本書の要点

  • 脳細胞が集まり集団になった場所は「脳番地」と呼ばれる。脳番地は、機能別に8系統に分類できる。それらは視覚系、理解系、運動系、思考系、記憶系、感情系、聴覚系、伝達系である。

  • 脳番地のどこが強いか・弱いかは、人によってさまざまである。自分の脳のクセを見極め、弱い脳番地を鍛えることが「片づけ脳」を身につける第一歩である。

  • 鍛える順番に迷うときは、運動系→視覚系→思考系→記憶系の順番にトレーニングをするとよい。

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片づけられないのは脳のせいだった!

脳が「片づけよう」と働くかどうかが大事

脳は人間にとって大事な器官である。人間の感情や思考、行動など、あらゆることが脳の働きに委ねられている。そのため、片づけにおいても、脳がいかに「片づけよう」と働くかがカギとなる。

脳には、さまざまな役割が与えられた、1000億個以上の神経細胞が存在している。同じような働きをする細胞が集まり、基地のようになった場所を、著者は住所のように「脳番地」と表現している。

8つの脳番地

Natali_Mis/gettyimages

脳番地は、機能ごとに次の8系統に分類できる。

(1)視覚系脳番地:目で見たことを脳に伝える脳番地。ここが衰えていると、見た情報を正確に処理できない。よって、部屋が散らかっていても、それが視覚情報としてインプットされず目に入らない。

(2)理解系脳番地:物事や言葉を理解することに関係する脳番地。与えられた情報を理解し、自分を客観視する能力にも関係しており、好奇心によって成長する。また、空間認知にも関係している。この脳番地が弱いと、「どう片づければいいかわからない」という状況に陥ってしまう。

(3)運動系脳番地:体を動かすことに関係する脳番地。この脳番地が弱いと、動くことがおっくうになり、片づけるのも面倒に感じてしまう。

(4)思考系脳番地:物事を深く考えたり、判断したり、集中力を高めたりする機能が集まっている脳番地。脳の司令塔といえる。この脳番地が弱いと、自分で自分に指示が出せず、物事をすぐには決められない。片づけの基本である「ものの場所を決める」ことが、なかなか実行できなくなってしまう。

(5)記憶系脳番地:情報を蓄積する脳番地で、覚えたり思い出したりすることに関係する。知識と感情の連動で強化される。記憶系が弱いと、元にあった場所が思い出せない。

(6)感情系脳番地:喜怒哀楽といった感情を表現する脳番地。死ぬまで成長し続ける。この脳番地が弱いと、片づけを他人に任せがちになる。

(7)聴覚系脳番地:耳で聞いたことを脳に集める脳番地。ここが弱いと、聞いたことを受け止められず、忘れてしまい、行動できない。挙句、片づけも面倒になってしまう。

(8)伝達系脳番地:コミュニケーションに関係する脳番地。家族に「片づけて!」と言っても、家族が動いてくれないなら、コミュニケーションの仕方に問題があるのかもしれない。

脳に弱い部分があるから、片づけられない

これらの脳番地のどこが強いか・弱いかは、人によってさまざまである。どの脳番地が弱いのか、自分の脳のクセを見極めることが「片づけ脳」への第一歩となる。思うように片づけられない原因をたどると、それは脳の使い方のクセ、脳の弱い部分が引き起こしている。

また、注意欠陥多動性障害(ADHD)のように、病気の症状として「片づけられない」ケースもある。しかし、その場合でも、適切に対処しながら脳番地トレーニングを行えば、改善が見られることもある。

「片づけられない」3つのパターン

「片づけられない」状態を突き詰めると、次の3つのパターンに分けられる。1つ目は、運動系・思考系・伝達系が弱く、「やろうと思っても、なかなかスイッチが入らない」パターンである。2つ目は、視覚系・理解系・聴覚系が弱く、「途中までやったはいいが、なかなか進まない」パターンだ。そして3つ目が、記憶系・感情系が弱く、「片づけたけれど、すぐ元に戻ってしまう」パターンである。

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要約公開日 2019.07.29
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