心。

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出版社
サンマーク出版

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定価
1,870円(税込)
出版日
2019年06月25日
評点
総合
3.7
明瞭性
4.0
革新性
3.0
応用性
4.0
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おすすめポイント

売り上げが思うように伸びない、方針が定まらず社員がついてこないなど、経営者は常にさまざまな悩みを抱えている。一生懸命やっているはずなのにうまくいかないとき、実は「心」に原因があるかもしれない。

本書では、ビジネスの成功につながる心のもち方、生き方が指南されている。その内容は目を見張るような新しいものではない。むしろ、誰もが聞いたことのある「思いやりを持つ」や「あきらめない」などといった、ある種当たり前ともいえる教えが並ぶ。だが、稲盛和夫氏はこうした「基本」を徹底的に追求し、成功を収めたのだ。

これらを過酷なビジネスの世界で実践するのは容易いことではないし、すぐに結果に結びつくようなノウハウのほうが大切だと感じる人もいるかもしれない。それでも、「基本」の重要性を裏付けるエピソードとともに発せられる人生訓の数々には、確たる重みがある。

「成功」を収める人は数多くいる一方で、生涯にわたってその名声を汚すことなく成功し続ける人は多くない。一時的な成功は野心によって成し遂げられるかもしれないが、いつかは没落する。だからこそ「世のため人のため」という徹底した利他の姿勢を貫かねばならない――というのが稲盛哲学である。日本を代表する経営者の考え方として学ぶべきことは多い。人生のすべてを仕事に捧げて成功したい、ともに働く人たちを幸せにしたい、日本社会の役に立ちたいという読者にうってつけの一冊だ。

ライター画像
池田明季哉

著者

稲盛 和夫(いなもり かずお)
1932年、鹿児島生まれ。鹿児島大学工学部卒業。59年、京都セラミック株式会社(現・京セラ)を設立。社長、会長を経て、97年より名誉会長。また、84年に第二電電(現・KDDI)を設立、会長に就任。2001年より最高顧問。10年には日本航空会長に就任。代表取締役会長、名誉会長を経て、15年より名誉顧問。1984年には稲盛財団を設立し、「京都賞」を創設。毎年、人類社会の進歩発展に功績のあった人々を顕彰している。
著書に『生き方』『京セラフィロソフィ』(ともにサンマーク出版)、『働き方』(三笠書房)、『考え方』(大和書房)など、多数。

本書の要点

  • 要点
    1
    嬉しいことも悲しいことも、すべて自分の心が引き寄せている。辛いときも前向きな気持ちで乗り越えることが、すばらしい人生を送る秘訣である。
  • 要点
    2
    利他の心をもち、よき行いをすると、いつかそれが自分の元に返ってきて人生を好転させてくれる。
  • 要点
    3
    困難に遭遇したときも、瞬間的にそれを「できる」と思い、あきらめずに一歩を踏み出せば、成功へと近づく。
  • 要点
    4
    困難を乗り越えることによって心が磨かれ、人生が豊かなものになっていく。

要約

人生の礎を築く。

人生は自分の心が決める
francescoch/gettyimages

人生という道のりは誰にとっても波瀾(はらん)万丈のドラマであり、嬉しいこともあれば悲しいこともある。実はそうした出来事はすべて自分自身の心が引き寄せ、つくり出したものだ。だから人生は、目の前の出来事にどのような心持ちで対応するかによって大きく変わっていく。愚痴をこぼしたり不平不満をもらしたりすれば、それらはめぐりめぐって自分に戻ってきて、さらに悪い境遇を呼び起こしてしまう。

著者自身、少年期から社会に出るまでは苦難の連続であったが、それに対して不平不満を漏らしていたときはなにもうまくいかなかった。しかし、自分の運命を受け入れて仕事に没頭し始めてから、人生は逆風から追い風に転じた。いっけん不幸な少年時代は、天から与えられたすばらしい人生への前奏曲だったのだ。挫折と苦労を前向きな気持ちで乗り越えようとしたことによって、心を磨く努力をすることができたし、他人を大切にする人間になった。

現状がいかに過酷なものであっても、それを恨んだり、卑屈になったりせず、つねに前向きな気持ちで乗り越えていこう。それがすばらしい人生を送る秘訣(ひけつ)だ。

謙虚さはよい人生を歩むためのお守りになる

著者は若いころから「謙虚さとはお守りである」というようなことをいってきた。謙虚な心は、悪しき出来事を遠ざけ、よい人生を送るための護符となってくれる。

人間は、物事が少しうまくいき、まわりからちやほやされると、気持ちが舞い上がってしまうものだ。それが続くと知らずしらずのうちに傲慢になり、また他人にも横柄な態度をとってしまう。人生を踏み外す原因となるのは、かならずしも失敗や挫折とは限らない。成功や称賛もまた、人生を一変させてしまうのだ。

京セラを創業し、経営が軌道に乗り始めたころ、著者はふと「これだけ収益が上がっているのに、私の年俸がこれしかないのはおかしいのではないか?」と思ったことがあった。会社ができたのも、利益がでているのも、著者の才覚によるものだ。であれば、いまの数倍の年俸をもらってもバチは当たらない――ついついそう感じてしまった。

しかしすぐその傲慢さに気づき、自らを激しく戒めた。自分がもつ才能や能力は、自分の所有物ではない。たまたま与えられたものだ。だからこそ、自分の才能や能力は、世のため人のために使わねばならない。

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要約公開日 2019.10.16
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