新版 「空腹」こそ最強のクスリ

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新版 「空腹」こそ最強のクスリ
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出版社
出版日
2024年04月10日
評点
総合
3.5
明瞭性
3.5
革新性
3.0
応用性
4.0
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おすすめポイント

豊かで便利な社会となった現代において、食べ物に困ることはほとんどなくなった。食事の意味合いも変わってきており、おなかがすいたから食事をするのではなく、人と会うから食事をする、美味しいから食事をする、ということが多くなっているはずだ。あまり食欲もないけれど、食事の時間になったから仕方なく食べる、ということもあるだろう。

本書を一読すると、普段から当たり前のように習慣化している一日3食が、じつは食べ過ぎだという衝撃の事実に驚かされる。この豊かな社会においては、当たり前の生活をしているだけで、知らず知らずのうちに体にダメージを与えている可能性があるというのだ。私たちの体は、ひっきりなしに送り込まれる食べ物の処理が追い付かず、悲鳴を上げているのかもしれない。

本来、食事は空腹を満たし、生命活動を維持するために摂るものだ。本書では、空腹の時間を作るための方法についても、詳しく解説されている。睡眠時間を上手に使えば、空腹の時間を作ることも、そう難しくないことがわかるはずだ。

そう、わざわざ空腹の時間を作らなければならないほどに、私たちの身の回りには食べ物で溢れている。私たちが享受している豊かな生活は、いつのまにか至るところにひずみを生みだしているのかもしれない。「質素倹約」という昔からの教えの重要性に気づかされる一冊である。

※本要約は、過去に作成した要約を最新版に合わせて一部再編集したものです。

ライター画像
香川大輔

著者

青木厚 (あおき あつし)
医学博士。あおき内科 さいたま糖尿病クリニック院長。
自治医科大学附属さいたま医療センター内分泌代謝科などを経て、2015年、青木内科・リハビリテーション科(2019年に現名称に)を開設。糖尿病、高血圧、脂質異常症など生活習慣病が専門。糖尿病の治療に本書の食事術を取りいれ、インスリン離脱やクスリを使わない治療に成功するなど成果を挙げている。
自身も40歳のときに舌がんを患うも完治。食事療法を実践してがんの再発を防いでいる。
ライザップの医療監修ほか、「行列のできる法律相談所」(日本テレビ)、「直撃! コロシアム!! ズバっと! TV」などメディア出演多数。

本書の要点

  • 要点
    1
    一日3食はそれだけで食べ過ぎの可能性があり、さまざまな体調不良を引き起こす。16時間の空腹時間を作るだけでも、健康や若さを維持することにつながる。
  • 要点
    2
    空腹は睡眠時間の前後に、何も食べない時間を作ることで、無理なく始めることができる。日本の国民病ともいえる糖尿病にも、空腹は効果がある。
  • 要点
    3
    空腹力を鍛えることは、がん予防やアレルギー対策、アンチエイジングにつながる。

要約

【必読ポイント!】食べ過ぎの危険性と空腹の力

一日3食がもたらす弊害
nito100/gettyimage

NHKの調査によると、日本人の8割が一日3回食事を摂っている。しかし「一日3食が理想である」という考え方には、確固たる裏付けがない。それどころか一日3食は、成人が一日に必要なカロリーからすると、食べ過ぎといえる。食事をした後に疲れを感じたり、眠くなったりする人は要注意だ。必要以上に食事をすると、胃腸や肝臓がギリギリまで働かされ、消化する能力が衰えていく。疲れや眠気は、胃腸や肝臓が発している疲れのサインかもしれないのだ。

食後の眠気は、血糖値の急激な上昇が引き起こしている可能性がある。ご飯やパン、甘いものを食べすぎると、血糖値が急激に上昇する。上がった血糖値を下げるために、体はインスリンというホルモンを分泌するのだが、この血糖値の急激な乱高下が体にダメージを与え、疲れや眠気の原因となる。

習慣や惰性で、本当は食欲がないのに無理して食べていることはないだろうか。身体の声を聞くことが、真の健康への第一歩になる。食事の本来の目的は、体に必要な栄養分を、必要なだけ取り込むことだ。必要以上の食事は、知らず知らずのうちに体にダメージを与えている可能性が高い。

休むことの無い消化活動の危険性

体にとって、食事が本当に始まるのは食べ物を口にした後だ。食べ物が胃の中に滞在する時間は平均2~3時間。胃から送られた消化物は小腸で5~8時間かけて分解され、さらに大腸では15~20時間もとどまる。一日3度の食事は、胃腸に休むことなく消化活動を続けさせることに他ならない。

胃の疲弊は、胸焼け、胃もたれ、食欲不振につながりやすい。また、肌や髪にも悪影響をもたらすことが知られている。さらに腸内環境が悪化すると、免疫力の低下を通じて風邪や肺炎などの感染症にかかりやすくなるとともに、アレルギーやがんを誘発しやすくなる。

私たちが食べ終わった後も、各臓器は一生懸命働いている。だから食事の間隔が短くなれば、当然休む暇はなくなってしまう。人間に休息が必要なように、内臓にもまとまった休息が必要であることを忘れないようにすべきだ。

食べ過ぎの弊害として、「内臓脂肪」が増えることも挙げられる。体内で使われなかった糖質や脂質は、いずれエネルギーとして利用するため中性脂肪に変わり、脂肪細胞に蓄えられる。しかも脂肪細胞は、無限に増やすことができる。増えすぎた脂肪は、足腰に負担になるだけではなく、血液やリンパ液の流れを悪化させ、心臓病のリスクを高めるなど、さまざまな不調を体にもたらす。

空腹で活性化するオートファジー
erdikocak/gettyimages

食べすぎによる害から体を守り、健康や若さを維持するシンプルな方法がある。それは「空腹の状態を作ること」だ。近年のアメリカの医学界では、糖尿病やがん、心血管疾患などの予防に、空腹が効果的だと盛んに論じられるようになっている。

とはいえ空腹や断食と聞くと、ハードルが高く感じてしまう方も多いだろう。一方で、休日などの長い睡眠や忙しさのために、長い時間食事を摂らずに過ごした経験もあるはずだ。

著者が空腹の効果を研究し、その効果を最大化するために導き出した断食の時間は16時間である。長いと感じられるかもしれないが、8時間の睡眠を考慮に入れれば、無理なく実行できるはずだ。週末だけチャレンジするという考え方でもよい。

16時間の断食の効果は大きい。最後にものを食べて10時間が経過すると、蓄えていた脂肪が分解され、エネルギーとして使われる。そして16時間が経過すると、

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要約公開日 2024.05.07
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