危険人物をリーダーに選ばないためにできること
ナルシストとソシオパスの見分け方

未 読
危険人物をリーダーに選ばないためにできること
ジャンル
著者
ビル・エディ 宮崎朔(訳)
出版社
プレジデント社 出版社ページへ
定価
2,200円(税込)
出版日
2020年06月29日
評点
総合
4.0
明瞭性
4.0
革新性
4.0
応用性
4.0
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ナルシストとソシオパスの見分け方
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ビル・エディ 宮崎朔(訳)
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2,200円(税込)
出版日
2020年06月29日
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明瞭性
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革新性
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応用性
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おすすめポイント

香港では国家安全法が成立して、民主活動家たちが次々と逮捕された。ロシアでは、プーチン大統領の任期を2036年まで延長可能とする憲法改正案が承認された。コロナに便乗して “ 独裁者” たちが勢いを増していると感じるのは、私だけではないはずだ。

本書を読むと、「危機」は権力を集めるための必須ステップであることがわかる。時にかれらは危機をわざと作り出し、敵を定め、自分こそ民衆を救うヒーローであるというストーリーを仕立て上げる。それを繰り返しメディアで流し、人々の脳裏に刷り込んで支配していく。この手口で上り詰めた政治家の一人にアドルフ・ヒトラーがいるが、2020年のアメリカ大統領選で再選を目指すドナルド・トランプ氏もその一人かもしれない。本書では、2016年の大統領選で彼がどのようにふるまい、周囲がどう反応しているかもつぶさに分析している。

このような支配者たちは、一見魅力的でカリスマ性を持つが、権力の座につくと非常に危険な人物だ。本書は、心理学的な見地を援用しながらかれらの特性や言動パターンを読み解き、対処の仕方までを伝授するトリセツのような一冊である。

なお、ナルシストやソシオパスの特性を持つ人は世界中に一定数存在するが、そのすべてが危険な支配者になるわけではないことを付け加えておく。本要約では「危険な政治家」について言及している箇所にポイントを絞った。

コロナという大きな危機は、危険人物がのし上がる土壌となっている。うっかりかれらに旗を持たせることのないよう、すべての人にお読みいただきたい。

ライター画像
矢羽野晶子

著者

ビル・エディ Bill Eddy
個人や組織が「対立屋」に対処することを支援する会社、High Conflict Instituteの共同創立者兼トレーニングディレクター。アメリカ、サンディエゴにある国立紛争解決センター(National Conflict Resolution Center)シニアファミリーメディエーター。弁護士、臨床ソーシャルワーカーの資格を持ち、現在、ペパーダイン大学ロースクールのストラウス紛争解決研究所(Straus Institute)およびモナーシュ大学法科大学院の非常勤講師を務める。200万人以上の読者を持つPsychology Todayのウェブサイトに連載を持つ。本書を含めて14冊(共著含む)の著書がある。
www.HighConflictInstitute.com
www.NewWays4Families.com

本書の要点

  • 要点
    1
    対立を煽る政治家(対立屋)は、ナルシストやソシオパスといった特性を抱えていることが多い。かれらは人々の感情を刺激して対立を起こし、コミュニティを分断し、権力を自分のものにする。
  • 要点
    2
    対立屋は、架空の危機を作り出し、敵を特定し、それを救えるのは自分だけだと説く。
  • 要点
    3
    対立屋に対抗するには、事実に基づいた情報を、対立屋が行うのと同じ程度の情熱を持って堂々と主張することだ。

要約

【必読ポイント!】 支配したがる政治家たち

対立を煽るパーソナリティ
YuraDobro/gettyimages

大抵の人はふだん、揉め事に巻き込まれるとそれを解決しようとする。しかし「対立を煽るパーソナリティ」の持ち主(対立屋)は、その逆をする。あらゆる関係は本質的に敵対的なものだと考える。かれらは次から次へと不要な対立を生み、それを解消することには興味が無い。強烈な衝動に従って、自分が敵とみなした相手をコントロール、排除、破滅させようとする。

対立屋は、「敵」を執拗に非難し、何にでも白黒つけたがる。そして攻撃的な感情を抑制できず、極端に否定的な態度をとる。それゆえ、人づきあいに問題を抱え、対立の原因がたとえ自分にあったとしても反省せず、自分を変えようとしない。

対立屋はどこにでもいるが、特に政治の世界に多く見られる。対立屋は「権力」を持ち、それを行使することに強く惹きつけられる。そして常に「支配」したがり、強者であるためには手段を選ばない。「感情を煽るメディア」を使って、自身を「架空のヒーロー」に仕立て上げることもお手の物である。

ナルシストとソシオパス

対立屋には、ナルシストやソシオパスの特性がある程度備わっていると考えている。

ナルシスト的(自己愛性)特性の持ち主は、自分のことで頭がいっぱいである。特別扱いされる資格があると思い、壮大な構想を持って、無限の成功・権力を夢見る。そのため、しばしばかれらは政治に関心を持つ。政治的な争いは、自分が人より優れていることを見せる機会となるからだ。

ナルシストは、一見とても説得力のある、魅力的な人物に見えることがある。しかし、自分の構想や能力を無自覚に誇張しようとするため、自分自身を含め、多くの人を騙す傾向がある。たとえばナルシストが社長になると自身の手腕を過剰評価するため、会社の業績が不安定になることは、複数の研究結果からわかっている。

一方ソシオパスは、支配欲が高く、嘘や言いくるめが言動に多くて、強い攻撃性をもち、良心の呵責が欠如している、という特徴がある。ソシオパスの対立屋は、ビジネス、組織のリーダーなど他人を支配できる立場に引き寄せられる。リスクの高い行為を楽しむところがあり、「公金が横領できるから」という理由で政治に惹きつけられる人もいる。

悪性のナルシスト
Olivier Le Moal/gettyimages

これらの両方を備えている人を「悪性のナルシスト」と呼ぶ。悪性のナルシストは、壮大な計画を推進している時には非常に魅力的なカリスマに見えることがある。一方で無慈悲で情け容赦なく、良心に欠けている。専門家によると、かれらは強い破壊衝動を持ち、非難の標的、そして最終的には自分自身をも破滅させようとする。

この診断を最初にしたのは、ドイツの精神科医エーリッヒ・フロムである。フロムは悪性のナルシストについて、次のように説明している。「悪性のナルシストの障害を持つ人物は、生涯狂気が増していく傾向にある。神になろうとすればするほど人間離れしていき、その孤独がさらに恐れを生み、誰もが自分の敵となる」

多くの人は対立屋の行動にうろたえるが、練習していけばかれらの言動パターンを簡単に見つけられるようになる。対立屋は自分の言動を変えないため、普通の人よりも「予測しやすい」のである。

人の感情を操る対立屋

対立を煽る感情戦

対立屋は、家庭、職場、政党、国家、同盟国など同じチームにいる人々とさえ敵対する。これらの人たちを「非難の標的」と設定して繰り返し批判し、ひどい場合は暴行を加えることもある。これらの行為は感情をもとに行われ、標的となった人や周囲の人からも強い感情を引き出す。この「対立を煽る感情戦」は、次の4つのステップで進んでいく。

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