ワイルドサイドをほっつき歩け
ハマータウンのおっさんたち

未 読
ワイルドサイドをほっつき歩け
ジャンル
著者
ブレイディみかこ
出版社
定価
1,485円(税込)
出版日
2020年06月03日
評点
総合
4.0
明瞭性
4.0
革新性
4.5
応用性
3.5
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ハマータウンのおっさんたち
著者
ブレイディみかこ
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定価
1,485円(税込)
出版日
2020年06月03日
評点
総合
4.0
明瞭性
4.0
革新性
4.5
応用性
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おすすめポイント

2020年1月、3度の延期を経てついに英国がEUを離脱した。そもそも、なぜ英国はEU離脱を決めたのか。2016年の国民投票の結果には、グローバル化の恩恵を受けられない労働者層の投票が大きく影響しているという説は日本の報道でもたびたび取り上げられ、耳にしたことがある方も多いことだろう。しかし、実際はそう単純な問題ではないようだ。

『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』で話題をさらったブレイディみかこ氏は、少年たちを描いた前作とは対照的に、本書で英国の「おっさん」たちを描いている。私たちが日本で触れることのできる英国の労働者の情報は、英国内でのイメージと同じく、時代遅れ、排外的、右翼的な愛国者、EU離脱派……というのが典型的だろう。だが著者のエッセイを読むと、労働者たちは多様で、一括(くく)りにできるようなものではないということが実感できる。これは、英国に住み、現地の人たちと長く付き合ってきた著者でなければ描き出せないリアルであろう。

著者の視点からEU離脱にまつわる論争を見ていくと、問題を多面的に理解することができるようになるだろう。そして、遠くの問題を読み解く視点は、私たちの生きる日本で起きている問題を考えるにあたっても役立つはずだ。本書は、未曾有の事態が頻発している現代の日本で、広い視野で問題に対応する力を与えてくれる。今、ぜひ読んでいただきたい一冊だ。

ライター画像
池田友美

著者

ブレイディみかこ
ライター・コラムニスト。1965年福岡市生まれ。県立修猷館高校卒。音楽好きが高じてアルバイトと渡英を繰り返し、1996年から英国ブライトン在住。ロンドンの日系企業で数年間勤務したのち英国で保育士資格を取得、「最底辺保育所」で働きながらライター活動を開始。2017年、『子どもたちの階級闘争』(みすず書房)で第16回新潮ドキュメント賞受賞。2018年、同作で第2回大宅壮一メモリアル日本ノンフィクション大賞候補。2019年、『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』(新潮社)で第73回毎日出版文化賞特別賞受賞、第2回Yahoo!ニュース|本屋大賞 ノンフィクション本大賞受賞、第7回ブクログ大賞(エッセイ・ノンフィクション部門)受賞。
著書は他に、『花の命はノー・フューチャー DELUXE EDITION』(ちくま文庫)、『アナキズム・イン・ザ・UK』(Pヴァイン)、『ヨーロッパ・コーリング――地べたからのポリティカル・レポート』(岩波書店)、『THIS IS JAPAN――英国保育士が見た日本』(新潮文庫)、『いまモリッシーを聴くということ』(Pヴァイン)、『労働者階級の反乱――地べたから見た英国EU離脱』(光文社新書)、『ブレグジット狂騒曲――英国在住保育士が見た「EU離脱」』(弦書房)、『女たちのテロル』(岩波書店)などがある。

本書の要点

  • 要点
    1
    世界では「おっさん」が何かと悪役にされがちだが、英国でもその例に漏れず、労働者階級のおっさんたちが「けしからん」存在だとみなされている。彼らは一括りにされがちだが、さまざまなタイプがいることを忘れてはならない。
  • 要点
    2
    レイチェルの家庭では、ブレグジットをきっかけとして、離脱派のレイチェルと、離脱反対派の妻との間に亀裂が入った。
  • 要点
    3
    緊縮財政は貧困層の生活に直接的な影響を与えているとともに、世代間闘争の遠因となっている。

要約

責められがちな「おっさん」たち

おっさんだって生きている
RapidEye/gettyimages

トランプ大統領の誕生、EU離脱、セクハラやパワハラ、そして政治腐敗や既得権益の蔓延にいたるまで、「おっさん」たちはさまざまな問題において悪役にされ、責められてきた。特に英国では、労働者階級のおっさんたちは「けしからん」存在とみなされ、時代遅れで排外的で、EU嫌いの右翼的愛国者だとされている。

一方、労働者階級のおっさんたちと親交の深い著者は、一口におっさんと言っても、さまざまなタイプがいることを知っている。彼らは「おっさんたちは道を開けろ」と言われても、ワイルドサイドをよろよろとほっつき歩いている。彼らだって一介の人間なのだ。

文化社会学者であるポール・ウィリスの著作『ハマータウンの野郎ども――学校への反抗・労働への順応』(ちくま学芸文庫)では、英国の労働者階級の子どもたちが、反抗的で反権威的でありながら、自ら既存の社会階級の中にはまっていく様子が研究されている。本書では、『ハマータウンの野郎ども』から40年余りを経た現在、すっかりおっさんとなった当時の子どもたちと同世代である、現実の「野郎ども」に焦点を当てる。

EU離脱と家庭不和

「俺の人生だから、こんなもんだろう」

まず登場するのは、EU残留派と離脱派の対立の縮図を見せてくれる、著者の連合いの幼なじみであるレイだ。1956年にロンドンのイーストエンドで誕生したレイは、典型的な労働者階級の家庭で育ち、中学校卒業後、自動車修理工場で働いていた。30代で自分の修理工場を開くも倒産。その後、路上でトラブルを起こした車を修理するための派遣修理工として勤務することとなる。

ストレスが多い仕事のためか、レイはいつしか酒に溺れがちになり、肝臓を患う。医者からの忠告で断酒を決意するも、病院から出ると妻子が蒸発していた。

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