新版 「空腹」こそ最強のクスリの表紙

新版 「空腹」こそ最強のクスリ


本書の要点

  • 一日3食はそれだけで食べ過ぎの可能性があり、さまざまな体調不良を引き起こす。16時間の空腹時間を作るだけでも、健康や若さを維持することにつながる。

  • 空腹は睡眠時間の前後に、何も食べない時間を作ることで、無理なく始めることができる。日本の国民病ともいえる糖尿病にも、空腹は効果がある。

  • 空腹力を鍛えることは、がん予防やアレルギー対策、アンチエイジングにつながる。

1 / 3

【必読ポイント!】食べ過ぎの危険性と空腹の力

一日3食がもたらす弊害

nito100/gettyimage

NHKの調査によると、日本人の8割が一日3回食事を摂っている。しかし「一日3食が理想である」という考え方には、確固たる裏付けがない。それどころか一日3食は、成人が一日に必要なカロリーからすると、食べ過ぎといえる。食事をした後に疲れを感じたり、眠くなったりする人は要注意だ。必要以上に食事をすると、胃腸や肝臓がギリギリまで働かされ、消化する能力が衰えていく。疲れや眠気は、胃腸や肝臓が発している疲れのサインかもしれないのだ。食後の眠気は、血糖値の急激な上昇が引き起こしている可能性がある。ご飯やパン、甘いものを食べすぎると、血糖値が急激に上昇する。上がった血糖値を下げるために、体はインスリンというホルモンを分泌するのだが、この血糖値の急激な乱高下が体にダメージを与え、疲れや眠気の原因となる。習慣や惰性で、本当は食欲がないのに無理して食べていることはないだろうか。身体の声を聞くことが、真の健康への第一歩になる。食事の本来の目的は、体に必要な栄養分を、必要なだけ取り込むことだ。必要以上の食事は、知らず知らずのうちに体にダメージを与えている可能性が高い。

休むことの無い消化活動の危険性

体にとって、食事が本当に始まるのは食べ物を口にした後だ。食べ物が胃の中に滞在する時間は平均2~3時間。胃から送られた消化物は小腸で5~8時間かけて分解され、さらに大腸では15~20時間もとどまる。一日3度の食事は、胃腸に休むことなく消化活動を続けさせることに他ならない。胃の疲弊は、胸焼け、胃もたれ、食欲不振につながりやすい。また、肌や髪にも悪影響をもたらすことが知られている。さらに腸内環境が悪化すると、免疫力の低下を通じて風邪や肺炎などの感染症にかかりやすくなるとともに、アレルギーやがんを誘発しやすくなる。私たちが食べ終わった後も、各臓器は一生懸命働いている。だから食事の間隔が短くなれば、当然休む暇はなくなってしまう。人間に休息が必要なように、内臓にもまとまった休息が必要であることを忘れないようにすべきだ。食べ過ぎの弊害として、「内臓脂肪」が増えることも挙げられる。体内で使われなかった糖質や脂質は、いずれエネルギーとして利用するため中性脂肪に変わり、脂肪細胞に蓄えられる。しかも脂肪細胞は、無限に増やすことができる。増えすぎた脂肪は、足腰に負担になるだけではなく、血液やリンパ液の流れを悪化させ、心臓病のリスクを高めるなど、さまざまな不調を体にもたらす。

空腹で活性化するオートファジー

erdikocak/gettyimages

食べすぎによる害から体を守り、健康や若さを維持するシンプルな方法がある。それは「空腹の状態を作ること」だ。近年のアメリカの医学界では、糖尿病やがん、心血管疾患などの予防に、空腹が効果的だと盛んに論じられるようになっている。とはいえ空腹や断食と聞くと、ハードルが高く感じてしまう方も多いだろう。一方で、休日などの長い睡眠や忙しさのために、長い時間食事を摂らずに過ごした経験もあるはずだ。著者が空腹の効果を研究し、その効果を最大化するために導き出した断食の時間は16時間である。長いと感じられるかもしれないが、8時間の睡眠を考慮に入れれば、無理なく実行できるはずだ。週末だけチャレンジするという考え方でもよい。16時間の断食の効果は大きい。最後にものを食べて10時間が経過すると、蓄えていた脂肪が分解され、エネルギーとして使われる。そして16時間が経過すると、

もっと見る
この続きを見るには...
残り2765/4216文字

4,000冊以上の要約が楽しめる

要約公開日 2024.05.07
Copyright © 2025 Flier Inc. All rights reserved.

一緒に読まれている要約

スマホ脳
スマホ脳
アンデシュ・ハンセン久山葉子(訳)
人生を変えるモーニングメソッド
人生を変えるモーニングメソッド
ハル・エルロッド鹿田昌美(訳)
最高のパフォーマンスを引き出す習慣術
最高のパフォーマンスを引き出す習慣術
大塚邦明
2040年の未来予測
2040年の未来予測
成毛眞
カイシャインの心得
カイシャインの心得
山田理
99.9%は幸せの素人
99.9%は幸せの素人
前野隆司星渉
「すぐやる人」と「やれない人」の習慣
「すぐやる人」と「やれない人」の習慣
塚本亮
「話すのが苦手、でも人に好かれたい」と思ったら読む本
「話すのが苦手、でも人に好かれたい」と思ったら読む本
権藤優希

同じカテゴリーの要約

ハーバードの心理学講義
ハーバードの心理学講義
ブライアン・R・リトル児島修(訳)
一流の研究者たちが教える 快眠の科学
一流の研究者たちが教える 快眠の科学
伊藤和弘三島和夫(監修)
新版 科学がつきとめた「運のいい人」
新版 科学がつきとめた「運のいい人」
中野信子
スマホ脳
スマホ脳
アンデシュ・ハンセン久山葉子(訳)
最強に面白い 睡眠
最強に面白い 睡眠
柳沢正史(監修)
なぜゲームをすると頭が良くなるのか
なぜゲームをすると頭が良くなるのか
星友啓
新版 「空腹」こそ最強のクスリ
新版 「空腹」こそ最強のクスリ
青木厚
科学的に元気になる方法集めました
科学的に元気になる方法集めました
堀田秀吾
スタンフォード式 最高の睡眠
スタンフォード式 最高の睡眠
西野精治
FACTFULNESS
FACTFULNESS
ハンス・ロスリングオーラ・ロスリングアンナ・ロスリング・ロンランド上杉周作(訳)関美和(訳)
無料