスタがお客様の反応からその効果を判断できる。テイスティングを通してお客様との交流を深め、お客様に直に体験してもらうことで売上を伸ばしていった。また、地域のチャリティ活動やイベントにも参加し、口コミによる宣伝も大切にしている。

価格に見合う価値を

米国大手スーパーマーケットチェーン「ウォルマート」に代表されるように、低価格戦略で消費者にアピールする企業もある。一方でスターバックスは、価格を下げたことがない。同社が販売するドリンクには90%以上の利幅があるため、商品や顧客サービスの質の向上に注力することができる。低価格戦略を打ち出す企業は、コスト削減が客への唯一のアピールのためそれに従事するしかないが、スターバックスは完璧な一杯を提供することで、お客様にその価格に見合うだけの価値を認めてもらおうと努力している。

スターバックスも90年代に「お客様感謝デー」と称して、商品の価格を一律に下げたことがあった。しかし、記録的な売上を達成した一方で、供給網が大混乱したうえ、セール以降の通常販売が機能せず、実際には損失を被る結果となった。なによりも完璧な一杯のコーヒーを作ることができず、お客様への気配りが疎かになったため、セール販売は数年でやめたのだという。

ブランド資産か負債か

マーケティングプランを決める際、スターバックスはその活動がプラスの効果(ブランド資産)とマイナスの効果(ブランド負債)のどちらを生み出すかを判断する。その判別基準となるのが、①お客様のインテリジェンス(知的好奇心や判断力)を尊重しているか、②お客様に約束した内容を果たすことができるか、③従業員が楽しんで積極的にできるものか、④気が利いていて、オリジナリティがあり、心から信頼できるものだとお客様が受け取ってくれるか、という4点だ。

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