NHKの調査によると、日本人の8割が一日3回食事を摂っている。しかし「一日3食が理想である」という考え方には、確固たる裏付けがない。それどころか一日3食は、成人が一日に必要なカロリーからすると、食べ過ぎといえる。食事をした後に疲れを感じたり、眠くなったりする人は要注意だ。必要以上に食事をすると、胃腸や肝臓がギリギリまで働かされ、消化する能力が衰えていく。疲れや眠気は、胃腸や肝臓が発している疲れのサインかもしれないのだ。
食後の眠気は、血糖値の急激な上昇が引き起こしている可能性がある。ご飯やパン、甘いものを食べすぎると、血糖値が急激に上昇する。上がった血糖値を下げるために、体はインスリンというホルモンを分泌するのだが、この血糖値の急激な乱高下が体にダメージを与え、疲れや眠気の原因となる。
習慣や惰性で、本当は食欲がないのに無理して食べていることはないだろうか。身体の声を聞くことが、真の健康への第一歩になる。食事の本来の目的は、体に必要な栄養分を、必要なだけ取り込むことだ。必要以上の食事は、知らず知らずのうちに体にダメージを与えている可能性が高い。
体にとって、食事が本当に始まるのは食べ物を口にした後だ。食べ物が胃の中に滞在する時間は平均2~3時間。胃から送られた消化物は小腸で5~8時間かけて分解され、さらに大腸では15~20時間もとどまる。一日3度の食事は、胃腸に休むことなく消化活動を続けさせることに他ならない。
胃の疲弊は、胸焼け、胃もたれ、食欲不振につながりやすい。また、肌や髪にも悪影響をもたらすことが知られている。さらに腸内環境が悪化すると、免疫力の低下を通じて風邪や肺炎などの感染症にかかりやすくなるとともに、アレルギーやがんを誘発しやすくなる。
私たちが食べ終わった後も、各臓器は一生懸命働いている。だから食事の間隔が短くなれば、当然休む暇はなくなってしまう。人間に休息が必要なように、内臓にもまとまった休息が必要であることを忘れないようにすべきだ。
食べ過ぎの弊害として、「内臓脂肪」が増えることも挙げられる。体内で使われなかった糖質や脂質は、いずれエネルギーとして利用するため中性脂肪に変わり、脂肪細胞に蓄えられる。しかも脂肪細胞は、無限に増やすことができる。増えすぎた脂肪は、足腰に負担になるだけではなく、血液やリンパ液の流れを悪化させ、心臓病のリスクを高めるなど、さまざまな不調を体にもたらす。
食べすぎによる害から体を守り、健康や若さを維持するシンプルな方法がある。それは「空腹の状態を作ること」だ。近年のアメリカの医学界では、糖尿病やがん、心血管疾患などの予防に、空腹が効果的だと盛んに論じられるようになっている。
とはいえ空腹や断食と聞くと、ハードルが高く感じてしまう方も多いだろう。一方で、休日などの長い睡眠や忙しさのために、長い時間食事を摂らずに過ごした経験もあるはずだ。
著者が空腹の効果を研究し、その効果を最大化するために導き出した断食の時間は16時間である。長いと感じられるかもしれないが、8時間の睡眠を考慮に入れれば、無理なく実行できるはずだ。週末だけチャレンジするという考え方でもよい。
16時間の断食の効果は大きい。最後にものを食べて10時間が経過すると、蓄えていた脂肪が分解され、エネルギーとして使われる。そして16時間が経過すると、
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