これからのテレワーク

新しい時代の働き方の教科書
未読
これからのテレワーク
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これからのテレワーク
出版社
自由国民社

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出版日
2020年05月27日
評点
総合
3.7
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
3.5
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おすすめポイント

このたびの新型コロナウイルスによる自粛要請を受けて、テレワーク(リモートワーク)の機会を増やした、あるいは新たに始めたという方も多いだろう。なかには、十分な準備や心構えもないままテレワークに移行したという方もいるかもしれない。

そろそろテレワークに慣れてきたと同時に課題も見えてきたという時期に当たるのではないだろうか。そんなタイミングにぴったりの本が登場した。あらためてテレワークのメリットとデメリットを整理し、自分たちの組織・チームのなかで、その位置づけを見直す際に格好の一冊だ。

1992年、著者が入社した外資系IT企業では、テレワークはすでに普通に実施されたという。以来独立するまで23年間、そうした環境で働き続けてきて実感するのは、「どこにいても、どんな方法でも、仕事ができる人はできる」ということだという。つまり、テレワークであろうとなかろうと、仕事の本質は変わらないのだ。

とはいえ、テレワークにはいくつかの心構えやスキルが必要なことも事実である。しかも、多くの仕事はチームで行うものなので、共通のルールを決めて、合意しておかなければならない。仕事の成果をアピールする仕方も工夫する必要がある。経営者やマネージャー層は特に、本書をガイドラインにして、自分たちに合ったテレワークのやり方を見つけていただきたいと思う。また、個々人が仕事の価値を高め、周囲に伝えていくためのヒントも多数得られるだろう。

ライター画像
しいたに

著者

片桐あい(かたぎり あい)
カスタマーズ・ファースト株式会社 代表取締役
人材育成コンサルタント 産業カウンセラー
日本オラクル株式会社(旧サン・マイクロシステムズ株式会社)サポート・サービス部門に23年勤務。M&Aやリストラで仕事上のポジションが危うい外資系IT業界で成果を出し続ける。卓越したコミュニケーション能力・問題解決能力を武器に2013年に独立し、企業研修講師となる。年間約120件登壇し約25000名の育成に従事。また、人財育成コンサルティングで延べ3400名のカウンセリングでの育成にも貢献している。
5年前から人材育成コンサルティングで関わっているIT企業では、5年間新卒17名は一人も離職者なし。3年前から人材コンサルティングで関わっているモバイルサービスの50席のコールセンターでも、アンマッチで退職したオペレーター以外は離職者なし。マネジャー育成と強い若手社員の育成に定評がある。

本書の要点

  • 要点
    1
    テレワークには次の3つの力が必要である。1つ目は「セルフマネジメント力」。すなわち、高いメンタリティを維持し、時間管理や目標管理ができる力である。
  • 要点
    2
    2つ目は「マルチコミュニケーション力」である。これは、多様な人に対して、適切なツールを選んで、報連相、プレゼンテーション、ファシリテーション、交渉などを円滑に行う力を意味する。
  • 要点
    3
    そして3つ目は、自分の仕事の成果を公正に、かつ的確にアピールできる力、「成果の見せる化力」である。

要約

テレワークのすすめ

テレワークのメリット

最初に実感できるメリットは、やはり通勤時間がゼロになることではないだろうか。特に首都圏で満員電車に揺られて通勤していた人にとっては、そのストレスから解放されるメリットは大きい。

また、休憩時間の使い方の幅が広がるのも大きなメリットだ。考えが行き詰まったときなど、家だからこそできるちょっとしたことを済ませて、気持ちを切り替え、仕事の効率を上げていける。逆に、仕事をし続けようと思えばできてしまうので、意識的に休憩をとることも必要である。

もちろん、ワークライフバランスを取るうえでもテレワークは効果的だ。育児や介護などの事情でフルに働けなくなったときなどでも、テレワークで仕事を続けられないか、できるかぎり検討してみるとよいだろう。

テレワークのデメリット
azatvaleev/gettyimages

最大のデメリットは、自宅には誘惑が多いということだ。途中まで観ていたテレビ番組、動画、趣味のもの。また、怠けたい気持ちや睡魔との戦いもある。人の目があるオフィスでは耐えられていた誘惑に、つい負けてしまうことがあるだろう。

人との関係におけるデメリットといえば、やはり情報交換がしにくいという点がある。逆にいうと、このデメリットを乗り越えて、離れている人ともうまく情報交換や情報共有ができる人材が、これからの時代に求められる人材といえるだろう。

また、人と話すことが極端に少なくなる場合、メンバーのメンタル不調に気づきにくくなることもあるので注意が必要だ。そのようなことがないように、自分自身のコンディションや他のメンバーの様子に意識を向けるようにしたい。

さらには、上司から見えないところで、自分はどう評価されているのだろうかと不安になることもあるだろう。テレワークには、仕事の成果を上手にアピールするテクニックも必要になってくる。

仕事の目的とゴールを確認する

テレワークでチームから離れて仕事をしていると、個々のゴールを達成することに目がいきがちになる。それにより、仕事の目的や理由が見えにくくなってしまう。同様に、一人で仕事をしていると、目の前の作業に目が行き、視野が狭くなって長期的な視点で物事を見られなくなる傾向がある。

こうした傾向を避けるために、チームでその仕事の目的(何のためにやるのか)とゴール(それが達成されるとどうなるのか、何が得られるのか、数値的なことも含め)を日ごろから話し合っておくことが大切である。そのうえで、自分がチームに対してどんな貢献ができるのかという「貢献ポイント」を明確にしておくのである。これはテレワークのマネジメントにおいても重要だ。

【必読ポイント!】 「セルフマネジメント力」を高めるポイント

モチベーションを高く保つ
pishit/gettyimages

セルフマネジメントはどんなビジネスパーソンにも求められるものだが、特にテレワークの環境下ではますます重要になってくる。

人は、やりたくない仕事を渋々していると、なかなか集中ができない。そんなときは、「この仕事をしないようにするには、どうしたらよいか?」といった課題として捉えるとよい。そうすると、気持ちが不快から快に切り替わり、改善意欲が上がる。

また、自分のありたい姿を常にもつことも、セルフマネジメントにつながる。将来の起業、やりたい仕事など、「個人としてやりたいこと」を具体的にイメージしてみよう。そして、それと現在の「組織としてやるべきこと」を重ね合わせ、重なりの大きい仕事にウェイトをかけていく。これにより、いまやるべきことと、今後のやりたいことをつなげていけるようになる。

セルフモニタリング

セルフマネジメントの基本は、自身の状態を客観的に観察することである。職場であれば、誰かが声をかけたり、気にかけてくれたりするかもしれない。だが、一人で仕事をしていると、それは難しい。

そこで、1時間に1度くらいは、身体の状態、心の状態、頭の状態を意識的にモニタリングすることを著者はおすすめする。身体でいえば、同じ姿勢ばかりとっていないか、運動不足になっていないか。心でいえば、気持ちが乗っているかどうか、仕事に追い込まれていないか。頭でいえば、考えが凝り固まっていないかという点だ。

バランスが崩れているところを見つけたら、いったんパソコンから離れて自分をリセットする時間を持つとよい。

仕事のルーティーンを持つ

仕事のオンとオフの切り替えや、集中が必要なときなど、節々で「仕事のルーティーン(習慣的な動作や手続き)」を持つことも、セルフマネジメントに有効である。

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要約公開日 2020.06.13
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