社長になる人の条件

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社長になる人の条件
出版社
日本実業出版社
出版日
2014年05月29日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
4.0
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おすすめポイント

経営者やリーダーになる人材と、一般社員の違いは何なのか? こんな疑問を抱いたことがある人にはぜひ本書を手に取ってみてほしい。8000名超の経営者・経営幹部に対面してきた著者ならではの切り口で、いつか自分が組織を率いていきたいという思いをもつ人へ、「明日から実行に移せるヒント」を惜しみなく公開した一冊である。

著者は、ビジネスパーソンは皆、リーダーを目指してほしいと言う。変化の激しい時代において、現状維持を望む者は淘汰され、リスクを選び、新しい時代に立ち向かう者のみが生き延びることができる。そんな環境下で求められるのは、社長と同じような目線で会社全体や自分の行動を見ることができるリーダー人材だと著者は主張する。

ビジョンを描き、決断し、最後まで遂行する力、そしてチームをまとめ、自ら「まだまだ成長できる」という認識で学び続ける力をもった人こそが、リーダーになれる。世の中を動かすトップリーダーの共通項は何か。トップリーダーになるために今からどんなことを心がけ、どんな力を身につけていけばいいのか。これらに対する明快な答えを本書から吸収し、自分のものにしていけば、確実に仕事の質や、見える世界が変わってくるはずだ。人を動かし、事業を前に進めるための本質を取り上げた本書は、チームを動かし、何かを成し遂げようとする全ての人にとっての必読書である。

ライター画像
松尾美里

著者

井上 和幸
株式会社経営者JP代表取締役社長・CEO。1989年早稲田大学政治経済学部卒業後、株式会社リクルート入社。人事部門、広報室、新規事業立ち上げを経て、2000年に人材コンサルティング会社に転職、取締役就任。2004年より株式会社リクルート・エックス(2006年に社名変更、現リクルートエグゼクティブエージェント)。エグゼクティブコンサルタント、事業企画室長を経て、マネージングディレクターに就任。2010年2月に株式会社経営者JPを設立、代表取締役社長・CEOに就任。多くの経営者の人材・組織戦略顧問を務める。企業の経営人材採用支援・転職支援、経営組織コンサルティング、経営人材育成プログラムを提供。
クライアント企業・個人の個々の状況を的確に捉えたスピーディーなコンサルティングに定評がある。自ら8000名超の経営者・経営幹部と対面してきた実体験に基づき、実例・実践例から導き出された公式を、論理的にわかりやすく伝え、幅広い業種・規模のクライアントから好評を得ている。著書に『ビジネスモデル×仕事術』(共著、日本実業出版社)、『あたりまえだけどなかなかできない係長・主任のルール』(明日香出版社)などがあるほか、各種メディアへの出演で活躍中。

本書の要点

  • 要点
    1
    トップリーダーは(描く力+決める力+やりきる力)×まとめる力×学び続ける力という方程式に沿った「5つのチカラ」を実行し続けている。
  • 要点
    2
    共感や共鳴によって人を動かす「巻き込み力」の土台になるのは、リーダー自身がビジョンに向けてのめり込むことと、ビジョンを周囲に具体的に発信することである。
  • 要点
    3
    事業のスタートアップ期には「創れる人」が、急成長期には「伸ばせる人」が、成熟期には「立て直せる人」がそれぞれ必要になってくる。事業の成長段階に応じて、必要なエンジンの種類が変わっていくことを意識しなくてはいけない。

要約

【必読ポイント!】 トップリーダーの基礎力

ビジョンを描き、実行していく
SonneOn / Imasia

リーダーであり続けるために必要なものとは何か? その基本となるのは(描く力+決める力+やりきる力)×まとめる力×学び続ける力という方程式である。まとめる力と学び続ける力はかけ算であるため、どちらかがゼロになるとすべてがゼロになってしまう。足し算になっている3つの力を増やし、まとめる力と学び続ける力を伸ばすことを、若手であれ中堅であれ意識してみよう。

ビジョンを描くときには、自分の事業で世の中をどう変えたいのかという「とてつもない妄想」を抱く必要がある。リーダーとして成功する人はみな、事業の将来像や理想像をはっきりと持ち、恥ずかしがることなく周囲に熱く語ることができる人だ。

妄想が描けたら、それを5年以上抱き続けられるかを自問自答してみよう。ここでしっかりとした設計図を作れていれば、やるべきことや問題点が明確になるはずだ。いざ事業を行う際には、「最初に描いたビジョン(妄想)を完成させるために何が必要なのか」という自分なりのフィルターをもって、意見や提案を取り入れるかどうかの判断をしなくてはいけない。

時代を動かしてきた経営者は、実現すべきことを自ら率先して行ってきた人である。「○○であるべきだ」という、現実から離れた「べき論」と、自分の理想に根づいた「ビジョン」は別物であることを意識すべきだ。「べき論」に縛られずに、「自分はこうする、こうしたい」という考え方をしていけるようにシフトしていくことが重要だ。

資源調達と広報活動

社長やリーダーの仕事の中でも、手腕が問われるのは「資源調達と分配」である。限られたヒト・モノ・カネをどこにどう割り当てると最も効果的なのか。今やっている仕事の資源を洗い出し、分配の作戦を練り、管理していく練習を、まだリーダーでない方も練習しておくとよい。

それから、「採用・人事」と「広報・PR」については、トップが常に最終権限をもつべきだと、筆者はリクルート時代に教えられたという。優秀な人材は会社の要であるし、そして社内外に企業姿勢や取り組みを発信することは、自社の応援者を育ててゆくために大事なことだからだ。

広報・PRの力は、今関わっている仕事をいかに周囲に告知していくかという活動によって身につけていくことができる。自身のブランド化や人脈形成にも役立つことだろう。

信頼形成のプロセス

「信頼」はコミュニケーションや合意形成において大きなメリットをもたらしてくれる。「信頼」を生み出すには次のプロセスを踏む必要がある。

①「約束」し、必ず守る

②「信用」を得る(実績で判断される)

③「信頼」される(実績が積み上がり、結果、無条件で信用される)

①の段階を経ずに信頼を築くことはできない。スピード対応、即レス、決めごとの完遂、安定した品質提供などを着実に積み重ねていくことが、取引先や顧客との信頼形成において不可欠である。

トップリーダーのコミュニケーション術

「巻き込み力」で人を動かす
naka / Imasia

人との「かかわり方」は、リーダーとしての器が問われるところだ。現代の企業に求められるのは、現場をサポートしながら導くタイプのリーダーシップである。リーダーの明確な方向付けのもとに、各メンバーが意志と責任をもって動き、リーダーがそれを支援するのだ。では、こうしたリーダーシップを発揮するコミュニケーションをどのように生み出していけばいいだろうか?

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要約公開日 2014.08.08
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