見抜く経済学

未 読
見抜く経済学
ジャンル
著者
渡邉哲也
出版社
かんき出版
定価
1,620円
出版日
2014年02月17日
評点
総合
4.2
明瞭性
4.5
革新性
4.0
応用性
4.0
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見抜く経済学
見抜く経済学
著者
渡邉哲也
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出版社
かんき出版
定価
1,620円
出版日
2014年02月17日
評点
総合
4.2
明瞭性
4.5
革新性
4.0
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レビュー

「日本は、世界トップクラスの豊かな国である」「日本人として生まれてきただけで、大きなアドバンテージを手にしている」「もの作りをはじめとする国内産業を大切に育て、日本を強くしよう」。著者の主張は実に明快、そしてポジティブである。

バブル崩壊後の「失われた20年」の間、日本経済は長引く不況に苦しんできた。2011年には、GDP(国内総生産)の世界ランキングで第2位から3位に降格し、メディアは日本の先行きについて暗い見通しを繰り返し伝えている。そんななか本書は、国の経済に対して諦めのような気持ちを抱いている多くの日本人に対して、「自国肯定感」とでもいうべきものに支えられた希望のシナリオを示してくれる。

富と成功を手に入れるためには、まず、「日本経済は大きな可能性を秘めている」と周囲の世界をポジティブに見ること。その上で、メディアが伝えることのない、生きた経済の情報を手に入れれば、より多くのお金を稼ぐことができる。そのための方法論を、著者は経済の基礎知識を持たない人にもわかりやすい文章で丁寧に解説している。

2008年のリーマン・ショックを契機に、世界経済は大きな変革の時期を迎えようとしている。日本経済もまた、アベノミクスにより明るい兆しが見え始めている。そんな時代だからこそ、真に役立つ経済の知識を身につけることに意味がある。これから社会に出ようとする若者や、経済に苦手意識を持つ人にとっても、大いに役立つ一冊となるだろう。

髙橋 三保子

著者

渡邉 哲也
作家・経済評論家。1969年生まれ。日本大学法学部経営法学科卒。貿易会社に勤務した後、独立。複数の企業運営などに携わる。仕事上、海外の経済情勢に精通。ネット上の大手掲示板での欧米経済、韓国経済などについての評論が話題となり、2009年、『本当にヤバイ! 欧州経済』(彩図社)を出版、欧州危機を警告しベストセラーになる。内外の経済・政治状況のリサーチと解析に定評があり、さまざまな政策立案の支援から、雑誌の企画・監修まで幅広い活動を行っている。著書に『これからすごいことになる日本経済』『この残酷な世界で日本経済だけがなぜ復活できるのか』(以上、徳間書店)、『完全にヤバイ! 韓国経済』(共著、彩図社)、『大恐慌情報の虚と実』(共著、ビジネス社)などがある。

本書の要点

  • 要点
    1
    将来社会の富となりそうな「種もみ(=次の時代のニーズを捉えたビジネスチャンス)」を見つけ、それを大切に育てることで、社会にとって最も大切な富の一部である「人財」になることができる。
  • 要点
    2
    お金を儲けるには、メディアが流す情報を鵜呑みにするのでなく、少しの手間をかけて、自分で「生きた経済」の情報を集めることが必要である。
  • 要点
    3
    「種もみ」を育て、個人として豊かさを享受できたら、優良な企業を「株式投資」という形で支援するのが、個人の最終的なゴールである。

要約

日本経済の真実

teptong/iStock/Thinkstock
お金は「富」を評価する物差し

日本人は歴史的に、稲作をすることで生計を立ててきた。「種もみ」をまいて苗を育て、その苗を田に植えて、稲を実らせる。翌年は、より多くの種もみを確保して、次の季節はもっとたくさんの稲を育てる。毎年、種もみを増やしていき、自分の食べる分以上に収穫できるようになったとき、お金という儲けに換えることができる。これが、「富」を築く活動における根本原理である。

富とは、お金のことではない。富とは、人びとの生活を豊かにする資源や物資のことである。稲作の例で説明すると、収穫されたお米、栄養を含んだ水資源、稲を実らせる田んぼ、用水路などの灌漑施設などが富だといえる。さらに、収穫したお米を運搬するトラックや鉄道、それぞれの場所で働く人や農具、稲作のための決まりごとや仕組みなどのシステムもすべて富にあたる。お金は、富を評価する物差しなのだ。

国が富むこと=インフラを整備すること

経済やビジネスの世界では、こうした富が「インフラ」と呼ばれる。国家経済におけるインフラの代表的なものは、水道や電気、ガスなどのライフラインである。国のインフラを分厚くすることが、国を富ませることにつながる。

たとえば戦前の日本は、統治下にあった台湾のインフラ開発と整備に、熱心に取り組んでいた。このことによって台湾は工業化し、住民の生活水準は向上した。戦後、日本の統治を離れた台湾は、日本が作ったインフラを大きな支えとして、工業国として目覚ましい発展を遂げたのである。

国にインフラという富が増えれば、そこの経済を流れるお金の量は増える。ということで、個人がお金を儲けるためにはインフラ作りに従事することが必要だ。

現代の日本における新しいインフラといえば、スマートフォンやインターネット上の総合ショッピングサイト、自然エネルギーによる発電システムなどである。

新しく生まれるインフラから、将来社会の富となりそうな種もみ(=次の時代のニーズを捉えたビジネスチャンス)を見つけよう。それを大切に育てることで、自分自身も経験とスキルを増やせて、社会にとって最も大切な「富」の一部である「人財」になることができる。

日本は世界トップクラスの経済大国

日本の一人ひとりの豊かさを見る指標である「1人あたりGDP」は、2012年のIМFデータで12位。

しかし、日本より上位にいる国は、第10位のアメリカを除き、日本の数十分の一から数百分の一程度の人口しかない小国である。日本には、1億2700万人もの巨大市場が存在していることを忘れてはいけない。さらに米国ほど貧富の差が激しくなく、分厚い中流層が社会の中心を占めている。つまり日本人は、世界で最も富める国民と言えるのだ。

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