SNSの普及により、誰もが情報を発信しコンテンツの作り手になれる時代が到来した。広告の予算の大きさ次第で物の売れ行きが変わるという時代は、終わりを告げた。いまや、誰もがやり方次第で効率的なマーケティングを行えるようになっている。SNSのおかげで、本当にいいと思う商品やサービスを、喜んでくれる消費者のもとに届けられるようになった。
広告代理店やプロのWebマーケターの中でも、「SNSでモノが売れる」という事実が腑に落ちない、という人は少なくない。AmazonやZOZOTOWNなどのECサイトが主流になってきたとはいえ、デジタルマーケットでの消費額は、全消費額の5%に過ぎない。
しかし、SNSが影響を与えるのは、デジタルマーケット経由での購買だけではない。SNSの投稿がリアルな消費者の行動に影響を与えていることは多い。Webで商品を売りたい、集客をしたいと考えている人は、この点に気づく必要があるだろう。
リサーチ結果によると、20代から30代の女性のうち、実に65%の人が「SNSをきっかけに、購買やイベントに参加した経験がある」という。このようなSNS経由での購買行動は、海外では日本よりもさらに一般的になっている。
「SNSで話題になったものをよく買うか」。この質問に対して、中国では18歳から64歳のすべての世代において、半数以上の人がYESと回答している。また、米国においても、25歳から39歳の男性、18歳から24歳の女性の半数以上が「SNSで話題になったものをよく買う」と回答している。
中国や米国のように、今後日本でも若い世代を筆頭に、SNSを発端とした購買行動をとる人が増えていくことだろう。
いまの時代、SEO対策やリスティング広告だけで、顧客に商品を買ってもらうことは難しい。SEO対策とは、ある検索ワードを打ち込んだときに、検索サイトの上位に自社のサイトや記事を表示させるような対策を指す。また、リスティング広告とは、あるキーワードを打ち込んだときに、ユーザーに対して表示される広告のことである。
もちろん、これらの効果を否定するわけではない。だが、少子高齢化の時代において商品の購入意図のもとに検索をしてくる層、すなわち「顕在化している顧客」を相手にするだけでは、マーケットを広げることは難しい。また、検索ワードを争うライバルが増えれば増えるほど、SEO対策やリスティング広告で効果を出すことは至難の業となっていく。
世の中には130兆ものウェブページがあるという。99%の情報は届けたい相手に届かないと考えた方がよい。相手にその情報を覚えてもらい、購入までこぎつけるのは、非常にハードルが高いことだ。
人が物を買うときに、最も影響を受けるのは、「家族や友人、知人からの推薦」である。これは若い世代だけの特徴ではなく、50歳以上の世代にも当てはまる。知り合いからの口コミの影響が最も大きい。特に日常的にネットに接している人ほど、企業やメディアが出す情報よりも、友人や家族からの意見を信頼する傾向にある。どれほど情報が届きにくい時代になったとしても、親しい人からの言葉であれば、ユーザーに届くのだ。
企業や組織のしがらみがなく、ユーザーが自然と発生させる口コミのことをUGCという。UGCはUser Generated Contentsの略で、企業が打ち出す広告ではなく、ユーザーが自分の意思で投稿するコンテンツのことを指す。
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