たちどまって考える

未 読
たちどまって考える
ジャンル
著者
ヤマザキマリ
出版社
中央公論新社 出版社ページへ
定価
924円(税込)
出版日
2020年09月10日
評点
総合
3.5
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
3.0
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出版日
2020年09月10日
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レビュー

本書の著者ヤマザキマリ氏は、映画化した『テルマエ・ロマエ』をはじめ、数々の作品や執筆活動で知られる漫画家である。普段は日本と夫の実家があるイタリアを往復する生活を送っているが、新型コロナウイルスのパンデミックにより、2020年の2月からイタリアに渡る途が閉ざされ、やむなく家族と離れて東京で暮らすことになった。おそらくこの生活は、パンデミックの終焉が宣言されるまで続くことになるという。

そうした暮らしのなか、著者は「今たちどまることが、実は私たちには必要だったのかもしれない」という想いにたどり着いた。この先世界は、そして日本はどう変わるのだろうか? ペストからルネサンスが開花したように、また新しい何かが生まれるかもしれない。混とんとする毎日のなか、それでも力強く生きていくために必要なものとは何だろうか?

本書は、著者がたちどまったときに見えてきた景色を記したものだ。著者の立ち位置から、自ずと日本とイタリアの比較が強調されるが、決して両国の優越を論じているわけではない。

本書の最も大きなテーマは民主主義だ。「単に欧米に倣うのではなく、日本という風土にあった民主主義のあり方を考えてみてはどうか」という著者の提案について、今一度各自がたちどまって考えてみてはどうだろうか。

しいたに

著者

ヤマザキマリ
1967年東京生まれ。漫画家・文筆家。東京造形大学客員教授。84年にイタリアに渡り、フィレンツェの国立アカデミア美術学院で美術史・油絵を専攻。2010年『テルマエ・ロマエ』(エンターブレイン)で第3回マンガ大賞受賞、第14回手塚治虫文化賞短編賞受賞。15年度芸術選奨文部科学大臣新人賞受賞。17年イタリア共和国星勲章受章。著書に『スティーブ・ジョブズ』(講談社、ウォルター・アイザックソン原作)、『プリニウス』(新潮社、とり・みきと共著)、『オリンピア・キュクロス』(集英社)、『国境のない生き方』(小学館新書)、『パスタぎらい』(新潮新書)、『ヴィオラ母さん』(文藝春秋)など。

本書の要点

  • 要点
    1
    同じ民主主義であっても、古代ローマから系譜をつないできたイタリアと、およそ150年前に取り入れた日本で、そのあり方が異なってくることは当然である。
  • 要点
    2
    そうした民主主義の違いに基づく政治的なアプローチの違いが、今回のパンデミックへの対応によって浮き彫りになった。
  • 要点
    3
    いち早くロックダウンという強硬手段をとったイタリアに対して、日本は世間体や空気によるプレッシャーを利用したのが特徴的であった。
  • 要点
    4
    文化的な背景に基づき、日本における民主主義のあり方を、あらためて見つめ直してもいいのではないか。

要約

イタリアの感染事情

中国からイタリアへ

中国に続いて感染爆発が起きたイタリアでは、3月10日に全土でロックダウン(都市封鎖)が施行された。それによって新規感染者の数は抑えられ、6月3日に国内の移動制限が解除されたが、7月半ばの時点で累計感染者数は24万人を越えた。死者数はアメリカ、ブラジル、イギリス、メキシコに続く世界5位になった。

なぜ中国からイタリアに飛び火したのか。意外に思った人もいるかもしれないが、すでに1980年代から中国資本はイタリアに進出しており、今だと中国なくしてはイタリア経済が成り立たないほどだ。とくにミラノなどが位置する北イタリアと中国の都市はビジネスの結びつきが強く、人の往来も頻繁である。

なぜマスクを嫌うのか
divampo/gettyimages

イタリアでの感染爆発のニュースに、「イタリア人は何かとルーズだから、感染症についてもそうなのではないか」と思った人もいるかもしれない。だが事実はまったくの逆である。

彼らは感染症を含む病気に対して、神経質な一面をもっている。17世紀の黒死病(ペスト)や20世紀初頭のスペイン風邪のことが、民族的記憶として強く残っているのかもしれない。

彼らの感染症と闘う戦略は、体内に「抗体」を持つことである。体の内側から病気をブロックさえすれば、マスクのような表層的な対処は必要ないと考えている。たとえ感染しても、それで抗体ができるなら必ずしも悪いことではない。ウイルスと共生できる人が生き延びていくのであり、極論を言えばウイルスによる淘汰を受け入れるという発想がそこにはある。

日本の感染への疑念

著者はイタリアの家族(夫、舅、姑、小姑)と毎日のように電話で話しているが、日本の感染者の少なさに疑念を持たれているという。とくに日本で何度か満員電車に乗ったことのある夫は、「あんな過密な状態が放置されているのに、ウイルスが蔓延しないはずがない」と主張する。それに対して著者はこう返している。

「よく考えてごらん。あなたが乗った電車って、誰かしゃべってた?」

「いいや。よくあんなところで黙っていられるなと思った」

「だから、そこなんだよ。しゃべらないのよ。むやみに口を開けないし、ベタベタと誰かに接触もしないのよ」

人の距離が近いイタリア
DisobeyArt/gettyimages

イタリア人たちは、恋人や夫婦に限らず、誰ともくっつきたがる性質がある。家族や隣人、友人とも頻繁に抱擁を交わし、頬にキスもする。今度の新型コロナウイルスにおいては、こうした人との接触や会話が多いところが、不利に働いたのではないだろうか。

イタリアだと、親子であればたとえ別々に暮らしていても、ほぼ毎日と言っていいほど電話でおしゃべりするし、週に一度は親族で集まってご飯を食べる。そんな家族のつながりが強いイタリア人からすれば、日本で横行している「オレオレ詐欺」のような手口はありえない。

ひるがえって日本の感染率が他国と比べて抑えられているのは、人との接触が少ないことや、家族でも不必要にベタベタしないといった常日頃の生活習慣が、少なからず関係しているのかもしれない。

【必読ポイント!】 日本の民主主義のあり方

美術に現れた疫病

感染症に対する認識の違いは、著者の専門分野である美術でも著しい。14世紀半ばにも欧州で猛威を振るい、何千万もの犠牲者を出したペスト。このときは、当時のヨーロッパの人口の3分の1から3分の2が亡くなったとされている。

それを描いたのが「死の舞踏」だ。ペストが骸骨の姿をした死神として表現され、天罰として地上に降りてきて人々を懲らしめるという、まさに地獄絵図のような絵画である。ここから読み解けるのは、「神の教えに忠実に生きない人間は、疫病という『悪』に襲われかねない」という教訓めいたメッセージだ。

一方で日本の昔の絵の場合、あくまで人間と共生する妖怪として疫病を描いているものが多い

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