雑談は難しい。普通の会話とはまったく違い、「微妙な間柄の人と、適当に話をしながら、なんとなく仲良くなる」という、とても繊細な会話の方式だからだ。それを知らずになんとかしようとするから、話が弾まないし、疲れてしまう。雑談には、「雑談に適した話し方」が必要なのである。
本書では、「超雑談力 基本の7ルール」として、「雑談の目的」「雑談の中身」「雑談のきっかけ」「話の聞き方」「効果的なリアクション」「沈黙の対処法」「雑談の切り上げ方」に関する7つのルールが紹介されている。要約では、そのうち3つを紹介する。
まず、「雑談の目的」についてだ。雑談の目的は、おもしろい話をすることではなく、ただ会話のラリーを続けることである。より具体的に言えば、会話を通じてお互いの警戒心を解き、スムーズで円滑な関係にシフトするのが目的だ。だから、内容はどうでもいいし、おもしろくなくてもいい。ただ和やかに会話が続きさえすればいいのだ。
雑談のきっかけとして、「今朝、ニュースで見たんですけど」「最近○○が流行ってるらしいですね」など、その日のニュースや時事ネタを使うことがある。だがこれは、雑談力を向上させるという観点では、意外とよくない。会話が上滑りしてしまい、自分の気持ちを話しにくいからだ。
では、どういう話題を選べばいいのか。正解は、「自分自身のエピソードや体験談を話す」だ。「今回の台風はひどかったらしいですね。全国各地で被害が出ていると聞きました」ではなく、「今回の台風、ゴーゴーと風がすごくて。夜、寝られなかったんですよ」「頑丈だと信じてたマンションなんですけど、今回ばかりはヒヤヒヤとしました」と、自分の感情を交えて話してみよう。「ゴーゴーと」「ヒヤヒヤ」など、擬音(オノマトペ)を使うのも効果的だ。
自分の感情を話すと言っても、派手なエピソードを用意する必要はないし、笑えるネタでなくてもいい。ごくごく普通の話でいいので、「体験したこと」と「感じた気持ち」をセットで話すようにしよう。きっと、相手との距離が近づくはずだ。
会話が続かず、シーンとしてしまったらどうすればいいか。慌てて他の話題を持ち出すのはやめておこう。まったく気持ちをやり取りできないからだ。
お互い沈黙してしまったら、まず、会話のペースを落とす。多少の沈黙を恐れず、ゆっくりと、トーンを抑えて低い声で話すようにしよう。
そうした上で、自分の話をする。話が盛り上がらないのは、ニュースや時事ネタなど、自分たちには関係のない話ばかりしているからだ。自分たちにとって「近い話題」なら、話は途切れないものだ。「実は昨日、うちで飼ってる犬が、体調を崩しまして」でもいいから、自分が体験した出来事を話してみよう。
初めて相手の名前を聞いたときは、話を広げるチャンスだ。ありがちだが、そこで同じ名前の知人の話を始めてしまってはならない。
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