御社の新規事業はなぜ失敗するのか?

企業発イノベーションの科学
未読
日本語
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御社の新規事業はなぜ失敗するのか?
出版社
定価
924円(税込)
出版日
2020年02月29日
評点
総合
4.0
明瞭性
4.5
革新性
3.5
応用性
4.0
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おすすめポイント

なぜ日本企業ではイノベーションが起きにくいのか。あるいは、なぜ「新規事業」と聞いただけで会社員は逃げ出したくなってしまうのか。

著者・田所氏の主張の骨子には、「企業が継続的にイノベーションを行うには、組織の構造変革が必要不可欠だ」という考えがある。組織が変わらなければ、問題の根本的な解決にはならない。ではどのような組織構造が必要なのか?

本書では組織の構造改革のために必要なことが、詳細に述べられている。一方で、現場レベルでは打つ手がないかというと、決してそうではない。現場からボトムアップで働きかける方法についても触れられており、これは本書における重要な指摘のひとつだ。

イノベーションの根本には、ビジョンや未来への構想など、個人の想いが不可欠である。ゼロから価値を創造するアイデアを生み出すには、持って生まれた才能が必要と思われがちだが、そうした能力をトレーニングで身につける方法も紹介されている。そもそもイノベーションに必要な人材は、アイデアマンタイプだけではない。「イノベーションは自分には関係ない」「自分にその能力はない」と思い込んでいる人にこそ役立つ内容になっている。

自社で新規事業を立ち上げたいと考えている人はもちろん、やりたいことがあるのに上から押さえつけられて実現できずにいる人、はたまた突然新規事業部に配属されて頭を抱えている人など、多くのビジネスパーソンに読んでもらいたい一冊だ。

ライター画像
池田明季哉

著者

田所雅之 (たどころ まさゆき)
1978年生まれ。大学を卒業後、外資系のコンサルティングファームに入社し、経営戦略コンサルティングなどに従事。独立後は、日本でスタートアップ3社、米国でECプラットフォームのスタートアップを起業し、シリコンバレーで活動。帰国後、米国シリコンバレーのベンチャーキャピタルのベンチャーパートナーを務めた。2017年、新たにスタートアップの支援会社を設立。その経験を生かして作成したスライド集『スタートアップサイエンス2017』は全世界で約5万シェアという大きな反響を呼び、スライドを基にした著書『起業の科学 スタートアップサイエンス』(日経BP社)がベストセラーとなっている。

本書の要点

  • 要点
    1
    企業でのイノベーションが失敗する原因は、組織構造にある。イノベーションを担う部門と既存の事業を担う部門は、はっきりと階層分けされなければならない。
  • 要点
    2
    著者の提案する「3階建て組織」では、1階を既存事業、2階をある程度市場が存在する分野での製品開発、3階をまったく新しい価値を創造するイノベーション部門に分けている。
  • 要点
    3
    従来の組織は、イノベーション部門を既存事業と同じ基準で評価し、人材を集めているから失敗している。それぞれの階層ごとに独自の評価基準と人材派遣を行えば、イノベーションを創出する組織へと変革できる。

要約

なぜイノベーションは失敗するのか?

イノベーションには組織改革が不可欠
AleksandarNakic/gettyimages

多くの日本企業では、「新規事業」を担当することに対して後ろ向きになる人が多い。しかし事業の失敗がそのまま「企業としての死」につながるスタートアップと違い、企業内でのイノベーションには、さまざまな安全弁が備わっている。資金面、人材面、技術面などでベンチャー企業にはないアドバンテージがあり、本来ならばもっと果敢にチャレンジが行われていいはずだ。なぜ新規事業には、ネガティブなイメージがつきまとっているのだろうか。

企業発イノベーションが継続的に創出できないのは、組織構造に問題があるからだ。これを解決するためには、イノベーションを行う事業部とコアビジネスを担う事業部を階層分けしなければならない。新規事業を既存事業と同じ軸で評価していては、新たなビジネスの芽が摘み取られてしまう。新規事業には、既存事業とはまったく異なる評価軸が必要なのだ。

一方で、組織の変化が必要ならば、現場レベルではできることはないと考えがちだが、決してそうではない。たしかに継続的イノベーションを行うには、組織変革が不可欠だ。しかしトップが変わることに加えて、現場からのボトムアップの働きかけも重要である。現場、マネージャー、経営陣が足並みをそろえ、「共通言語」を使っていかなければならない。

「イノベーション=技術革新」?

多くの日本企業では誤って認識されているが、「イノベーション=技術革新」ではない。イノベーションの本来の目的は、「ユーザーの生産性」や「ユーザーの生活の質」を劇的に向上させることである。かつては「技術を駆使した高機能なもの=いいもの」という図式が成立した。しかしデジタル化・クラウド化・モバイル化により、状況は大きく変化している。もはや技術力だけで勝ち続けることは不可能だ。ユーザーとの対話を継続的に行い、ユーザーの気づかない価値を提供する力が求められている。「未来を自らの手で創る」ことこそが、イノベーションに関わる仕事の本質だ。

イノベーションには2つの型がある。1つ目は「持続的イノベーション」だ。これは既存の製品やサービスの改善、改良を指す。既存の顧客の顕在化したニーズに対して、顕在化したビジネスモデルで、より効率的なプロダクトやサービスを提供することが目的だ。

2つ目は「破壊的イノベーション」である。これは既存のプレイヤーが築いてきた秩序を破壊し、市場そのものを再定義するもののことだ。この種のイノベーションは、従来のビジネスが見落としていた本質的な課題の発見や、従来のやり方を何十倍も超える効率性の提案から始まる。あらゆるビジネスやプロダクトは、この破壊的イノベーションから始まっている。破壊的イノベーションは、市場のルールそのものを変えてしまう。

多くの企業は「イノベーション」と言うとき、持続的イノベーションをイメージしている。しかしそれだけに捉われていてはいけない。

イノベーション実装には長期的ロードマップが必要

外部環境の変化を捉える
solarseven/gettyimages

イノベーションは「目的」ではなく、「手段」である。問題を抱えている現状があり、それを自分たちが思い描くビジョンに近い姿へ変えていく、そのための手段がイノベーションというわけだ。そもそもビジョンが思い描けていなければ、手段が目的化してしまう。

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