著者は、世界最先端11社が社会のメガトレンドを生み出し、レビューの冒頭で示したような未来が5年後に到来すると予想している。本書の狙いは、11社の動向の分析により、今後のメガトレンドを予想し、5年後の未来を生き抜く処方箋を提示することだ。
Google、Amazon、Facebook、Apple、Microsoft、Netflix、テスラ、インポッシブル・フーズ、ロビンフッド、クラウドストライク、ショッピファイ。これらが著者の考える世界最先端11社だ。最初に挙げた4社はGAFAと呼ばれ、広く認知されている。しかし、著者はGAFAだけ見ているのは日本人だけだと指摘し、GAFA界隈のベンチャーの動きにも注目すべきだと説く。本要約ではテスラ、インポッシブル・フーズ、ロビンフッド、クラウドストライク、ショッピファイの5社に絞り、それぞれの手掛ける事業から各社の思惑を紹介する。
テスラのトップ、イーロン・マスク氏は業界を超えた事業を手掛ける偉才だ。そんなマスク氏の次なる構想を2つ紹介したい。
まずは「ハイパーループ構想」だ。これは時速1000kmもの速度を可能にするリニアモーターカー構想である。従来のトンネルとは違って、真空チューブのような構造を用いて空気抵抗を減らし、従来の2倍ものハイスピードを実現する。
もう1つは「ボーリングカンパニー」だ。出発地と目的地に、地下に通ずる穴を掘る。そして、その穴同士を一車両が通れるトンネルでつないでしまうという。ここにテスラ車両の自動運転を組み合わせることで、利用者は渋滞に巻き込まれることなく短時間で移動ができるようになる。2つの事業は従来の鉄道や航空機業界を飲み込む大きな脅威となるだろう。
同社が手掛けるのは、大豆を原材料とし、本物の牛肉のような食感を楽しめる代替肉の製造だ。ベジタリアンが肉を食べない最大の理由は、動物の殺傷に抵抗があるためだ。そうした人を中心に話題を呼んでいる。
また、牛肉に比べて製造コストが低く、畜産時に生じるメタンガスが発生しないなど、環境に優しいエコな商品であることも人気の秘訣といえる。今後の動向として、牛肉以外の代替肉への展開も注目されている。
「フィンテック界きってのユニコーン企業」との呼び声の高いロビンフッドは、証券業界初の「売買手数料ゼロ」を打ち出した。このことは投資経験のない若い人たちの市場参入を促している。
特に優れているのはUI(ユーザーインターフェース)だ。スマートフォン上で全ての手続きとトレードの決済が完了する。同業他社の提供するアプリとは使い勝手において雲泥の差がある。この手軽さがゲーム感覚で投資できるという新たな価値を生み出した。ロビンフッドの事業は、手数料で稼ぐ従来のビジネスモデルを破壊する革新的な事業である。
アンチウィルスソフトの常識を破壊するアイデアで注目を浴びているのが、クラウドストライクだ。
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