人材を育てるホンダ 競わせるサムスン

未 読
人材を育てるホンダ 競わせるサムスン
ジャンル
著者
佐藤登
出版社
日経BP社
定価
1,512円
出版日
2014年07月07日
評点
総合
3.7
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
3.5
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人材を育てるホンダ 競わせるサムスン
人材を育てるホンダ 競わせるサムスン
著者
佐藤登
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出版社
日経BP社
定価
1,512円
出版日
2014年07月07日
評点
総合
3.7
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
3.5
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レビュー

近年のグローバル競争において、韓国企業の攻勢と日本企業の劣勢が各メディアで騒がれているが、日本にも存在感を保つ産業・企業は多く存在する。その代表的な産業が自動車業界であり、今も技術者に人気の高いホンダはその代表的な企業であろう。日韓で象徴的な存在とも言えるホンダとサムスン。その両社に長く在籍していた著者は、それぞれの強みや弱み、文化の違いについて深く知り尽くしている。

そんな著者がホンダとサムスンの対比を様々な角度で行っているのが、本書『人材を育てるホンダ 競わせるサムスン』である。それぞれの企業の比較を読み解いていくと、日本と韓国の違いが浮き彫りになるという点でも興味深い。ゼロから研究を開始して、長い期間をかけて社内に技術を蓄積しながらイノベーションを起こし続けるホンダと、国際的な提携を梃子に最速で事業化を進めグローバル競争を勝ち抜くサムスン。本書はどちらが優れているかという優劣の話ではなく、異なるDNAを持つ両社が研修から研究開発、知財戦略に至るまで、全く異なるアプローチを取り、それぞれに一貫性を持っているというその対比が面白いのである。

21世紀に入り圧倒的な存在感を見せつけていたサムスンは、近年中核的な存在であったスマートフォン事業において、中国勢の猛追に合っている最中であり、今後の事業展開に注目が集まる。そんなサムスンが依然として持つ強みや抱えている課題を、日本の優良企業との対比により理解できる本書は、サムスンがこれから中国勢の猛追を振り切って更なる成長を遂げていくのかという予測を行う上でも興味深い教材となろう。

大賀 康史

著者

佐藤 登
名古屋大学客員教授
エスペック上席顧問
前サムスンSDI常務
秋田県横手市出身。1978年横浜国立大学大学院工学研究科修士課程修了後、本田技研工業に入社。89年までは自動車車体の腐食防食技術の開発に従事。社内研究成果により88年に東京大学工学博士。90年に本田技術研究所の基礎研究部門へ異動。99年から4年連続「世界人名事典」に掲載。栃木研究所のチーフエンジニアであった2004年に、韓国サムスングループのサムスンSDI常務に就任。2004年から5年間は韓国水原市在住、その後、逆駐在の形で東京勤務。2012年12月にサムスン退社。2013年から現職。論文、講演、著書、特許等は約800件に達する。

本書の要点

  • 要点
    1
    ホンダとサムスンの従業員の気質は、入社時の研修から醸成される。ホンダでは長い期間をかけて生産や営業の現場を経験し同期との絆を強めるのに対し、サムスンではこれから永遠に続く社内競争を勝ち抜くためのマインドを根付けるカリキュラムが用意されている。
  • 要点
    2
    ホンダではゼロから自社で研究開発を行い、既存商品の技術に縛られない斬新なイノベーションを創出することを志向する一方で、サムスンは積極的なM&Aや技術提携を梃子に商品化とグローバル展開を最速で進めることに力点が置かれている。

要約

新人を育てるホンダ、競わせるサムスン

ホンダ入社

「やりがい」「年収」「企業のブランド力」「勤務地」「福利厚生」・・・。就職活動の際に、志望企業を絞り込む優先順位は人それぞれだろう。だが、理工系学生は、いまだに技術者としてのやりがいを重視する傾向がある。多くは自分の専攻や研究テーマに近い企業を選ぶのだ。

著者は化学を専攻していたため、就職先として第一希望は化学業界だったが、オイルショック後の採用数縮小から、化学業界以外にも目を向ける。指定校推薦が活用できる企業の中で目がとまったのがホンダだった。

創業者である本田宗一郎は、「得手に帆上げて」「能ある鷹は爪を出せ」「技術論議に上下関係はない」という考えを持っており、その自由な社風に惹かれ、著者が志望するに至る。

役員面接では、「どんな仕事がしたいか?」と質問され、「環境に優しい電気自動車の開発に携わりたい」と回答。ほどなくして採用通知が届く。

ホンダは企業文化や同期の交流を重視
RainerPlendl/iStock/Thinkstock

ホンダとサムスンの違いは、入社後の新入社員研修にも存在する。著者が1978年にホンダに入社した当時、ホンダの新入社員研修は丸1年で、寮での共同生活が基本だった。研修内容は文系社員が3拠点での工場実習、理系社員が2拠点での工場実習と4カ月半の研究所実習を行っていた。

研究所への配属を希望していた著者にとって有意義だったのが、研究所での実習だ。テーマは当時開発が急務だった自動車用排ガス触媒であり、化学の専攻も活かせることから、研究に携われる喜びは大きかった。

研究成果として役員に対して行った発表が好評だったこともあり、埼玉県和光市にある研究所に配属されるだろうと気を良くしていた。それが配属先の希望により、製作所への配属という結果になるのではあるが。

その後新入社員研修の内容は変化し、著者が管理職となった92年当時、800人もの大量採用をしていたこともあり、研究所実習はなくなり営業研修が加わった。ホンダ製品の販売に直接関わることで、ホンダ製品の魅力や課題などに関する消費者の声が体得できるものだ。顧客目線を実感するためにも、このプログラムは有意義だろう。

競争意識を植え付ける「アイデンティティーコンテスト」

これに対して、サムスングループにおける新入社員研修の目的はより明確だ。新入社員研修はグループ全体で実施され、今後永遠に続くサムスン社内での厳しい競争を研修で体感させるものである。あるテーマに沿って約1カ月間、企画構想から取り組み、最後にグループのCEOや役員幹部の前でその成果を発表するイベントが大々的に実施される。

著者も2006年6月にこのイベントに役員の立場で参加した。このイベントに参加する新入社員は大卒以上で、約1万1000人にも及んでいた。

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スキルアップ・キャリア 経営戦略 人事 産業・業界 グローバル
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