2025年を制覇する破壊的企業

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出版社
SBクリエイティブ

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出版日
2020年11月15日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.0
革新性
4.0
応用性
3.5
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おすすめポイント

2025年12月、あるアフターコロナの日常の一コマだ。42歳の翔さん(仮名)は頭にゴーグルに似たデバイスを装着し、目の前のモニターに向かって話している。バーチャルイメージとして空間に投影された会社のメンバーと、新商品について打合せをしているのだ。グッズが原寸大で立体的に映し出され、その横にはプロモーション動画も流れている。使用するデバイスはMicrosoftのホロレンズという製品で、会議ソフトはZoomを買収したグーグルによるGoogle Zoomだ。翔さんは別の場所に移動するため、迎車アプリでタクシーを呼んだ。数分後「ロボタクシー」と書かれた自動運転のモビリティが到着。ハンドルはなくドライバーもいない。開発したのはテスラで、街の利便性の高い場所に充電ステーションも手掛けている――。

いかがだっただろうか。上記は著者が予想する2025年の未来予想図の一部である。

本書は、元グーグル、ベンチャー投資家など数多くの肩書を持つ著者が、世界最先端11社の動向を詳細に分析し、今後5年で起こるメガトレンドを予測したものだ。第1部では11社の思惑とメガトレンドの考察が、そして第2部では5年後を生き抜くための対処法が紹介されている。この流れからは誰も逃れられず、予測を間違えた企業は淘汰されかねない、と著者は警鐘を鳴らす。今後世界のメガトレンドを知りたいという方には一読をおすすめしたい。自社や自身の生き残り戦略を考えるうえで欠かせない一冊だ。

著者

山本康正(やまもと やすまさ)
1981年、大阪府生まれ。東京大学で修士号取得後、米ニューヨークの金融機関に就職。ハーバード大学大学院で理学修士号を取得。修士課程修了後グーグルに入社し、フィンテックや人工知能(AI)ほかで日本企業のデジタル活用を推進。日米のリーダー間にネットワークを構築するプログラム 「US Japan Leadership program」フェローなどを経て、2018年よりDNX Ventures インダストリーパートナー。自身がベンチャーキャピタリストでありながら、シリコンバレーのベンチャーキャピタルへのアドバイスなども行う。ハーバード大学客員研究員、京都大学大学院総合生存学館特任准教授も務める。著書に『次のテクノロジーで世界はどう変わるのか』(講談社)、『シリコンバレーのVC=ベンチャーキャピタリストは何を見ているのか』(東洋経済新報社)がある。

本書の要点

  • 要点
    1
    世界最先端11社の思惑を知ることで、5年後の未来のメガトレンドを予測することができる。
  • 要点
    2
    11社が生み出すメガトレンドとは、「業種の壁崩壊とコングロマリット化の再来」、「ハードでもソフトでもなく体験が軸になる」、そして「データを制するものが未来を制す」の3つだ。
  • 要点
    3
    2025年の未来を生き抜くには、英語、ファイナンス、データサイエンス、プログラミング、ビジネスモデルが読める、の5つのスキルが必要だ。

要約

世界最先端11社の思惑

5年後の未来はこの11社が決定づける
Eoneren/gettyimages

著者は、世界最先端11社が社会のメガトレンドを生み出し、レビューの冒頭で示したような未来が5年後に到来すると予想している。本書の狙いは、11社の動向の分析により、今後のメガトレンドを予想し、5年後の未来を生き抜く処方箋を提示することだ。

Google、Amazon、Facebook、Apple、Microsoft、Netflix、テスラ、インポッシブル・フーズ、ロビンフッド、クラウドストライク、ショッピファイ。これらが著者の考える世界最先端11社だ。最初に挙げた4社はGAFAと呼ばれ、広く認知されている。しかし、著者はGAFAだけ見ているのは日本人だけだと指摘し、GAFA界隈のベンチャーの動きにも注目すべきだと説く。本要約ではテスラ、インポッシブル・フーズ、ロビンフッド、クラウドストライク、ショッピファイの5社に絞り、それぞれの手掛ける事業から各社の思惑を紹介する。

テスラの構想

テスラのトップ、イーロン・マスク氏は業界を超えた事業を手掛ける偉才だ。そんなマスク氏の次なる構想を2つ紹介したい。

まずは「ハイパーループ構想」だ。これは時速1000kmもの速度を可能にするリニアモーターカー構想である。従来のトンネルとは違って、真空チューブのような構造を用いて空気抵抗を減らし、従来の2倍ものハイスピードを実現する。

もう1つは「ボーリングカンパニー」だ。出発地と目的地に、地下に通ずる穴を掘る。そして、その穴同士を一車両が通れるトンネルでつないでしまうという。ここにテスラ車両の自動運転を組み合わせることで、利用者は渋滞に巻き込まれることなく短時間で移動ができるようになる。2つの事業は従来の鉄道や航空機業界を飲み込む大きな脅威となるだろう。

インポッシブル・フーズ

同社が手掛けるのは、大豆を原材料とし、本物の牛肉のような食感を楽しめる代替肉の製造だ。ベジタリアンが肉を食べない最大の理由は、動物の殺傷に抵抗があるためだ。そうした人を中心に話題を呼んでいる。

また、牛肉に比べて製造コストが低く、畜産時に生じるメタンガスが発生しないなど、環境に優しいエコな商品であることも人気の秘訣といえる。今後の動向として、牛肉以外の代替肉への展開も注目されている。

ロビンフッド

「フィンテック界きってのユニコーン企業」との呼び声の高いロビンフッドは、証券業界初の「売買手数料ゼロ」を打ち出した。このことは投資経験のない若い人たちの市場参入を促している。

特に優れているのはUI(ユーザーインターフェース)だ。スマートフォン上で全ての手続きとトレードの決済が完了する。同業他社の提供するアプリとは使い勝手において雲泥の差がある。この手軽さがゲーム感覚で投資できるという新たな価値を生み出した。ロビンフッドの事業は、手数料で稼ぐ従来のビジネスモデルを破壊する革新的な事業である。

クラウドストライク
Sitthiphong/gettyimages

アンチウィルスソフトの常識を破壊するアイデアで注目を浴びているのが、クラウドストライクだ。

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要約公開日 2021.01.21
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