2030年

すべてが「加速」する世界に備えよ
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おすすめポイント

1990年から2000年までの10年と、2010年から2020年までの10年では、変化の感覚が違う。後者の変化のほうが大きく感じられるはずだ。その理由を、本書は「変化」が「加速」しているからだと指摘する。では2020年から2030年までの10年ではどれほどの「加速」が起きるのだろうか。

進化するテクノロジー同士が融合する「コンバージェンス」により、テクノロジーは加速度的に進歩しているのだという。コンバージェンスは破壊的なイノベーションをもたらし、社会を大きく変えていく。たとえば、スマートフォンの登場はごく最近のことだが、私たちの生活を一変させてしまった。カメラや地図、電話、メモ帳、ゲーム機など、多くの機能が標準装備となり、多くのものが必要なくなってしまった。破壊的なイノベーションは市場そのものを破壊する影響力を持つ。今後も、私たちは次々とコンバージェンスから大きな影響を受け続けることになるだろう。

本書では最新のテクノロジーにより、実際に実現されている驚きの技術が多数紹介されている。「サイエンス・フィクションはサイエンス・ファクトになった」というフレーズが印象的だ。読んでいると、「技術の進歩はここまで来ているのか」と驚くことになるだろう。

キーワードは「加速」と「変化」、そして「適応」だ。未来を生き抜くには加速する世界の変化を見逃さず、それにスピード感を持って適応していかなければならないと著者らは主張する。つまり、コンバージェンスの時代を生き抜くのに重要なのは、常に学び続け、情報をアップグレードすることなのだ。まずは手始めに、本書を読むことからスタートしてみてはいかがだろうか。

ライター画像
池田明季哉

著者

ピーター・ディアマンディス
Xプライズ財団CEO。シンギュラリティ大学創設者。連続起業家としては長寿、宇宙、ベンチャーキャピタルおよびテクノロジー分野で22のスタートアップを設立。2008年、グーグル、3Dシステムズ、NASAの後援を得て、シリコンバレーにシンギュラリティ大学を創立し、エグゼクティブ・チェアマンに就任。
MITで分子生物学と航空工学の学位を、ハーバード・メディカルスクールで医学の学位を取得。2014年にはフォーチュン誌「世界の偉大なリーダー50人」に選出され、そのビジョンはイーロン・マスク、ビル・クリントン元大統領、エリック・シュミット前Google CEOなどから絶賛されるなど、シリコンバレーのみならず現代アメリカを代表するビジョナリーの1人である。

スティーブン・コトラー
ジャーナリストにして起業家。身体パフォーマンスの研究機関フロー・リサーチ・コレクティブのエグゼクティブ・ディレクター。ディアマンディスとの共著に『楽観主義者の未来予測』(早川書房)『BOLD』(日経BP)がある。ジャーナリストとして手がけた作品は、2度にわたりピュリッツァー賞候補に上っている。

本書の要点

  • 要点
    1
    テクノロジー同士の融合をコンバージェンス(融合)と呼ぶ。進化するテクノロジー同士が合わさることで、「加速」はさらなる「加速」をもたらし、破壊的な変化を生む。これからの人類に必要なのは、加速度的な変化に機敏に適応する力である。
  • 要点
    2
    テクノロジーの進化は多くの問題を引き起こす。しかし、それを解決しうるのもまたテクノロジーであり、実際に貧困者数や乳幼児死亡率など、多くの数値がテクノロジーによって改善されつつある。世界はひそかに豊かになっているのだ。

要約

【必読ポイント!】 コンバージェンスの時代がやってくる

変化が加速する時代へ
metamorworks/gettyimages

2018年、アメリカを悩ませる渋滞問題を大胆な方法で解決しようとするウーバーが、「空飛ぶ車」をテーマに、2回目の年次会議を開催した。2019年半ばまでに、空飛ぶ車の開発会社に10億ドル以上が投資され、プロトタイプの開発が進んでいる。古くからSFに登場していた「空飛ぶ車」は、もはやサイエンス・フィクションではなく、サイエンス・ファクトになった。このような急速な発展を可能にしたのが、進化するテクノロジー同士の「コンバージェンス(融合)」だ。

テクノロジーの中には一定間隔で性能が倍増していくにもかかわらず、価格は下落していくものがある。その最たるものがムーアの法則だ。インテル創業者のゴードン・ムーアは集積回路上のトランジスタの数が18か月ごとに倍増していることを発見した。これは、コンピュータのコストはそのまま、1年半で性能が倍増していることを意味する。このペースで進歩しているのは集積回路だけではない。グーグルのエンジニアリング担当ディレクターのレイ・カーツワイルは、あるテクノロジーがデジタル化されると、ムーアの法則にのっとって「エクスポネンシャル(指数関数的)」な加速が始まることを発見した。

新しいコンピュータにより、さらに高速な新しいコンピュータが開発される。すると、加速のペースはさらに加速する。量子コンピュータやAI、ロボティクスなどは、この加速度的なペースでイノベーションが起きている。

最も注目すべきは、これまで別個に存在していたエクスポネンシャル・テクノロジーが融合することで、さらに進化のスピードが加速しているということだ。新たな市場を生み出し、既存の市場を消滅させるイノベーションは「破壊的イノベーション」と呼ばれる。エクスポネンシャル・テクノロジーは単独でも製品、サービス、市場を破壊するが、融合した場合にはその破壊力がケタ違いになる。エクスポネンシャル同士が融合すると、製品、サービス、市場を支える構造そのものが消滅する。

コンバージェンスの破壊力
metamorworks/gettyimages

テクノロジーの急速な発展により、次の10年で私たちの生活はどう変化するだろうか。

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要約公開日 2021.02.05
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